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遠野物語 新版(角川ソフィア文庫)

遠野物語 新版 (角川ソフィア文庫)

柳田 国男 (著)

  • 全体の評価 4.53件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:50014pt
  • 発行年月:2004.5
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ユーザーレビュー- 「遠野物語 新版」

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4.5
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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/05/25 15:06

人は自然のなかにいた

投稿者:kumataro(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

遠野物語 柳田国男 角川ソフィア文庫

 考えてみれば日本各地にそれぞれの遠野物語があると思う。妖怪は人間の化身である。古くからの言い伝え、短文表記、明治以前の日本人の暮らしがよみがえる。日本の「ナルニア国物語」であり「ハリーポッター」でもある。この本にある話は幻想的だ。
 木の坐像の話は意外であり興味深い。こどもたちが坐像をひきずったり川へ投げ込んだりする。それを見た大人たちがこどもたちをとがめる。すると坐像が怒る。坐像はこどもたちと遊んでいたと理由を述べる。
 いわゆる道徳に対する反発で創造がある。私は坐像はこどもにとっていじめの対象になってくれた人間の代替品だと感じた。魑魅魍魎(ちみもうりょう)と妖怪の出現は「トトロ」のようでもあり宗教的だ。昔の日本の暮らしというよりも、一人ひとりの登場人物が個性的だ。動物、山、樹木、海、人は昔、自然のなかにいた。

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6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/03/13 22:31

初版序文の文章も素晴らしい

投稿者:東の風(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1909年(明治42年)から1910年にかけて、当時30代半ばの柳田国男氏が、奥州は遠野の人・佐々木鏡石氏(当時24~25歳)から聞いた土地の人たちの話を採集、筆記した民間伝承譚「遠野物語」。

 全部で119の短い言い伝えの背後に、深い山や黒い森の景色が見えるような気がしました。谷川の清流のさらさらいう音や、凄い風のごおーっと唸る音が聞こえてくる気がしました。
 神隠しに遭った女の話や山奥の不思議な家「マヨヒガ」の話などあるなかで、格別印象に残ったのは次のふたつの話。

 嫁と姑との仲が悪い家で気が変になった男の話(第11番)。
 「ガガはとても生かしてはおかれぬ、今日はきつと殺すべし」と言って、草刈り鎌をごしごしと磨ぎ始めるあたりからの成り行きにぞくぞくさせられたなあ。

 もうひとつは、不思議な「石」の話(第95番)。
 形の面白い岩などを持って帰るのを趣味にしている庭作りの得意な男が、山で遊んでいるうちに美しい大岩を見つけたところが・・・・・・。

 ほかにも、津波で死んだ妻に遭った男の話や、ヤマハハが娘を喰らいて皮を剥ぎ、その皮をかぶって娘になりすます話などなど、昔話のエッセンスともいうべき怪異譚やら奇譚やらがいっぱい。

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/05/09 09:15

「語り」を書き留める文芸

投稿者:松井高志(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 柳田国男の著作の中でもっとも著名なものであろうと思われるから、内容を要約するのさえ気恥ずかしいが、この本は岩手・遠野に伝わる民間伝承を記録したもので、当初は300部の小規模出版であったらしい(うち200部が贈呈本であったという)。そこにはこの地方の古くからの習俗、伝説、怪異にまつわる話が豊富に含まれており、近代人・現代人のイマジネーションを刺激し、これが民俗学の出発点となったわけである。
 この文庫本は、「遠野物語」と、続編にあたる「遠野物語拾遺」、さらに折口信夫による初版解説(昭和10年)をも収録している。
 著者は、佐々木鏡石という遠野の人が収集したこれらの「話」を、「一字一句を加減せず感じたるままを」筆記したと述べている。冒頭でのこの種の宣言は、小栗重吉が語った漂流記「船長日記」の筆記における池田寛親の宣言に似ている。自分はなんら作為を加えていない、ただ誠実に語られたままを書き留めたのである、と。
 佐々木という人物は、遠野の人々の語りを収集しているわけだから、間接的であるが、この「遠野物語」は話芸筆記に通じるものがあると考えてもいいと思う。
 読者は、この本を読み進むにつれ、これらの一編数行〜十数行の簡潔で、だからこそ象徴性を帯びた「語り」の群れから、どれに惹かれるか、どれをより詳しく聴きたいと思うか。それは全く各個人の趣味や嗜好でまちまちであろう。妖怪が出てくる話か、動物の生態の話か、神隠しの話か、幽霊か、侍と百姓のリアルな確執か。その人の生活史・個人史によって、「遠野物語」「拾遺」は、輝き方を変える。この多面性こそが名著たる所以なのであろう。一回読んで、「面白かった」か「つまらなかった」かのどちらかに振り分けて、「おしまい、はい次の本」、という姿勢で読むべきではない。ある本を「こう読むべきでない」というようなきめつけ方はよろしくないのだが、そういう「格」の本があってもいいのではないかと私は思うのである。

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