- 出版社:光文社
- サイズ:20cm/312p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-334-92421-2
深淵 下
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- 税込価格:1,890円(54pt)
- 発行年月:2004.1
- 発送可能日:7~21日
- 本
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商品説明- 「深淵 下」
記憶喪失の12年間、秋山信馬として生活していた麻田布満は、冤罪・誤判の防止と再審無罪者への補償推進を行う会の運営委員となるが…。「冤罪・誤判」と言われる二つの殺人事件を通して、人間・社会のあるべき姿を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「深淵 下」
大西 巨人
- 略歴
- 〈大西巨人〉1919年福岡市生まれ。九州大学法文学部中退。著書に「神聖喜劇」「天路の奈落」「迷宮」などがある。
書店員レビュー- 「深淵 下」

「冤罪・誤判」といわ...
ジュンク堂さん
「冤罪・誤判」といわれる二つの殺人事件を通して描かれる、人間・社会のあるべき姿を追求。俗情との結託を排する厳格な文学世界、久々の登場。
ユーザーレビュー- 「深淵 下」
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| 評価内訳 | 全て(2件) | |
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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2004/02/06 13:37
「作家の思想」と「物語」とのあいだに横たわるものについて考えさせられる。また、「おもしろさ」について考えることと、「おもしろさ」を感じることについても…。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー)(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
数値評価を結構当てにするという人のために、★印をつけず「評価保留」としたことの真意を書いてみるなら、3.3〜4.2ぐらいの範囲で通読中に微妙な揺れが生じた。3つなのか4つなのか絞り込めずにアポケーしてしまったというのが本当のところだと補足しておきたい。
まだあまり評の出ていない本書だが、谷津さんという方が自身のブログ(yatsu blog)でかなりシビアで鋭いコメントを提示している。この人は『神聖喜劇』を読破している。
「この小説は大西氏の説教の道具になってしまっているように感じる。つまり、小説としての魅了を感じないのだ」「この小説は大西氏の頑固哲学の流通媒体でしかないのかと思ったとたん、つまらなくなって読む気力がなくなってしまったのでした……」
上巻の感想のところで、私は「あまり目にしたくなかった新聞広告が出てしまった」と言いながら、人に対する気遣いなく内容を書き出してしまったが、広告を読んで「小説とはこうあらねばならない」という作者の思い込み過剰を認めないわけにはいかなかった。谷津さんの書かれているところまで突き抜けた思いは抱いていないが、大方のところで同意である。
もちろん思い入れのない小説など面白くない。しかし、思い入れが前面に出てきて全編をところどころ覆ってしまっているような印象を何ヶ所かで受けてしまった。そういうところは、残念ながら至難事の両輪の片方である「おもしろさ」がかすんでしまう。
たとえば古今東西の文学、哲学、思想が登場人物たちの教養や倫理、生活信条などに強い作用を与え、引用される箴言的な言葉が物語に重厚な雰囲気を醸し出している。ブックガイド的な役割も担って、本好きにはそれがまたひとつの大きな魅力ではあろう。
だが、主人公に関わる女性ふたりが共に、カフカ『城』の冒頭を4行もそらんじることができるという設定。戦前生まれの女史のような手紙の文体。それゆえに寓話的だと譲ってみたところで、寓話からも受け止められるべきであるリアリティがどこかに霧消してしまう。博覧強記の教養はベタに盛り込まれなくても、エッセンスや仄めかしなどで表現された方が物語性を豊穣にするのではないだろうか。
12年の空白というトンネルの入口で、主人公は過去の生い立ち経歴の記憶を失う。トンネルの出口で再び、別人として破綻なく生きた12年間の生活の記憶を失う。12年の空白後の目覚めから始まるこの小説は、ミステリのプロットとして絶妙にスリリングな設定を持っているのだ。逆行性健忘というこの精神障害は、筆力のある小説家ならば娯楽小説としていかようにもドラマチックに書き得ると思う。元よりハリウッド映画的おもしろさを求めて手に取ったわけではないが…。
かくあるべき小説の姿を追うよりも、むしろかくあるべき人間存在が、ロシア小説の一節の引用をもって語られるのではなく、他者の言葉には託せないむきだしの主人公の言葉で語られてほしかった。
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2004/02/10 04:18
すごいなー、保坂さん。
投稿者:mikegame(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容というよりも、裏テーマとしての保坂和志さんについて。
作中に出てくる文芸作品はたくさんありますが、チェーホフやカフカやオーウェルや、オクタヴィオ・パスやマルケス、そういう人たちに混じって、ひょっこりと(現役の国内の作家である)保坂和志さんの名前が出てくるんですね。しかも主人公が移動中の新幹線で「という演算」を感興をもって読んでいる。これって、影響を受けていることを表明している(少なくとも、そう誤解されることを許容する)ようなものではありませんか。すごいなー、保坂さん。
そう考えると、この「深淵」の中でも、主人公・麻田布満とその妻・琴絵が、ともに犬猫に対する反感・嫌悪、潔癖を抱いている、その論理的立場について語られる部分があります。これは保坂和志さんに対する、大西氏の回答かとも思える。
小島信夫さんの「うるわしき日々」を読んだときも、保坂和志さんの影を感じましたが、純文学の大家と呼ばれる人たちに愛読されている、保坂さんの距離感といいますか、骨太の感じといいますか、老人キラーみたいなそうした存在感は、とても面白いと思います。
実際、保坂さんの小説、おもしろいですものね。







