- 出版社:中央公論新社
- サイズ:16cm/181p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-12-204384-0
日本妖怪変化史 改版 (中公文庫 BIBLIO)
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- 税込価格:900円(25pt)
- 発行年月:2004.6
- 発送可能日:1~3日
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ユーザーレビュー- 「日本妖怪変化史 改版」
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2004/10/26 14:52
妖怪と変化が百鬼夜行、眼前に立ち現れ、通り過ぎて行くが如き書
投稿者:風(kaze)(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
妖怪(本来のままで出現するもの。いわゆる化けないもの)と、変化(本来の姿を変えて出現するもの。幽霊などのいわゆる化けるもの)の二種の怪しい存在(もの)を、彼らの容姿から細かく分類し、人間とどんな関わりを持ってきたか、いかなる出現の理由を持ち、どのような変遷をたどってきたかを考察した論文「日本妖怪変化史」。柳田國男をはじめとする民俗学の泰斗の妖怪研究に先駆けて、大正十二年(1923年)に発表された。
古くは古事記、日本書紀、日本霊異記から、今昔物語、宇治拾遺物語を経て、拾遺お伽婢子(おとぎぼうこ)、太平百物語まで、妖怪と変化が登場する多くの事例を紹介しながら、彼らを分類し、その生態や性格、変遷の歴史を記している。数多くの妖怪と変化(へんげ)が、著者の分類に従って次々に登場し、一堂に会する様はまさに百花繚乱。文字通り、百鬼夜行の様相を呈している。
子どもの頃、テレビで「ゲゲゲの鬼太郎」に夢中になり、ここ数年は京極夏彦の妖怪ミステリー小説(?)などにうつつを抜かしている私にとって、本書は実に興味深く、心楽しい一夜を過ごすことのできた一冊であった。
「百鬼夜行」や「百鬼夜行拾遺」「絵本百物語」、さらには江戸時代の浮世絵など、古今の妖怪と変化の絵が多数掲載されていたのも有り難い。
>(p.123)
>(p.129)
といった文章には、妖怪と変化の存在への著者の親愛の情が響いているようである。化けものが跳梁跋扈する怪談、奇譚の類を好む人間として、まことに頼もしく、嬉しく感じたことである。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/04/17 14:46
日本人の想像力、物語る力の豊かさ
投稿者:木の葉燃朗(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者、江馬務氏は、「日本における風俗史学を確立した人物」(p.162、香川雅信氏の解説より)。1911年に風俗史研究会を創設、1916年からは雑誌『風俗研究』を発行した。解説によれば、江馬氏は風俗を「上層・下層を含めた生活文化として捉えていた」(p.163)。民俗学に近いが、もう少し日々の生活に近い部分をテーマにしている、といったところだろうか。その風俗の中で、江馬氏個人の関心の高かったテーマが、妖怪を含む迷信の研究だったようだ。
この本には、1923年に刊行されたものの復刊。「日本妖怪変化史」、「文芸上に表れたる鬼」、「火の玉」の三つの論文が収録されている。いずれも、日本の江戸時代までの文献に残る妖怪・変化の記録を収集・分類し、紹介している。なお「自序」に「風俗史の見地から、この妖怪変化の現象を観るときは、これが実在しょうがせまいが、かくのごとき枝葉の穿鑿は無用のこと」(p.5)とあるように、本当に妖怪変化が存在したのかどうかを問題とするのではなく、昔の人々が遭遇した様子を集めている。その上で、「妖怪変化の生成ならびに出現の原因」(pp.52-77)、「妖怪変化の容姿と言語」(pp.87-115)、「妖怪変化の能力と弱点」(pp.119-127)といった内容ごとに、該当する文献をもとに紹介している。
ちなみに、この本の中での「妖怪」、「変化」の定義は、「『妖怪』は得体の知れない不思議なもの、『変化』はあるものが外観的にその正体を変えたもの」(p.12)となっている。例えば、狸や狐が人を化かすのは変化、人が幽霊となるのも変化、河童や海坊主のように、もともと異形のものとして存在するのは妖怪、となる。
初めから順番に読むよりも、興味のあるところから読んだり、調べ物をするために必要な箇所を何度も読み直したりするのにあっている本かもしれないと感じた。その意味で、索引がついているのは非常に意味がある。図版(妖怪変化の絵)を眺めていても興味深い。逆に、通して読むと、同じ話が別の視点から紹介されていたり、エピソードの羅列になっている部分もあって、やや難解な印象を受ける。また、熟語が多用される文体も、大正時代に刊行された本らしさがあり、これも難解に感じる人があるだろう。
それでもこの本が労作であること、妖怪についての研究をする際に価値がある資料であることは強く感じる。そして、日本人の想像力、物語る力の豊かさも、この本を通して感じる。私は、妖怪変化が実在すると思うかと問われれば、「実在しないと思う」と答える。しかし、妖怪変化に遭遇した様子を書き残した文献を否定することもしない。それらは、人々が見聞きしたなんらかの物事を解釈し、残したものだと思うので。その心の働きには、興味を惹かれる。







