神童 1 (双葉文庫 名作シリーズ)
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ユーザーレビュー- 「神童 1」
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/12/30 07:44
耳で音を聴きわける、という天才の原点。
投稿者:wildflower - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品3冊は『のだめカンタービレ』を読んでいた頃にほかにも
ピアノの天才を扱っている面白い作品がある、と懇意な方から教えて
もらって知りました。
1999年の手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞、2006年に鳴海璃子&松山
ケンイチ共演で映画にもなった作品です。
手許の文庫は2007年2月10刷とあります。
さそうあきらさんがいわく「この漫画は”音”が主人公の作品です」。
つまり音じゃなくエピソードで音楽を語ろうとした作品です。
どういうことかな、と期待しながら読み始めました。
主人公もその周辺の音大生たちにも、音にちなむ名前が付いています。
ですが、最も意表をつかれたのはそのストーリー展開の異色さでした。
天才指揮者成瀬光一郎の娘で、小学生ながら天才の成瀬うた。
冒頭から意表をつかれたのは、この作品がピアノの話なのに、タブーの
はずの少年野球の話が同時に折り込まれていることでした。
6歳で開いたリサイタルが絶賛されるほどのピアノの天才で
同時に少年野球チームの名ピッチャーでもある、という予想外の展開。
そのどちらでも生き生きと活躍するうた。
双方で活躍していくうたの強みが、「音」に対する天賦の才能と
ピアノ演奏について妥協を許さない訓練の成果だということが
同列に描かれていきます。
そこが他のピアノをテーマにした音楽漫画と比べて異色な作品です。
かといって、奇想天外にみえるその二つ(芸術と野球)が
ピアノのタッチに現れる音色の違い、曲の演奏の違いを扱うだけでなく
リンゴを囓る音、打球の音、鳥の音、水の音……。そのどれもが
感じ取られる「音」として繊細に描かれていくことで、次第に
ひとつの繋がりに感じられてくるところも見事だと感じました。
娘のピアノの才能を最大限に伸ばすため夫亡き後も必死でサポートする母。
八百屋の息子で音大浪人生の和音との偶然の出逢い。
この二人の存在がコミカルに、リアルに絡まっていくことで
うたの魅力が一層輝いていく1巻です。
少年野球の決勝戦とYMCヤングピアニストコンクール決勝が
なんと同日開催というラストまでの緊張感。
コンクール決勝はどうなってしまうのか?
ひとつの区切りを迎えるまでのラストまで目が離せませんでした。









