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紙の本
たぶん、この人の最高傑作!っていうわけではないと思うんだけど……。
2003/12/03 20:54
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投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
それにしても、このヨシノサクミという人の視線の冷徹さと観察眼の鋭さっていうのはなかなか侮れないものがあって、たかが小学生っていうべきかされど小学生っていうべきか、主人公の夏目礼智クンはもちろんのこと、夏目礼智クンの両親とか同級生とかの描き方の細やかさというのが、ちょっと尋常な感じではないのであった。
主人公の夏目礼智クンはわりと学校の成績とは関係のない方面で頭がいいタイプで、自分の乳幼児の頃の記憶を持っていたり、かなりの高い確率で天気や地震などの予知(というより、ただ単に「わかってしまう」という感じなのだけど)する事ができる。それで、いかにもこの年齢の子供らしく、なんとなく「自分は特別な存在なのだ」という自意識を持っていて(これが、タイトルの由来)、それのある種の自惚れが、小学校の四年生になって新しいクラスメイトの個性的な面々とつきあい、いろいろな経験をして、「ああ。自分は別に、特別に突出した存在ではないのだ」と自然に自覚していく、というのが、大まかなストーリーラインです。
でも、主眼というか、この作品の本当に面白いのは、そうした大筋よりもやはり、夏目礼智クンの目線でじっくりと観察されるクラスメイトや周辺の大人たちの生態のほうで、この目線がとても真っ直ぐに、なんの色眼鏡もかけないで対象をじっくりとみつめている感じで、そのクリアさが、クリアさ故に、かなり怖いのね。
エピソード的には、ちょっと笑えるのとか、泣けるのとか、サイコ入っていて怖いのとか(15話のエピソードは、実際にこういう子いそうで怖かった)、結構バラエティに富んでいてなかなか飽きがこない内容になっているのですが、なによりも登場人物一人一人を真っ正面から見つめめようとするヨシノサクミという人の視線の在りようが、一番興味深かったです。
酩酊亭亭主