風の歌を聴け (講談社文庫)
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- 税込価格:400円(11pt)
- 発行年月:2004.9
- 発送可能日:24時間
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商品説明- 「風の歌を聴け」
【群像新人文学賞(第22回)】【「TRC MARC」の商品解説】
ユーザーレビュー- 「風の歌を聴け」
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/05/29 20:53
遠い青春、青春の遠さ
投稿者:けんいち(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
もはや村上春樹も、中年といってよい年になってしまったけれど、当たり前といえばそうなのだけれど、小説は年をとらない。だから、『風の歌を聴け』は、いつまでもあの時の「青春」をたたえて、そこに、ある。
とはいえ、書かれたその時から、『風の歌を聴け』に描かれた青春は、小説としては新しいものであったにせよ、そのモチーフは、節度ある感傷として遠いものであった。
だから、今や、『風の歌を聴け』がそのままあっても、われわれが時を経てきてしまった以上、それは遠い青春であるばかりでなく、青春の遠さをもあらわし、ますます魅力的な小説に洗練されてきたように思えてくる。
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/04/29 12:34
優しさは、ときに人を傷つけてしまう。
投稿者:ろでむ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
完璧な文章などといったものは存在しない。
完璧な絶望が存在しないようにね。
これほど引き込まれる出だしに出会ったことはない。
村上春樹氏の処女作「風の歌を聴け」の第一文だ。
あらすじは、ウィキペディア でも参照してもらえればよい。
僕が語ることでもない。
僕と、この小説の主人公「僕」は、似ている部分が多いなと感じた。
相手を否定しないという点だ。
ただ、この小説でも描かれているように、
相手を否定しない=相手を受け入れる
のとは意味合いが異なる。
優しさは、ときには武器になる。
相手を傷つけてしまう。
”優しさ”という道具は、扱うのが難しい。
道具とは得てしてそういうものだということが、わかる一冊だろう。
≪以下抜粋≫
・正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへと
沈みこんでいく。
・もしあなたが芸術や文学を求めているのならギリシャ人の書いた
ものを読めばいい
・「何故そう思うの?」「うーん」
答えなどなかった。
・「ねぇ、私っていくつに見える?」
「28。」
「嘘つきねぇ。」
「26。」
女は笑った。
・優れた知性とは二つの対立する概念を同時に抱きながら、
その機能を充分に発揮していくことができる。
・「・・・ねぇ、いろんな嫌な目にあったわ。」
「わかるよ」
・「冷たいワインと暖かい心」
・「何故いつも訊ねられるまで何も言わないの?」
・彼女は彼女にとってふさわしいだけの美人ではなかった
・巨大さってのは時々ね、物事の本質を全く別のものに変えちまう。
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/10/28 22:38
風の歌を聴け
投稿者:hiro(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
まだ村上春樹の名がそれほど広く知られていなかった時期、文芸雑誌の新人賞受賞作ということで読んでみました。当時は現代作家として、遠藤周作や大江健三郎を集中して読んでいた自分にとって、それ程名の知られていない若手作家の処女作ということもあり、その装丁も含めてなんだか薄っぺらな本だなと感じたことを覚えています。一読しての感想は「軽いな」の一言でした。人物や情景の描写、そのテーマ、そして分量、すべてが軽い。1冊の本が、文字通りあっという間に読めてしまいます。しかしその軽さの中に、何か光るものを感じたのでしょう、それ以来、村上氏のすべての作品を追いかけて読むようになり、今に至っています。
この小説は大学生の「僕」と親友「鼠」を中心にした、小指の無い少女やおかしなDJ、中国人のバーテンダーといった、ユニークな人物たちとのささやかな交流を描いた一夏の物語です。それぞれに抱える悩みや鬱屈を、特徴的な短いセンテンスと軽妙な会話とでさらりと捉えています。そんなところが「軽い」という印象につながっているのだろうと思います。しかし今をときめく日本文学の旗手、村上春樹の作品です。その軽さの中には、実に巧妙な仕掛けがあります。そのあたりはたくさん出ている作品研究を読んでみると、この小説の面白さがさらに際立ってくると思います。
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/08/24 08:20
あなたは「ハルキスト」になれますか?
投稿者:あがさ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹氏の作品を読んだことがなく、どれから読んだらいいかと聞いてみたところ、デビュー作である本書を薦められた。なるほど。デビュー作からデビューするのがいいのかなというところだ。
さて、読み始めた。
そして思った。
彼の小説は「ビックリ箱」だ。
飛び出してくる言葉を、素直に飲み込んで消化していく人は、彼のファンになる。
飛び出してくる言葉を、いやちょっと待てと口の前で捕まえて、なんだこれはと眺めてしまう人は、恐らく彼の小説の良さがわからない人になる。
文章のリズムはよいので、スッと読み進めていける方は「ハルキスト」となる。
一つ一つの文章に、意味づけをしようとする方は「ハルキスト」になれない。
恐らく、私は後者だ。
ハルキストにはなれない...。
薦めてくださった方には申し訳ないが、なれないと思う。
それでも、もう1,2冊くらい読んでみようかなとも思う。
それでダメなら諦めよう、ハルキストへの道を。
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/09/21 22:08
ポップな会話
投稿者:本の虫(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹、青春3部作の中の1冊。主人公20台後半の夏の1ページをつづったもの。
軽快に進む主人公と鼠との会話。村上春樹のデビュー作のこの作品をバターくさいと言った評論家がいたようだが、わからないでもない。いわゆる、古きよきアメリカを模したようなポップな流れなのだ。
村上春樹の小説をいくつか読んで思うのだが、私は登場人物の会話の中で交わされるちぐはぐさ、思ってもいないような答えが返ってくるのがとても好きだ。
でも、一方で、読んでいるうちに、表面上だけ面白い回答をしようとしている人間にも思えてくる。口先だけの適当な会話を楽しむ主人公たち。
しかし、だからこそ、確信をついた文言が時々でてくるのだが、かっこいいぐらいに光って見えるのだ。
この作品には、そんな表面的な軽い部分がクローズアップして見えてしまって、本来の村上春樹の世界はまだ作り上げられていないような、模索中である気がした。というのは、村上春樹は、文章や会話そのもので魅せるよりも、難解なストーリの隠喩で魅せる作家であるように思われるので。
しかし、本作品は群像新人文学賞を受賞しているし、村上春樹の処女作として注目されるべき小説であると思う。







