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消えた少年たち 上 (ハヤカワ文庫 SF)
消えた少年たち(上)
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紙の本
たしかに「忘れられない傑作」だけど…
2003/08/25 10:26
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投稿者:MIZU - この投稿者のレビュー一覧を見る
たしかに「忘れられない傑作」かもしれません。でも、私には、「90年代ベスト1」の小説とは思えませんでした。
まず、一見して家族小説でありながら、そうではないということ。解説の北上次郎さんの言葉通り、99%は家族小説でありながら、残り1%がそうではない。この作りは、ある意味で読者の期待を根底からくつがえすものとなっていて、それが人によっては高い評価の理由なのかもしませんが、私にはバランスを崩しているように感じました。
そして、この「残り1%」です。私には、とても納得のゆかない、受け入れられないものでした。この長い小説、全体の9割以上にもなる、家族の努力、家族のきずな、すべてがかすんでしまうのです。それが現実なのだということかもしれませんが、ある意味で作者の悪意のようなものを感じたといったら、言い過ぎでしょうか。もしかすると、何か宗教的なものがあって、はじめて受け入れ可能なものかもしれません。