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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.10
- 出版社: 論創社
- サイズ:20cm/344p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8460-0404-X
紙の本
平林初之輔探偵小説選 1 (論創ミステリ叢書)
著者 平林 初之輔 (著)
科学と論理で謎を解く本格派探偵小説の先駆! パリで客死する夭折の前衛作家が、社会矛盾の苦界にうごめく狂気を描く。「予審調書」「頭と足」ほか、全14編を収録。【「TRC M...
平林初之輔探偵小説選 1 (論創ミステリ叢書)
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商品説明
科学と論理で謎を解く本格派探偵小説の先駆! パリで客死する夭折の前衛作家が、社会矛盾の苦界にうごめく狂気を描く。「予審調書」「頭と足」ほか、全14編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
予審調書 | 1-20 | |
---|---|---|
頭と足 | 21-26 | |
犠牲者 | 27-58 |
著者紹介
平林 初之輔
- 略歴
- 〈平林初之輔〉1892〜1931年。京都府生まれ。アテネ・フランセでフランス語を修める。早稲田大学仏文科講師、『太陽』編集主幹などを務める。早大留学生としてフランスへ渡るが、パリで急死する。
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紙の本
早すぎた(?)心理ミステリ傑作集
2004/04/02 16:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和ヒトケタ時代に発表されたミステリ短編14編をおさめる1冊。横井司による全作「解題」付きである。
「論創ミステリ叢書1」とのことで、いままで入手困難であった近代探偵小説を復刻するというシリーズの1冊らしい。探偵小説というタイトル通り名探偵が快刀乱麻の活躍、という作品もあるがむしろ窮地に陥った人の悲哀および、だからこそ生じる皮肉なまでの滑稽さをえがく心理ミステリの印象が強い。
著者・平林初之輔は1892(!)年に生誕、1931年に病のため亡くなっている。私はこの本を手にとるまで、日本の探偵小説黎明期にこれほどの書き手があったことを知らなかった。知られざる名手の作品がこのような形で出版され、ふたたび広く読まれるようになることは作者にも読者にも幸せなことであろう。
内容はさすがに現代に照らし合わせれば易々とバレてしまいそうなトリックなども散見される。しかしそれは、法医学などの発展がまだみこめぬ時代背景からしてやむなきことであろう。時代小説とまではいかないまでも、近代小説として読めば人の心のあやが巧みにえがかれていてぐいぐいと惹きつけられる小説ばかりである。
とくに前半に収録された作品が素晴らしい。著者初ミステリとは思えぬ巧みな心理戦をえがいた「予審調書」、小粋な頭脳戦「頭と足」、善良な市民が幸福から奈落へ堕とされる悲劇「犠牲者」、ささやかな暮らしが一日で変貌する「秘密」、夫婦の疑心と恐怖がつのりゆく「山吹町の殺人」が出色の出来とみた。これらの作品は、充分に現代でも通用する輝きをたたえているのであった。