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紙の本

伯爵令嬢の憂鬱 (ハーレクイン・ヒストリカル)

著者 アン・アシュリー (作),古沢 絵里 (訳)

伯爵令嬢の憂鬱 (ハーレクイン・ヒストリカル)

税込 946 8pt

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みんなのレビュー3件

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評価内訳

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紙の本

伯爵令嬢と毒舌青年医師。19世紀初め英国摂政時代が舞台のロマンス。

2005/03/26 07:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:三度目の正直 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ちょっと気恥ずかしい表紙絵だけれど、まあ、ロマンス小説だし、オンライン書店だと問題なく買うこともできるのでよしということで。けれど、ハーレクインのこういう劇画調の人物表紙にはいつもうーんと渋い顔をしてしまう。どうも堂々と買いづらいうえ、ハーレクイン=官能小説だと勘違いさせる要因になっている気がする。


さて、著者のアン・アシュリーは、19世紀初頭の華やかな英国摂政時代(リージェンシー)を舞台とした作品を多く手がける作家の一人。本書もそれに当てはまる作品である。

1819年のイギリスが舞台。
伯爵令嬢のジェインは、幼い頃から上流階級の教育と生活に縛られ、素直な感情を表に出すことさえもできない生活に不満を持っていた。そんなある日、いとこ夫妻の邸宅で開かれた夕食会で、夫妻の親しい友人の青年医師トーマス・キャリントン(通称トム)と出会う。だが、彼はジェインが今まで出会ったことのないほどぶっきらぼうで無作法な男性だった。そのうえ、トムは貴族を快く思っておらず、ジェインに対しても遠慮なく辛辣な言葉を投げつける。ジェインはそんなトムに腹を立てながらもなぜか心惹かれていく。

トムは、著者の日本でのデビュー作にあたる『貴婦人の秘密』で脇役として登場した人物でもある。なので、こういった続編的な関連作品、いわゆるスピンオフ作品の発売は読者としてはとても嬉しい。しかも、『貴婦人の秘密』の発売から4年も経ってからの本書の登場なので嬉しさもひとしお。洋書版をチェックしていた人なら日本語版はまだ出ないのかと首を長くして待っていたことだろう。前作を読んでいなくても問題なく読むことができるけれど、前作を読んでいるとより面白く読むことができる。

トムにはとても新鮮な印象を受けた。ヒストリカルロマンスに限って言えば、遠まわしに柔らかく毒舌という登場人物はたくさんいるが、トムはストレートに毒舌をふるう。しかも相手が女性だろうと構わない物の言いよう。そこまで言っちゃうの!? と最初はあわあわと面食らった部分もあるけど、読み進めていくほどこの毒舌が心地よくなっていくというか、トムはこうでなきゃと、思わずにやりとしてしまうまでになった。

作品の特徴としては、主役二人のうちヒロインの方が身分が高いという点だろうか。ジェインは伯爵家の令嬢。一方のトムは若いけど立派な名医。二人の間には一見なんの問題もなさそうだけけれど、この頃の時代では貴族と医師とでははっきりと身分差があり、結婚できなくはないがかなり大変なことらしいということが作品を通してもよく伝わってくる。階級制度のやっかいさをひしひしと感じた。トムのように「この階級制度というやつは!」と毒づきたくなる気持ちもわかる。

またこの作品ではもう一つ、ジェインの幼友達のロマンスも同時進行で描かれている。そちらもいろいろ問題有りで、すんなりとはいかないとても凝った面白い内容になっている。また、前作『貴婦人の秘密』で主役だったエリザベスとリチャードの二人も、かなり重要な役目で登場している点も嬉しい。


登場人物たちの軽快な会話も得意とする著者は、本書でもその腕を存分にふるっている。トムの毒舌に対してムッとしながらも毅然とした態度をとるジェイン。主人公二人の会話もどうぞ楽しんでください。

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2005/01/24 20:03

投稿元:ブクログ

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2011/01/30 23:24

投稿元:ブクログ

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