暗黒館の殺人 下 (講談社ノベルス)
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- 税込価格:1,575円(45pt)
- 発行年月:2004.9
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商品説明- 「暗黒館の殺人 下」
謎めいた住人たちと奇妙な儀式に彩られた妖の館で、ついに事件は勃発する。犯人の狂気はさらなる犠牲者を求め、物語は哀しくも凄絶な破局へと突き進む! 次々と起きる惨劇の背後に隠されたものとは何か?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「暗黒館の殺人 下」
綾辻 行人
- 略歴
- 〈綾辻行人〉1960年京都生まれ。京都大学大学院博士後期課程修了。「時計館の殺人」で第45回日本推理作家協会賞を受賞。他の著書に「殺人鬼」「眼球綺譚」等。
ユーザーレビュー- 「暗黒館の殺人 下」
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2004/10/26 22:52
この「暗黒」に侵食されてください
投稿者:祐樹一依(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
綾辻行人といえば「館シリーズ」。と答える人は多いでしょう。氏のミステリはまさにそこから始まったのであり、本作はその集大成とも呼べる大作。上下巻、計1300ページにも及ぶ膨大な物語は、世にも奇妙な漆黒の館「暗黒館」にて繰り広げられる殺人事件が語られた巨編であります。
手にとって見ればずしりと響く重さそのままに、長大な物語は隅から隅まで綾辻氏の「館」の雰囲気に満ち満ちています。雰囲気作りから物語が始まり、どの場面においても雰囲気が前面に押し出されている印象は拭えません。「普通ではない」ことが明らかである、どろどろとした、そしてもやもやとした不可思議な空気は、幻想綺談を思わせるものでもあるのだけれど、読者はまさに「暗黒館」の空気にどっぷりと浸かることから、物語を「体験」することになるのです。これは誇張ではなくて、この本に「侵食」される度合が大きければ大きいほど、後々の感慨は深くなること必至です。
何せ「館シリーズ」ですから、用いられるメイントリックがどんな種類のものなのか、分かる人は分かると思われます。しかし、先述のように幻想ミステリの要素が色濃く主張されている本作においては、何処から何処までが明確に現実に起こっている事実なのか、読者の判断に惑いもさせる効力を持たせることによって、終盤までその正体をはっきりとさせません。それゆえに、動機が全く不明な殺人事件に科せられた「無意味の意味」には嘆息させられました(それは事件の動機とも繋がっていたので)。作中に起こるのは大まかに分けて「現在の事件」と「過去の事件」ということになると思いますが、その二者が微妙な…、接近とも拮抗とも呼べるような結びつきを持つことにより、本作そのものの安定性をもギリギリの状態で保つことに成功しているようです。
最終的に示される、物語全体を生かした仕掛けは、人によっては受け入れがたい種類のものであるかもしれないけれど、これは読者の「視点」を作中にどう生かすか、を綾辻氏が吟味した形でしょうね、きっと。
また、本作が「館シリーズ」の集大成であることを綾辻氏が一番意識したに違いない「ある真相」。これもまた、そういうことか、という驚きは大きいでしょう。その意味で、万人に勧めるには至らないのですが、これまでのシリーズ作を読んでいて、けれど本作はこの分量のせいで読むことを躊躇っている、という人は是非とも読んで頂きたい、と一押ししたい一冊です。
(初出:CANARYCAGE)







