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ボーイズ・ビー

  • 出版社:小学館
  • サイズ:20cm/223p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-09-386133-1

ボーイズ・ビー

桂 望実 (著)

  • 全体の評価 4.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,36539pt
  • 発行年月:2004.4
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「ボーイズ・ビー」

ママを亡くしたばかりの隼人には6歳の弟・直也がいる。直也はまだママが「死んだ」ということがわからない。だから、ぼくが直也の面倒を見なければならない…。じんわりと気持ちがほぐれる泣けないガキと偏屈ジジイの物語。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「ボーイズ・ビー」

桂 望実

略歴
〈桂望実〉1965年東京都生まれ。大妻女子大学卒業。会社勤務を経てフリーライターとなる。「死日記」でエクスナレッジ社「作家への道!」優秀賞受賞。

ユーザーレビュー- 「ボーイズ・ビー」

全体の評価
4.5
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2005/01/22 13:02

人生における出会いとは本当に奇遇である。

投稿者:トラキチ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

私たちが生きていてこんなことがよくあると思う。
“まさかこの人とこんなに親しくなれると予期してたであろうか?”

薄い220ページ余りの本の中に、私たちが生きて行く上で最も普遍的な友情・兄弟愛・親子愛・自己再建というテーマが盛り込まれている。

友情を結ぶ人物(栄造と隼人)の年齢差がなんと58歳。
本作は世代を超えて読み継がれるべき恰好の1冊となった。

現実的にはたとえば祖父と孫以外には考えられないかもしれないが…
老人の頑固さと、少年の純真さが上手く溶け合って物語自体を凄く厚みのあるものとしている。

小説としての設定は本当に唸らせるほど巧みである。
年老いた靴職人の栄造が自分を取り戻す為に靴作りに精を出す。
必死に見守る隼人の姿が読者の脳裡に焼き付いて離れない。
その他プリンを作る場面、室田先生の財布からお金が盗まれた事件。

欲張り読者の私は、作中に亡くなった母の双子の妹・美佳が一緒に住むと言うエピソードがあるのだが、もしパパの幸せを願って一緒に住むことを了承した兄弟というのも見てみたかったような気がする。
幅広い年代に読まれるべき作品だから、無理だったのでしょうが…
私自身は隼人って優しいだけじゃなく、とっても心の広い少年だと思っているから。

『「か、母さんはーーみ、美佳おばちゃんじゃない」涙を袖で拭った。「美佳おばちゃんは母さんになれない。そんなこと、父さんだってわかってるでしょ。そ、そんなことーーずっとわかってると思ってたよ。淋しいよ。淋しいんだよ。誰がいたって、淋しいんだよ。母さんじゃなけりゃ、淋しいんだよ」』(引用)


隼人少年に教えられることって本当に多い。
人間誰にでも栄造のように頑固で偏屈な面は持ち合わせていると思う。
作中の栄造にとっての隼人存在が、読者にとってのこの本自体の存在に等しい。
生きる勇気を与えてくれるのである。

とりわけ男の子を持つ母親が読まれたら、きっとこんな子に育って欲しいと感じることであろう。

少し父親の視点から語りたい。
隼人・直也少年を子とした父親・正和って幸せものだ。
亡き妻・美穂が残してくれた至福のプレゼントである。
ずっとずっと大切にして欲しい。
心から願っている。

有意義な読書を終えたあとの心地よさをあなたも味わって欲しいなと思う。

マイレコ

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2004/12/16 22:49

栄造と隼人、70歳と12歳の友情物語

投稿者:花の舟(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る


 頑固一徹の靴職人・園田栄造と、母を亡くしたばかりで、父の多忙さを思うゆえ、必死で弟・直也の世話をする、川畑隼人(小6)の心が結びついていくようすが、爽やかな読後感を誘う物語です。語り口、テーマの採り方共に、前作の『死日記』からは驚くほどの変貌です。
 栄造は口の悪い、頑固じじい。隼人のことはガキ、犬猿の仲の掃除のおばさんのことはババアと呼ぶ。赤いアルファロメオを転がし、ファッションだって、めちゃくちゃいかしたスタイルでキメています。
 たまたま、弟の直也の絵画教室が、栄造のアトリエがあるビルと同じだったことから、出会い、二人はゆるゆると近付きあって、お互いに必要な人になっていきます。
 あの日、あの時、あの場所での出会いが、人生のベクトルを変えることって、きっと誰にでもあると思うのです。その時、二人はそれぞれに、抱えている問題がありました。隼人は直也と共に、母の死を乗り越えるという、栄造は、思い通りに靴を造れなくなったという、問題でした。
 たった6歳の直也が、母親の死をいつまでも理解できないのは仕方ない。その直也が元気を出し、立ち直れるように、隼人に協力したり、知恵を貸したりする栄造は、かつての頑固じじいから、少しずつ変わっていく自分に気付いていたはずです。なぜなら、栄造自身が育った境遇に思いを馳せ、里親ではあったけれど、優しかった母を未だに恋しく思う気持ちがあったからです。自分だって寂しく心細い思いをこらえて、弟の面倒を見る隼人が、ぎりぎりの状態で踏ん張っているのを見かねて、栄造が、「兄貴だからっていっていっつも我慢する必要はないさ」と慰めるところでは、ほっと胸をなで下ろしました。
 一方、栄造の靴造りの問題は、顧客・小池と隼人の作戦によって、徐々に解決の方向に向かい始めるのでした。世界のマイスターコンテストに出品させようという作戦です。当初は、のらりくらりと言を濁して、思い通りの靴を造れなくなったことと向き合おうとしなかった栄造ですが、ある時、いい靴を造ることは、栄造さんだけの問題じゃない、革屋、木型屋、ヒール屋皆の喜びなんだという小池の言葉に、驚愕し、心を決め、仕事に打ち込むのでした。
 隼人を巡る問題に付きあっていくうちに、アトリエの人々とも付き合いが自然と始まってしまいました。掃除のおばさんとでさえ、気持ちを通わせるまでになっていました。口の悪さは直らなかったけれど。
 最終章はたった2ページ。明るく穏やかな場面と会話に、栄造と隼人、二人ともが何事かをやり遂げた満足感を内に秘めていることが窺えます。栄造さん、今では“宝物”なんかできちゃって、作品の最初の方と同じ人とは思えない。じんわりと涙が浮かんできて仕方ありませんでした。

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