- 出版社:朝日出版社
- サイズ:19cm/361,19p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-255-00277-0
心脳問題 「脳の世紀」を生き抜く
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- 税込価格:2,205円(63pt)
- 発行年月:2004.6
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- 本
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商品説明- 「心脳問題 「脳の世紀」を生き抜く」
脳科学の急速な発展のなかで、正気を保つための常識と作法を解説。氾濫する脳情報のトリックとは? 脳がわかれば心がわかるのか? 誰も教えてくれなかった「脳情報とのつきあいかた」を指南する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「心脳問題 「脳の世紀」を生き抜く」
山本 貴光
- 略歴
- 〈山本〉1971年生まれ。コーエーにてゲーム制作に従事。「哲学の劇場」主宰。
〈吉川〉1972年生まれ。ヤフーを経て、フリーランス。「哲学の劇場」主宰。
ユーザーレビュー- 「心脳問題 「脳の世紀」を生き抜く」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2012/01/08 04:54
誠実な本だと思う。
投稿者:中堅(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「(脳研究にまつわる-評者注)そうした情報を的確にとらえるための枠組みと材料を提供することを目的(P.6)」としており、「効能」として、下記3点が挙げられている。
(引用始まり)
1.脳をネタにした言説の読み解きかたがわかる
2.脳研究の問題意識と方法がわかる
3.脳科学が人間と社会にもたらす問題の所在がわかる
(引用終わりP.6-7)
評者の独断と偏見によると、この手の本は、下記3点に代表される特徴がある。
1.カタルシスが得られない
2.さらなる「問題」を読む人に与える
→(1.2.の理由)もともと「解決」ではなく、「見通し」を立てるだけであるため。
3.あんまり売れない(笑)
→(3.の理由)第1章で批判している疑似科学本が使っているような強烈なキャッチフレーズが使えないため。要するに地味(笑)
疑似科学本の例:「話を聞かない男、地図が読めない女」「セックスしたがる男、愛を求める女」
誠実な本だと思う。不安を煽って、その不安を解消すると謳って買わせようとするキャッチーな擬似科学本が多い中、問題の難しさに真正面から取り組む姿勢と、親切な巻末のブックガイドはありがたい。「心身問題」「心脳問題」に興味がある方はもちろん、「脳が分かれば○○が分かる」、といったような本に金・時間を奪われてきた方にもお薦め。
(以下雑感)
・抗鬱薬プロザックが「ちょっと気分をよくするために(P.262)」という理由で、アメリカで2800万人に使用されている、という事実に衝撃を受けた。近い将来、落ち込んでいる人間をみたら、励ましの言葉よりも、プロザックを与えることがモラルになるのだろうか? 「元気だしなよ」と。
・ただ、これは評者の独断だが、神経薬理学が進歩し、副作用が無い、となったとしても、抗鬱薬の投与のような、あまりに人工的な人間の改造は、日本の精神風土(図式的にいうと「自然の一部としての人間」)には合わない、と評者は個人的に思う。ゆえに、アメリカと違って日本では、プロザックが表立って流行るようなことは無いのではないか? と考える。
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2004/06/24 19:40
初心者にもおすすめ
投稿者:オレンジジュース(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
脳とか心に興味があるので読んでみました。
タイトルがごっついので難しいかもと思ったけど心配なかったです。言葉づかいがフレンドリーなのでふつうに読めました。
いままで読んだ脳の本だと脳の性能みたいなことはたくさん書いてありましたが、そういう性能がわかるということが個々人にとってどういう意味があるのかというところはよくわからなかったです。
この本ではそこのところが社会や政治の状況とからめて論じられていて、とても興味深かったです。ホントにそうなの?というとこもあったけど、いろいろ考えるときの材料やヒントをたくさん貰ったような気がします。
おすすめ。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2004/06/27 01:56
脳の世紀を生き抜くために必要なリテラシー
投稿者:オリオン(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
21世紀は「脳の世紀」である。脳科学の発展は新たな答えと問いを同時に突きつけてくる。それにたいしてわたしたちがどう考え行動するのかが問われている。本書はそのような時代における「脳情報のリテラシー」(脳の世紀を生き抜くために必要な基礎知力、すなわち「週末の科学者」が軽々しくかつもっともらしく繰り出す「科学の知見を不当に拡張したおしゃべり」に騙されないためのリテラシー)を提案しようとするものである。著者たちは冒頭にそう書いている。
そのためまず前半部ではギルバート・ライル(科学の説明と日常の経験との「ジレンマ」や「カテゴリー・ミステイク」)とカント(自由と自然法則をめぐる「第三アンチノミー」)と大森荘蔵(科学的描写と日常描写の「重ね描き」)を決定的な導きの糸として心脳問題の核心=震源地に迫りその解決=解消を図る。次いで(本書の意図から言えば中核をなす)後半部において心脳問題を現代的な文脈(コントロール型社会と脳工学と脳中心主義のトライアングル)のうちに位置づけその「政治性」に説き及ぶ。そして終章では「一般化しえない特異な出来事が継起する[もしくは時間の流れのなかで履歴を重ねながら存在しつづけている]事物の本来的なありかた」としての「持続」の概念を提示する。
戦略性をもって鮮やかに練り上げられた構成(「ジェットコースターに乗っているようなめくるめく展開」と大澤真幸)とそれに相応しい明快な主張をもった本(「知性の書」と石田英敬)である。なにより巻末の「作品ガイド」で紹介された百冊ほどの書物から摘み取られたいくつかの概念を巧みにコラージュしていく自在な語り口が見事だ。「二人で一人」のドゥルーズ/ガタリならぬ「二人合わせて半人前」(あとがき)の著者たちによるもう一つの『哲学とは何か』。
──心という非物質的なものと脳という物質的なものとの関係を問題にするとき、「心」とは何か、「物(物質・もの)」とは何か、「関係」とは何かが三位一体的に解明されなければならないと思う。(本当は「問題」とは何か、あるいは誰が問題にするのか、そして解明するとは何かを含めた四位一体的な考察を通じて第五の問題として心脳問題が浮上してくるのだと思う。)
その意味で本書では科学者たちによる「物質とは何か」(物質としての生命=システムとは何かを含む)をめぐる思考があまりにも早々と切り捨てられている。(だから前半部のうち物質としての脳の研究史をめぐる長い挿入が完璧に浮いていて本書の唯一の構成上の疵となっている。)またそもそも本書では「心とは何か」をめぐる叙述にほとんど見るべきものがない。(だから大森荘蔵流の心脳問題の解決=解消や最後に出てくる「持続」の概念にそれほどの衝撃や迫真性が伴わない。そこでいったい何が解消され持続するのかがよく判らない。)でも本書の核心は間違いなく後半部にある。心脳問題が孕んでいた現代的な意味を白日のもとにさらした本書後半部の達成はそれだけで充分素晴らしい。







