刹那の魔女の冒険 (講談社ノベルス)
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- 税込価格:1,260円(36pt)
- 発行年月:2004.2
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商品説明- 「刹那の魔女の冒険」
雪の別荘での死体移動の謎、奇妙な時計塔の中で殺人犯が消えた謎、学園祭のお化け屋敷内で起きた殺人事件の驚くべきトリック、虚構と現実が交錯する衝撃のラストなど、全く異なる2通りの読み方ができる本格ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「刹那の魔女の冒険」
関田 涙
- 略歴
- 〈関田涙〉1967年横浜市生まれ。著書に「蜜の森の凍える女神」がある。
ユーザーレビュー- 「刹那の魔女の冒険」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2004/10/14 07:45
ミステリーファン向け、というより、文学愛好家向け
投稿者:のらねこ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴィッキーという女子高生探偵物のシリーズの三作目、だそうだけど、前二作は未読。それで全く問題なく楽しめる。前二作を読んでないのになんでいきなりこの本だけを読んだかというと、帯の、
「本書には仕掛けがあります。思う存分、騙される快感が堪能できます!」
という文句につられてぱらぱらとページをめくったら、冒頭にコルタサルの『石蹴り遊び』が引き合いに出されていて、「ああ。その手の仕掛けなら読む価値あるかな?」と思ったから。章題にアラビア数字(1、2など)と漢数字(一、に、など)が使われているのが混在していて、最初からページを追って読んでいってもいいし、漢数字が使われている章だけを追っていっても「物語」としては成立する、という、まあ、凝っているといえば凝っている構成。
作中ででてくる「事件」も、「麗野原高原の事件」、「水声高校の事件」、とそれに作中作(といっていいのか? この場合)「ヴィッキーの隠れ家」内で起こる「時計塔の事件」と、それに、「関口涙の殺害」と、大きく分けて四つつの謎と解決が描かれているわけで、ミステリーとしてもコストパフォーマンスはそれなりに高い。ただし、前の二つの「事件」は、どうやらシリーズ既刊分二冊の別ヴァージョンらしく、「時計塔」のほうは、作中の作家、関口涙が書いたという小説「ヴィッキーの隠れ家」シリーズの世界の中での出来事で、このシリーズ通しての主人公である女子高生の「ヴィッキー」は、この「作中作」の中に出てくる魔女の「ヴィッキー」のファンで、自ら「ヴィッキー」として名乗っているウチにそれがあだ名として定着した、という、今こうして書きだしてていても、ナニがナンだか的なかなーり複雑な設定。いや、最初から順を追って読んでいれば、そんなに混乱することもないんですが。
まあ、一言でいうと、いわゆる一つのメタフィクションなわけで、個人的には殺人事件とのその謎解き的な文脈よりもそっちのほうがよっぽど興味を惹かれるわけです。作中で何度か触れられるトウェインの「不思議な少年」の真作・偽作・ヴァージョン違いについての議論が、そのまま本作の趣向に深く関わるような部分があったり、最後まで読むと「なにかというとキャラクターの魅力を強調しすぎて安易な方にいきがちな昨今のミステリ業界(いや、このような傾向は別にミステリだけの話しではないか)の風潮」に対する大きな皮肉ではないのか? とか、と思ってしまう。
時折、ポっ、と、こういう毛色の変わった作品を出すから、犬印は油断できないのである。
酩酊亭亭主
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2004/02/20 17:01
二種類の読み方が楽しめるものの、一ファンとしては認めたくないラスト。
投稿者:カルバドス(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
女子高生名探偵ヴィッキーシリーズの三作目である本書は、二種類の読み方が可能だ。各章がローマ数字と漢数字で分けられているので、どちらかだけを追っていけばそれぞれ違った内容を楽しめる(最初から最後まで全て通して読めば三通り)。これまでの二作品を読んだことがあるのなら、まずは漢数字だけを追っていくことを勧める。その後、ローマ数字の章だけ、もしくは全てを通して読むことで、全体像がハッキリするだけでなく、これまでの二作品との微妙な違いをも実感できるはずだからだ。もし本書が初めてのヴィッキーシリーズならば、最初から最後まで全編通して読むことを勧める。ファンタジー色の濃いミステリとして楽しめるはずだから。
こうして新たなシリーズ作品に出会えたことは、一ファンとしては非常に喜ばしいことだ。しかし、本書に限っては、気持ち良く読み進めることができなかった。ラストへと進むにつれ、言いしれぬ不安を禁じ得なくなるからだ。そして、その不安は的中してしまう。
カバーにあるあらすじには“衝撃のラスト”の文字が踊っている。確かに“衝撃”には違いないが、個人的にはあまり……いや、絶対に認めたくない結末だ。作品の完成度云々ではなく(完成度は極めて高い)、純粋に内容を認めたくないのだ。読後、しばし呆然としてしまったほど“衝撃”は大きかった。
作中で解き明かされる事件は大きく三つ。雪の別荘を舞台にした殺人と、学園祭の最中に起こった殺人と、時計塔の中で起こった殺人。だが、その他に一つ事件がからんでいる。それこそが、“衝撃のラスト”へとつながる、あまりにも大きな事件。あなたは、その巨大なトリックに気付くことができるだろうか?







