紙の本
この本がアメリカで読まれている?
2004/09/23 13:13
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テノール - この投稿者のレビュー一覧を見る
まだ沖縄が占領されていたころ、アメリカの海兵隊や、軍人が沖縄に住む日本人を、何をしても良い動物のように思っても許されていたこと。今も、あまり変わっていないのかもしれないかも…
今イラクに行っているアメリカ兵や、アメリカに住んでいるアメリカ人に読んでほしい。きっとネルソンさんのように自分を解放できずに生きているベトナム戦帰還兵、生きられずに自殺した人々。多分、イラクから帰って来ることができた若者も同じなのではないだろうか? これから、アメリカから戦争に行く人が居る限り、昔のネルソンさんは増えるばかりだという気がする。ネルソンさんを抱きしめて涙してくれた子供たち。その気持ちを持ち続けて大人になり、アメリカを救えたら、今のアメリカとは少し違ったのでは…と思うが とにかく、この本を出版できたことは大変良かったと思う。多くの人々に読まれることを!
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実際にベトナム戦争に参戦した元アメリカ黒人兵が、経験を赤裸々に語った書。
多少生々しい部分もあったが、
比較的簡単な文体で書かれていたこともあり、スラスラと且つ臨場感で以って読むことができました。
ただ、ページ稼ぎの為か改行が多く、
内容が豊富なものとは言えません。
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人種問題のことや当時のアメリカの政治のこと、そして戦争のこと。こども向きであるがゆえに、とてもわかりやすくまっすぐにつたわってきた。
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いや別に、著者名に惹かれたわけじゃないですよ。ページを捲るのが、何だろう…重いっていうか。本当に、戦争ってあったんだ。人間ってそこまで残酷に出来るんだ、と考えさせられました。
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新兵としてベトナム戦争を体験した著者は
帰国後PTSDを発症して実家を追い出され、
ホームレスとして生活していたが
知人にその経験を子供たちに語るという仕事を紹介される。
その中で少女が発した一つの質問。
これがタイトルの質問です。
アフリカ系アメリカ人であることの差別と貧困、
脱却するためのあがき、
命令に疑問を抱かない殺人のためだけの教育、
ベトコンたちとの戦い、
一方的な殺戮、
その中で彼を変えた
(正確には一キリングマシーンになってしまった彼を人間に戻した)のは
掃討作戦中に出会った一つの奇跡的とも言える場面でした。
子供向けの本ですが一読の価値があります。
戦争を知らない私たちのために。
なぜ戦争はなくならないのか。
なぜ兵士に志願する人がいるのか。
ちなみにタイトルの質問ですが、
ネルソン氏の回答は長い葛藤の末での「YES」でしたが
実際本を読んだ感想では「YES」であり「NO」だと思います。
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この本は子供にも読める文体で、難しい資料から見る戦争ではなく、人の生暖かい声が見えてくる。 この本の評価については、入りやすく、兵士の人生を解り易く捉えることができるという事。
オススメしたい本が、ここの検索にはなかったので関連図書をここに記します。
1972年発行の『ベトナム戦争 サイゴン・ソウル・東京 』著:亀山 旭
この本は、日本人ジャーナリストがベトナム戦争終結直前に書いた本。
他の本と違うところは、まだ戦争が終わっていない時点での視点であること。終わった後に情報が氾濫し、また、かき集めることは容易ですが、リアルタイムでの戦争の結末をつづるというのは、少ないと思う。また『日本人』という視点からみる・関るベトナム戦争が書かれているのも注目のところ。戦争は、そのときだけで事ではない。前にも原因があり、後にも問題が積もるもので、平和をもたらすものでない。
薄い文庫本に期待をしてなかったけれど、この少しの紙束に、こんなに重い重要な事実が書かれているとは『本』とは、人間が作り出した凄い道具だと思った。
ページ数がすくないので、ちょっと読んで見たい方にもオススメです。
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戦争と戦争映画の区別,私たちはそれができているだろうか。
市民が兵士になるシステム。戦争時の異常。
本当の戦争とは何か 考えさせられる一冊。
(図書館で借りて,一気に読みました。)
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この本は小中学校の教科書に載せるべきだと思う。
ネルソンさんは海兵隊の訓練で殺人マシーンへと変貌し実際に戦場で
人間を殺すことに抵抗を感じなくなるが、とあることがきっかけで、
人間らしい感情を取り戻す。しかし帰国したあとある少女の言葉がきっかけでベトナムでの経験と戦場がいかに悲惨かを語ろうと決意する。
ネルソンさんの講演を実際に聞いたことがある。
実際に見たネルソンさんは、とても戦場で人を殺した人間には見えなかった。
しかし、彼はベトナムで実際に人を殺したのである。
この事実が自分にとってとても残酷に感じた。
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副題は”ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」”。「ほんとうの」というのは、この本を読んでみるとわかる。「戦争」と聞いても、多くの人は、そのほんとうの姿をイメージできないのではないだろうか。たとえば、今日の朝刊一面に「イラク交戦 172人死亡」と出ている。今までの私だったら、「なんてたくさんの人が...」とは思っただろうけど、今日は、そのひとりひとりのことが思われてしまった。
著者は、アフリカ系アメリカ人のベトナム帰還兵。知人に頼まれて、ベトナムでの経験を小学校で話した時に、ある女の子から、タイトルとなっている質問を受けた。その時の著者の思い、そして子どもたちの反応...読んでいて涙が出てきた。
涙が出てきたのはそこだけではない。これは「シリーズ 子どもたちの未来のために」の一冊で、子ども向けに易しい文で書かれているが、胸に響く話だ。ぜひ、多くの子ども達に、そして大人にも読んでほしい。
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過酷な環境の中で、人間としての超えてはならない一線を越えてしまう人と超えない人、人間性の最後のひとかけらを失ってしまう人と失わない人。
この違いはなんなのだろうか。
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二年前にネルソンさんに実際に会ってお話を聞いたことがある。
「少年マガジン」でもネルソンさんの話が漫画になっていたと思う。
ネルソンさんは、ベトナム戦争に参加した黒人の方。
アメリカの軍隊から人を殺すよう「洗脳」され、沖縄で訓練、ベトナムに赴く。
ベトナム人は「グークス」であり魂もない人間でない存在だと思っていた
そしてネルソン氏は実際に多くの人を殺す。
しかし、ベトナム人女性の出産に立ち会ったこと、最後に殺したベトナム人の家族の写真を見たことが、ネルソンさんを変える。
戦争は決してカッコいいものではないし、人間は人間でなくなってしまう。
「戦争はダメだ。平和を実現しよう」という聞きなれたスローガンよりも、遥かに説得力のある体験談。
思わず泣きそうになってしまった。
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図書館でみかけて、ちょっと中身を確かめるつもりがそのまま最後まで読んでしまった。
ベトナム帰還兵が語る戦争の話。講演をまとめたのかな?
著者は十代のときに海兵隊に入ってベトナム戦争に行った。
ベトナムに送られる前にはしばらく返還前の沖縄基地にいた。
まだキング牧師が生きていたころの話。
2~3年前に見た海兵隊のドキュメンタリー映画を思い出した。
今世紀に撮られたもので、しかも部外者が入り込んで撮影できる範囲のものであったけれど、訓練風景はここに書かれているものと変わらない。
思考を奪い、人を殺せる人間を作る。
沖縄は米軍人にとっての遊園地のような場所だったと著者はいう。
しかし沖縄人にとっては屈辱的な場所だっただろうともいう。
新兵一人をつくるためにかかる値段を考えたら、米軍人がジャップに犯罪行為を働いたくらいで捕まえるなんてとんでもない。
これが全然「昔の話」じゃないなんて。
きっと、沖縄人に暴力をふるえないようなできそこないの兵士はベトナム人を殺せない。
その後、しばらくしてベトナムへ行って、人を殺す。
ベトナム人という生き物を殺すことに慣れて、そのあとベトナム人という人間に気がつく。
ベトナムの宣伝ビラに「今米国では自由のために黒人が闘っている。私たちも自由のために闘っているのだとわかってほしい」といったことが書かれていたとある。
それで『対日宣伝ビラが語る太平洋戦争』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4642080643を思い出した。
日本も黒人兵に向けてお前ら鉄砲玉に使われてんぞ的なことを書いたビラを配ったけれど鼻で笑われた、みたいなことが書いてあった。
あれは日本の書き方が下手だっただけじゃなくて、心理的に認められないっていうのもあったのかもしれない。(黒人兵への調査結果じゃないから、実際にどう読んだのかはわからないけれど)
この人は命の重さに苦しんでいる。
それでも「村に子供と老人以外の男がいないのはベトコンだから」「村人が地雷原の情報を隠したので」といった言葉を普通に使う。
米兵に殺されないように隠れたとは考えないのかな。
イラクの米兵も「やつらは地雷の場所を知っている。でなければ畑で働けるはずがない」みたいなことを言っていた。
危なくたってそこで生活しているなら行くしかないのに。
考えないようにしているのか、思いつかないのか、たまたまこの本の中では触れられていないだけなのか。
アメリカにもどり、PTSDに悩まされてホームレスになっていた23歳のときに高校の同級生とばったり会って、教員になっていたその人に小学校で講演をしてくれと頼まれる。
そこで表題の質問をされ、「経験を語る」ということを始める。
著者は2009年に亡くなったそうだ。それまで日米で戦争の悲惨さを訴えていたらしい。
9.11のとき、星条旗を配られたけれど家に掲げなかった。
近所の人になぜと問われて理由を述べたら近所の人たちも星条旗を下してくれたという。
あの��気の中でそれができる人はどんな人なんだろう。
この人が生きている間に知りたかった。名前は知ってたのに。
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軍隊の訓練は朝五時に起床し1時間ランニングなのか。
すごい。
戦争の生々しい描写が圧倒的で、それ故に戦争の悲惨さが痛烈に伝わった。
戦争における兵士の育成とは、興奮状態にもちこませ、洗脳させ
殺人マシーンとすること
ベトナム戦争とは、ベトコンの勝利であった。
黒人兵に対し、「あなた方黒人は歴史的に自由を勝ち取る戦いをしてきた。我々ベトコンも自由を勝ち取る戦いをしている。つまり同士なのでは?なぜ今争っている?」
と疑問をなげかけ、アメリカ黒人兵の洗脳をとかせ、戦意喪失させた。
すごい。
」
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日本人として、地球に生きる人として戦争に関して、
考えるためにこの本を読んでみました。
内容はベトナム戦争に海兵隊として参加した
ネルソンさんの体験談がベースとなっています。
海兵隊に入ることになった経緯や戦地に向かう前に立ち寄った沖縄でのことなどが綴られています。
戦争に対して語るに値するだけの知識も経験もありません。
ただ、世の中のことを知る上でこういった戦争のことについて
学ぶことは非常に大切なことだと思います。
また日本国憲法第九条を掲げる日本国民として、
そもそも戦争を知らずして戦争はしませんっていうのも
おかしなものかと…
結論として、
日本人みんなに読んでもらいたいと思いました。
書評ブログ:http://ameblo.jp/toshinobook/entry-11551558983.html
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「ミスター・ネルソン」
女の子はまばたきもせず、わたしをまっすぐに見つめると、たずねました。それは、わたしにとって運命的な質問でした。
「あなたは、人を殺しましたか?」
だれかにおなかをなぐられたような感じがしました。(p.22)
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小学4年生の生徒たちの前で、ベトナムでの戦争体験を語ってくれと頼まれたアフリカ系アメリカ人のアレン・ネルソンさんは、お話のあと、質問はあるかとの問いに手を挙げたある女の子に、運命的な質問をされました。
そして、葛藤のあと、目を閉じたまま「YES」と答えます。
女の子は小さな手をネルソンさんの腰に回して、やさしくだきしめようとしました。
「かわいそうなミスター・ネルソン」
女の子の目には涙がいっぱいたまっています。ネルソンさんは泣き崩れました。
PTSDに苦しんでいた彼は、この瞬間から生まれ変わります。
ニューヨーク生まれのネルソンさんは、貧しさと暴力に満ちたゲットーで、少年時代を過ごしました。
彼の生い立ちを聞くと、海兵隊に入らない選択肢などなかったのではないかと思えます。それほどすさんだ生活でした。
そしてべトナムへ赴き、初めての戦闘に巻き込まれます。
戦場では、考えたり感じたりしてはいけない。どんなことが起ころうとも、恐怖をコントロールしてタフにならなければならない。
ベトナム人に愛着を感じることのないようにしろ。奴らはグーグス(gooks:ベトナム人の蔑称)であって人間ではないのだ。
殺したベトナム人の死体の耳を切り取って持ち歩く。
アンブッシュという待ち伏せ作戦、村落を焼き払うサーチ・アンド・デストロイ作戦。
女も子どもも老人も皆殺しです。農民であろうとベトコンであろうとお構いなしに。
無慈悲に、なんの感情もなく村に火を放ち、殺し続けたのです。
そんな日々を送っていたネルソンさんの心を変えたのは、あるベトナム人の青年の言葉でした。
青年は頭を撃ち抜かれる前に、片言の英語でこう言ったのです。
「なぜ、あなたたちはわたしの国にいて、わたしたちを殺しているのですか?わたしたちは自由のために戦っています。あなたたち黒人も自分の国では自由すらないではありませんか」
そしてさらに、決定的な出来事に遭遇します。
ある村の裏庭の防空壕で、若いベトナム人の母親のなんと、出産を目撃してしまったのです。
「出産に立ち会った」というのは衝撃的すぎますが、人種の壁を越えるとか、妙な洗脳から解き放たれるキッカケなんて、意外と些細な出来事だったりしますよね。
私も初めてブラックアフリカの地を踏んだ時、あまりの文化の違いや黒人の態度に情けないやら腹立たしいやらで、今一歩踏み込めずにいたのですが、あることがキッカケで一瞬にしてアフリカ人が好きになってしまったのです。
このことはここにも書きました。→『On Third World Legs〜第三世界の脚で立つ〜』
ホコリ避けにこれを鼻の穴につめろと綿を渡された話ですがね(苦笑)。
ベトナム人も自分たちと同じ人間だ、グークスなんかじゃない。
彼はそう気づいたのです。正常な感覚を取り戻したのですね。
この本には、当時まだアメリカの占領下にあった沖縄についても書かれています。
この項を読むと、日本人である私はとても胸が痛くなります。
タクシーの料金を踏み倒すのは日常茶飯事で、女性と遊んでお金を要求されても払いたくなければ払わず、容赦なく殴りつけたりしたこと。沖縄の人たちを「ジャップ」と呼び、人間として見ていなかったこと。
そして、どんな悪行の限りをつくしても、基地のゲートをくぐってしまえばアメリカ兵は安全であり、沖縄の警察の手が及ぶことはなかったこと…。
1995年。
ネルソンさんは、沖縄で12歳の少女が米兵3人に集団レイプされたという事件をニュースで知ります。
そして、ベトナム戦争が終わって20年も経つのに沖縄にまだ基地があり、アメリカ兵がまだ居るという事実に驚いたと言います。
私にはその事のほうがショックでした。
ああ、普通のアメリカ人にとっては、その程度の認識なんだ沖縄って…と。
現在でも、ベトナム戦争当時と同じような悲惨な事件が続いていることを、アメリカの人たちは知っているのでしょうか。
「なぜあなたたちは私の国にいて、犯罪や暴行をくり返しているのですか?」
ほとんどの漢字にルビがふってあり、小学生なら十分読める。「シリーズ・子どもたちの未来のために」という講談社の発行している本の一つです。子ども向けと言っても、大人にこそぜひ読んで欲しい、そんな本。
(2023年6月7日ブログ鍵のため再投稿)