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飢餓の娘 An autobiography

  • 出版社:集英社
  • サイズ:20cm/399p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-08-773419-6

飢餓の娘 An autobiography

虹 影 (著), 関根 謙 (訳)

  • 全体の評価 4.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:2,73078pt
  • 発行年月:2004.9
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明- 「飢餓の娘 An autobiography」

少女「六六」には出生の謎があった。大飢饉の直後に生まれ、凄惨なスラム街に育ち、あたかも生まれながらの飢餓の魂をかかえた娘だった。しかし、18歳の誕生日を前に運命の歯車がまわり始め…。衝撃の自伝的長編小説。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「飢餓の娘 An autobiography」

虹 影

略歴
〈虹〉1962年中国生まれ。揚子江の船頭の父と工場労働者の母を支える極貧生活を経て北京へ上京、89年天安門事件を体験。その後台湾や中国本土で多くの詩・小説を発表。現在ロンドン在住。

ユーザーレビュー- 「飢餓の娘 An autobiography」

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2004/12/14 12:08

封印された「記憶」の開帳の仕方こそが作品を傑作たらしめるものなのだろう。文化大革命の凄惨な底辺に生きた少女の、あらゆる渇望を描いた半生の記。

投稿者:中村びわ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「日本の読者のみなさんへ」という小文が本文のあとに添えられている。ここが一番こたえた部分だった。この部分だけ立ち読みしたところで、本文を読み通したあとに読んだときのような洪水にさらわれる感じは襲ってこないだろう。こと最後の4行に書かれた仮定、「もしもわたしがもう一度、十八歳という年を迎えることができるのなら」につづくきっぱりした意思の表明には、大きな驚きがある。
 生活の場と内面の双方の「修羅」を多感な娘時代にくぐってきた人が、静かに内省のときを迎え、やはり自分を自分たらしめたのはそこだったのだと原点を肯定する。その受容の強さの秘密も、実は小文に書かれている。「何でも読み取ってやろうという気持ち」——文字の持つ力を理解するようになったと作者は表しているが、文字のみならず、自分の内面と外部の境界を問わない、この「知」への渇望こそが、実は「飢餓の娘」だった彼女の本質のようにも思えてくる。

 父母の出会いや自分の生い立ちを辿りながら、18歳に起きた人生を動かす数々の出来事を思い起こし、飾らず誠実に書き起こしていったのがこの小説だ。平穏な日々を送っていた人が「飾らず誠実に」を旨としたところで、それは単に素直さに覆われた微笑ましく心地よい小説にしかならない。虹影の暮らしは「飾らず誠実に」書くことが躊躇されたであろう、どん底の凄惨なものだ。悩みや苦労の絶えない生活への葛藤もただごとではない。
 内陸の重慶市、揚子江の南岸が彼女の故郷である。排水と汚物の処理施設がほとんどないこの町は、積み上げられていく汚物の悪臭で充満していたという。「鼻という禍いの元でしかない器官」(11P)という表現にぞっとさせられているようでは前に読み進められない。仕切りのないウジだらけの公衆便所で、秘所を他人の目にさらされながらピンクに輝く回虫を排泄する女たちを描写する場面まで登場する。
 そのような貧民街に産み落とされた虹影は、すでに母の子宮のなかで飢餓を体験している。1959年から1962年に至る大飢饉が、その後に生まれた自分を決定づけるものであったという考え。それが18歳の一連の出来事で検証されていく。食べ物への渇望も性の餓(かつ)えも、物事を知りたいという貪欲も、すべてこれ羊水に浸っていたときからの刷り込みであったと収斂されていく。

 飢えた18歳の娘の運命を大きく動かしたのはまず、どうしても知りたいと喰らい下がって家族に聞き出した出生の秘密。姉や母親などから次第に明らかにされていく事実もまた飢饉がもたらしたものであり、「飢餓の娘」という自分の正体を補強するものとして働く。
 いまひとつ小説の大きな柱を成すのは、歴史教師へ寄せる思い。病気のとき、母にやさしく体をさすられた記憶もない娘は、温かな肉体の接触に憧れはするものの、男女の抱擁、まして妻子ある男性と触れ合うのは容易なステップではない。また、男性が意外にも見せた心の渇望は、素直に受け止められるものではない。

 迷いや愛憎や挫折のもたらす嵐の若い日々にあって、人は男であれ女であれコントロールのきかない渇望に心身を傷めつけるものに違いない。年を重ねることは治癒として与えられた恵みに思えなくもなく、また、新たな渇望を抑制しながら楽しみとする賢明さも授けられた気がする。『飢餓の娘』は、大河の流れを体に宿した作家がそのような段階に達して封印を解いた、記憶の文学の傑作だと思う。

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2005/02/14 22:29

中国の裏側

投稿者:nory(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

中国は今でも表と裏の顔を持つというが、これは裏の顔である重慶のスラム街で育った著者の自伝的小説である。高級知識人の家柄を舞台にした「ワイルド・スワン」とは対局をなす世界だ。
著者は大飢饉の直後に生まれ、生まれながらにして飢餓の魂をかかえていた。人々は皆、生き残るためにどんなことでもしてきた。スラム街の生活はそれは凄惨なものだ。人としての尊厳などない。いつか暮らし向きがよくなるだろうというわずかな希望もない。著者はそこから自力で脱出しようとする。
父母との確執、6人兄弟の争い、出生の謎、教師との恋愛、文化大革命。やはり文脈のほどんどは裏切りと狡猾さに占められる。しかし、ほんのわずか1%に中国人の高潔さが見えることも真実だ。この対照が中国のおもしろさでもある。中国の懐は限りなく深い。

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