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夕凪の街 桜の国

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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2004.10
  • 出版社: 双葉社
  • サイズ:21cm/103p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-575-29744-5

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コミック

紙の本

夕凪の街 桜の国

著者 こうの 史代 (著)

【文化庁メディア芸術祭(第8回)】昭和三十年、灼熱の閃光が放たれてから十年。ヒロシマを舞台に一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。戦争とは、原爆とは何だったのか? 渾身の問...

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夕凪の街 桜の国

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商品説明

【文化庁メディア芸術祭(第8回)】昭和三十年、灼熱の閃光が放たれてから十年。ヒロシマを舞台に一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。戦争とは、原爆とは何だったのか? 渾身の問題作。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

こうの 史代

略歴
〈こうの史代〉1968年、広島市生まれ。95年「街角花だより」でデビュー。著書に「ぴっぴら帳」ほかがある。

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みんなのレビュー320件

みんなの評価4.6

評価内訳

紙の本

英語・仏語・中国語・露語…、核保有国の言葉に翻訳されることを強く希望します、

2005/07/15 07:15

22人中、22人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る

最後のページを閉じたときに、しばらく言葉を失ってしまいました。三つの短編によるこの連作集について、いくばくか気のきいた感想めいた言葉をひねり出そうにも、そんな賢しらな行為を受けつけない力強さがそこにありました。

 核を生産し、いつでも使用可能な状態に置く国々が想像できるのは、自分たちの兵器がおそらく何十万人という「数」の命を瞬時に滅することができるという「能力」や「機能」のことがせいぜいでしょう。
 ですがこの作品の中に描かれているのは「数」にまで落とし込むことができるような命ではありません。ひとりひとり顔があり、喜びや悲しみ、そして歴史を抱えた固有の人々です。
 戦争が本当に切断しているのは人間の手足ではなく、家族の絆なのです。

 そして「ヒロシマ」は1945年の8月6日に「ピカ、ドン」という二言を口にするほどのわずかな時間で完結したわけではありません。今も「ヒロシマ」が終わっていないということを世界の多くの人々は知らなかったり忘れていたり、そして意図的に目をそらしています。
 ですからこの短編集はあえて「あの日」を描かず、1955年から2004年という「『あの日』に続く日々」を描いて、終わりなき悲劇を読者に差し出しているのです。

 「マンガ」は「良識ある」とされた社会との長く激しい葛藤の末にようやく市民権を得ました。そして今やすぐれたメディアとして日本が海外へ情報発信するツールにまで成長しています。
 「ヒロシマ」を「マンガ」で描く。それは、日本だかこそ出来ること、そしてまた日本こそがしなくてはならないこと。そう私は信じます。
 こうの史代という優れた作家と、彼女を後押しした双葉社。メディアに携わる人々の勇気を感じます。

 この作品が外国語に移し替えられて一人でも多くの読者の手に届くようになればと願わずにはいられません。

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紙の本

戦争とは、「誰かに『死ねばいい』と思われる事」。爆弾など落とさなくても、ただそれだけで人は傷つくというのに。

2012/05/18 03:14

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しのはら - この投稿者のレビュー一覧を見る

こうの史代さんの漫画は、線がとても優しい。
枠線以外に定規を使わない柔らかなタッチは、原爆投下から10年後の、ようやく生き直そうとし始めた儚げな命を描くのにふさわしい。
 こうのさんが描く広島は、温かい人情と茶目っ気にあふれ、よく描き込まれた戦後の街並みや風俗も物珍しく、ほっこりした気持ちで見入ってしまう。
しかし、復興の活気や明日への希望を感じさせながらも、街も人も、またすぐに壊れてしまいそうな不確かな危うさを含んでいる。
そしてその予感は、当たってしまう。
 
 核兵器は、人を三度殺す。熱線で焼き、放射能で蝕み、遺伝子に影を落とす。
核兵器は、肉体だけでなく心にも大きな傷を残す。肉親や友を失った悲しみ。自分が生き残った苦しみ。死にゆく絶望。そして差別。
これが、人の手で作り出された道具の「機能」なのだから、嫌になる。
ケロイドも焼け跡の死体も、リアルに描いてはいないのだけれど、あの日、主人公の身に起きた事は、あの道具の冷徹な「機能」は、実に良く伝わってくる。そのフラッシュバックのシーンでは、鳥肌が立つ。
 しかし、作者は決して、ただ「核兵器廃絶」ひとつを訴えたいわけではないだろう。あるひとつの戦争や特定の国を責めているわけでもない。
自分以外の誰かに向かって「死ねばいい」と思う、またそう思わせる仕組みを作る、人の心の闇をこそ、絶えさせたいのだろう。
 昭和30年から語り始めたお話は、昭和62年、平成16年と主人公の血縁をたどって展開する。それぞれの時代、容赦のない運命に打たれても、人々は笑い、互いをいとおしみ、日々を生きていく。人々の「愛したい、生きたい思い」は、バラックの裏に芽吹く雑草にも似て、美しくきらめく。
 こうのさんの描く平成16年の風景は、やはり、街も桜も幻のようにあわあわとしている。それは、私たちが暮らす平和な日常の儚さをも表現してはいないだろうか。
お話は現在で止まっているのだから、「結末に救いがあるかどうかは、これから私たちが作る世界の有りよう次第」ともいえる。
責任重大だ。

****
私がこどもの頃、少女漫画雑誌にも時折り(疎開生活など含め)戦争モノは載りましたが、近頃はあまり見かけません。今の時代に、こうのさんがこの作品を描かれた事。それが各賞に輝き、より多くの読者の目に触れた事は、たいへん喜ばしいと思います。
こどもにも、いずれ読んで欲しくて、うちの本棚に入れました。

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紙の本

漫画や小説にできること

2005/09/03 23:44

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:de_chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る

装丁のとても美しい薄い本。しばらくは読まずに眺めていた。スクリーントーンも一つも使っていない。ベタも多用してない。とても丁寧に描かれた漫画。
わたしが子供の頃、小学校には一クラスに必ず一セット『はだしのゲン』があった。漫画に飢えていた小学生たちは勿論内容に頓着せずむさぼるように読んだ。あの頃教育を受けた人間は必ずその幼くやわらかな脳味噌に原爆がどれだけ恐ろしいかという刷り込みをされた筈だ(それくらいに『はだしのゲン』の描く原爆は恐ろしかった)。それから三十年近くが経って、伝え聞く話では小学生の九割は原爆が落とされたことを知らないというし、平和記念公園にある原爆ドームの来館者は低下の一途だというし、形の上の『平和』は口にされても、多分ほんとにあったことは聞きたくないんだろうと漠然と思っていた。世の中はきらびやかで、でもそれがもたらす微熱のような不安はいつもあって、『戦争』とか『原爆』というはっきりとわかる災いではない、『なにか』に追い詰められるようになった現代に、いつまでも『はだしのゲン』を伝えていくのは難しいのだと思う。実際に被爆された方々が一人また一人と(恐らくもう実際にそこにいて被爆した方というのは何人かしかいらっしゃらないのでは。だからこそ二世三世の辛さが深刻になるのだろうけど)いなくなり、誰もがそれを実際の体験として語られなくなった時に、誰にももうそれに対して責任を取れと言えない時代がやってきて、よくわからない『平和』があって、でもこの世界の一体どこに平和なんてあったんだろうといつも呆然としてしまう(湾岸戦争もイラク戦争も戦争ではなかったのだろうか。しかもわたしたちはその戦争を実際に指揮した国ととても近い関係にある)。
そのような時にその原爆を主題とした漫画が出てくるとは思わなかった。この漫画は実際に原爆が投下された十年後を一作目が描き、二作目はさらにその三十年後、三作目はそのさらに十八年後と描いていくわけですけども、三作目の『六本木ヒルズ』とかプロ野球一リーグ制騒動とか出てくるとなんかくらっと目眩がします……なんかそれくらい三十年代っぽい……生活とか。そしてやっぱオヤクソクですかというかやられるというかもう32ページあたりでへろへろになり33ページで泣く。
こんな事実の前に『感想』なんて語る言葉はなんて陳腐なんだろう。だからこそというか漫画が小説にできることは沢山あるんだなぁ、と思う。『桜の国(2)』で、ヒロインの父親(一話目のヒロインの弟)が姉の足跡を訪ねるエピソードがあるんだけど、五十年たっても、ああ、これはあの人だ、この人はあれだな、とわかるシーンがとても素敵だった。最後に一緒にお父さんと弁当くってた人って打越さんだよね! とか。ちゃんと五十年生きていた優しい顔だった。
『教えない』『学ばない』『記憶から消す』ことでその事実そのものをなかったものとして進まなきゃいけないとこまで追い詰められるっことはあるんだろうな、と思う。今の日本がそうかもしれない。そのことを非難するんじゃなくて、それでもこうやって知らせることを諦めない人は必ずいるんだから、あとはそれを受け取る人間の中で始まっていくんだろうなぁ、と思う。多分それを望まれて生まれた漫画だと思うし。

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紙の本

純粋な問いかけ

2005/06/06 10:21

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:関東蒲公英 - この投稿者のレビュー一覧を見る

広島・長崎をテーマにした作品や物語りを読む際に、一般人にとって一抹の抵抗がある事の一つに、その作品を作り出す人の「イデオロギー」から来る説教臭さ、押しつけがましさをどうとらえるかという事がある。
この種のテーマの作品に往々にして見られる戦後左翼的な反戦平和思想、彼等の唱える日本の「侵略戦争」や「日本軍の残虐性」等への反省を訴える過剰な演出や回りくどい表現、そうした物が垣間見られる作品には、仮に一端の真理が内包されていたとしても、その「過剰すぎる演出」に戸惑いを感じる読者も多いのである。
専門書ではない一般向けの書物において、イデオロギーや思想に執着のない一般読者が求めている物は、本来そうした押しつけがましい思想の産物ではなく、純粋な目で見た「戦争とは何か」、「争いとは何か」、「その時代を生きるという事がどういう事だったのか」という、考える為の「判断材料」なのではないかと思う。
最初この本がクローズアップされた時、私は恥ずかしながら所謂反戦平和思想の押し付け著しい紋切り型の反戦漫画を想像した。
しかし数々の書評で絶賛されている事実、そうした思想性が薄い珍しい漫画という話を耳にした事で興味を持ち、実際手にとって読んでみる事にした。
正直な所、前述の考えが恥ずかしくなる程、この作品には心を打たれた。心打たれる何かがあった。
この作品の中に出てくる人物達からは、多くの同種のテーマの作品が放つ「思想性」を全くといって良い程感じない。むしろ、戦争・原子爆弾、こうした出来事が、日々の平穏を求める一人一人の人間達にどんな影響を与えたのか、彼等から何を奪っていったのかを読者は伺う事しかできないのである。
この作品は、だから戦争を無くせとも、だから日本が悪かったとも、だからアメリカは悪いのだとも結論づけてなどいない。戦争への憎しみや、誰かへの恨みなど、説教臭い台詞回しはどこにも感じられない。この作品の中には、日々を生きようとする人々の自然な姿と、それを奪われた時の純粋な「悲しみ」のみが満ちあふれている。
「夕凪の街」では、戦争終結直後の広島の少女の話が、後半の「桜の国」では、その少女の弟が子供を持つまでに成長した「現代」をテーマに話が展開する。その内容はここでは個別に触れないが、読後に心を締め付けられるような感動を覚える。
感動という表現が適切かどうかはわからない。しかし、この作品は今までの思想性やイデオロギーから来る反戦漫画とは一線を画した何かが我々の心をとらえて離さない。
戦争の時代があって、原子爆弾が落とされて、戦後の時代があって、こういう世界に生きた人がいて今という時代がある。そうした事を忘れないでほしいという素直なテーマ性がここにはあるように思えてならない。
繰り返しになるが明確な思想や答えをこの作品は求めていない。それは読者に委ねられているといっても過言ではない。そうした意味でも子供達に安心して読ませる事のできる貴重な作品ではないかと思う。今までなかなか無かったこうした時代をテーマにした作品をどうか一度素直な気持ちで読んでみて欲しい。

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紙の本

生きていてくれてありがとう

2005/05/08 22:15

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る

「読みながら涙が止まりませんでした」−こんな常套句はホントにホントに使いたくないのだが、この本に関してはそうとしか言い様がないので仕方ない。
私は被爆したわけではないし周りに被爆者もいないので迂闊なことは言えないが、ただこれだけは言える。
この本は、日本に住む全ての人が読むべき本だと思う。
「サバイバーズ・ギルト」という言葉を知ったのは、先月起きたJR福知山線脱線事故の続報を伝えるニュースでだった。
多数の死亡者を出した大惨事を生き残った人が抱く罪の意識、という意味だそうだ。
本書に収められた「夕凪の街」という短編を読んで、この言葉の意味が胸に迫ってきた。
「八月六日 何人見殺しにしたかわからない 塀の下の級友に今助けをよんでくると言ってそれきり戻れなかった」
「死体を平気でまたいで歩くようになっていた 時々踏んづけて灼けた皮膚がむけて滑った 地面が熱かった靴底が溶けてへばりついた わたしは腐ってないおばさんを冷静に選んで下駄を盗んで履く人間になっていた」
こう告白する主人公を誰が責められるだろう。
「桜の国」という短編の主人公は、被爆二世だが、その事実を恨まず、自らの選択なのだとする姿勢に強さと優しさと潔さを感じた。
若き日の父母のいる風景に主人公のセリフが被さる94・95ページは、本当に素晴らしい。
生きている希望を腹の底から感じさせてくれる。
これは、ここ数年読んだ本の中でも屈指の名場面だ。
この本を読んだ友人が、何か自分にできることはないかという気持ちになった、と言っていたが、まさにその通り。
ヒロシマで、ナガサキで、または地下鉄サリン事件で、9.11テロ事件で、脱線事故で、生き残った自分を苛んでいる人がいたとしたら、その人のところに駆け寄って、生きていてくれてありがとうと伝えたい。
生きていること自体を後ろ向きにさせてしまう社会は絶対に間違っているのだから。

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「人は何のために生まれてくるのか」

2008/05/10 10:18

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る

「それは幸せになるためです」
 『夕凪の街 桜の国』を読んで、細川佳代子さん(スペシャルオリンピックス日本理事長)の言葉を思い出しました。細川さんの問いかけに、私は答えられなかった。
 『夕凪の街』ではヒロシマに原爆が投下されてから10年後、主人公の皆実(みなみ)はまっくろな血を吐いて死んでいく。その場面には絵がなくことばだけが書かれている。「嬉しい? 十年経ったけど原爆を落とした人はわたしを見て「やった! またひとり殺せた」とちゃんと思うてくれとる?」
 『桜の国』は42年後疎開先に預けられていた皆実の弟、旭の家族の物語です。旭には七波と凪生の二人の子どもがいます。父がある夜、ふらっと出かける。七波は友人の東子と父の後を追う。父は姉、皆実の五十回忌に広島を訪れたのであった。
 こうの史代さんのあとがきに「原爆の惨禍はこのくらいの判りにくさでいまも世の中に潜んでいる、ということが伝わればいいと思います」と書かれています。
 『夕凪の街 桜の国』は漫画本のジャンルを超越して私たちにメッセージを送っている本です。

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紙の本

切な悲しくて優し懐かしい

2005/07/12 12:11

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:間抜作 - この投稿者のレビュー一覧を見る

たまたま書店で「賞を取った作品」という理由だけで衝動買い。
まんがも粗製濫造気味で、こうでもしなければ「あたり」を見つけられないのだ。ほのぼの系まんがと思っていたらいわゆる「ヒロシマもの」だったので、少々がっかりする。この手の作品は教師が子供に読書感想文とセットで強制するモノであり、あまり愉快な記憶がないからだ。
しかし、この作品は違うかった。3部作の第一話は「夕凪の街」どこか懐かしい暖かみのある絵で禍々しい表現がなく、モノクロームの古い映画を見るような印象で普通のラブコメまんがといった導入部です。
普通ぽいラブストーリー作品だけにショッキングすぎるラストシーンの虚無感や空虚感が「ヒロシマ」の重さを余計に強調するのだ。風に舞う原水禁のビラがいい味出しています。
ほのぼのマンガの画風でこの内容は反則やん。涙でたよ。
第二話「桜の国1」第三話「桜の国2」は末裔のごく普通の現代っ子が被爆2世として強く生きる姿を活写しており、原爆というモノの業の深さを感じずにはいられない。感動的なラストシーンで「いのち」のすばらしさにつなげる構成の見事さといったら近年のマンガにはないすばらしいものです。山田太一のホームドラマ的な導入部といい、途中にちりばめられた伏線がすべて夕凪の街と連携しているところといい、作者の力量には感心します。
あまり聞いたことのない無名の作者でしたが、雑誌掲載時に大反響があったのもうなづける話です。「この作者のほかの作品は無いのか今すぐにでも読みたい」「編集部やればできるじゃん」
「ほのぼのマンガだと思って油断して読んで電車の中で涙が出て
しまった」「最近のマンガはツマランと思っていたがこんなのがあるからやめられない」といった反響をよく見かけたが、この作品を読んだ人間ならば皆こうなるであろう。

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しみじみと生きる

2008/06/29 09:04

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

夕凪の街桜の国 こうの史代 双葉社

 すごすぎて声が出ません。感想を書けない。読み終えて、もう一度最初から読んでみる。親族関係や時代背景がわかりにくかったので、読みながら紙に落としてみる。わかりやすくするために、ここに説明をと思いましたが、各自がそうしたほうがいいのでやめておきます。
 夕凪(ゆうなぎ)とは、時間の流れが止まった状態と解釈しました。原爆が投下されて、しばらく経ったあとの時が止まった広島の風景です。インターネットで注文したときは小説だと思い込んでいました。届いたのは薄い漫画の本でした。セリフがない部分に、たくさんの情報とメッセージが込められています。電話代金の請求書とかお墓に刻まれた死亡日とか。
 登場人物たちは、「悲しい思い出」を背負って、しみじみとそれぞれの人生を生きています。
 平野皆実さん(みなみさん23歳)は、姪子さんの石川七波さん(28歳女性)として生まれかわりました。
 七波さんの父親、石川旭さんが、ぽつんと座っていた70~71ページの絵には胸が詰まりました。

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紙の本

世界(みんな)で考えたい。そして・・・

2005/08/11 14:31

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もここ - この投稿者のレビュー一覧を見る

毎年8月になると戦争を扱った作品が沢山紹介される。今年も新聞の広告にあったこの作品。何気なく買ってみた。読み終わった後、子供たちを抱きしめた。今出張中でいない主人にとてもとても会いたくなった。
今、海外では日本の漫画ブームです。この作品を海外に持っていっても売れるかどうかは、判りませんが、日本の、とくに「ヒロシマ」の人たちの気持ちを解って貰うためのきっかけには成るんではないでしょうか。そして改めて核を保有するとはどういうことか、世界の平和とは何かを考えて貰える一歩につながるんではないでしょうか。たかが漫画で、と思われるでしょうが、されど・・・です。特に子供たちには、難しい表現はいりません。今年の夏、難しい戦争の本を与えるかわりに、こちらを渡してあげてください。それがきっかけで、沢山の事実に目を向けるようになるかもしれません。

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紙の本

大きな声でなくても、しっかりと伝わること

2007/07/20 00:07

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

広島に落とされた原子爆弾をテーマに、1955年、1987年、2004年を舞台にした短編集。
 「夕凪の街」では、1955年の広島を生きる女性、平野皆実が主人公。「桜の国」では、皆実の姪にあたる石川七波の小学生時代、成人した後が描かれる。

 登場する人物は、原爆の被害を受けた、またはそうした人とつながりがある人たち。といっても、みな特別な存在というよりも、どこにでもいる普通の人たちとして描かれる。原子爆弾の被害を思わせる残酷なシーンはほとんどなく、一見平凡な生活が描かれ、淡々とした静かな物語である。

 しかし、だからこそ、戦争当時に普通の人たちが原爆の被害を受けた(もっとはっきり書けば、原子爆弾のせいで亡くなった)という、事実として知っているはずのことが、重く感じられる。この作品には、大きな声では「戦争反対」、「原爆を投下したことは悪である」とは書いていない。しかし、日本が受けた被害、そしてどんな国も同じことを二度と行うべきではないということを、強く感じる。
 そしてそのような状況でも、懸命に生きようとする登場人物たちを、愛しく思う。

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紙の本

家族という絆

2005/07/09 12:57

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Dai - この投稿者のレビュー一覧を見る

この物語は「ヒロシマ」を原点として、ひとつの家族をあたたかな視点で見守っている。悲しみが絶えなかった戦後すぐの時代から、舞台は現代へと移る。当時の痛みや悲しみは希薄になっており、共有されることもない。しかし、どんな時代にあっても、悲しみを乗り越える最大の味方は、愛であり、家族であった。
「ヒロシマ」という未曾有の殺戮があっても、家族という名の絆は決して途切れることなく、続いていたのだ。桜の国(二)で描かれる七波の「選択」は本当に美しい場面である。悲しみを乗り越えてきたもの同士が得た幸福にあふれている。
親が子を殺し、子が親を殺しあう現代にあって、この壊れかけた日本の家族をどう彼らは見ているのだろう?選んでもらえないから、少子化の道を辿っているのだろうか?
この物語は「ヒロシマ」とともに失いつつある「家族愛」の大切さを伝えている。
もしあなたが、まだこの本を読んでおらず、この書評をここまで読んでいるなら今すぐ買うべきだ。本はたった800円だが、本から得られる想いはプライスレスなのだ。

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紙の本

「はだしのゲン」の横に置こう

2005/05/08 01:37

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:oki - この投稿者のレビュー一覧を見る

新聞の書評欄でまず存在を知って、「あ、この本チェックだ」と思った。脳裏に、図書館で意外なほど熱心に「はだしのゲン」を読んでいる、中学生達の姿が浮かんだ。
近所の本屋で現物を見つけて、こんなマイナーそうな漫画を店頭に置いているなんて、スゴすぎる!と感動した。いや、普段からハズさない優れものの書店なんだけど、改めて。もちろん速攻で購入。でも、あまりの薄さとお値段に、これで良くなかったらどうしてくれよう・・・とちょっと思う。
読後・・・本の仲間に一所懸命宣伝中。
「夕凪の街」は、被爆後の広島で、かろうじて生き残った一人の女性のお話、「桜の国」は、彼女の弟の子供達のお話である。どちらも、明るく生きようとする登場人物達の、ほのぼの淡々と描かれる日常に、隠れ潜む不安が、たまらなく切ない作品だ。
どこか遠い問題に感じる人こそ、「桜の国」を読んで欲しい。首都圏で生まれ育った戦争を知らない子供達が、老いた父を追って広島を旅する過程を、一緒にじっくり読み取っていただきたい。同じものを見ていても、当時を知っている父には、子供達とは違うものが見えていた・・・漫画ならではの対照が、胸に迫る。こんな風に、きっと私達にも、知らない、わかっていないことがあるのだと・・・それにぜひ、気付きたい。
「はだしのゲン」は、その臨場感あふれるインパクトで、今も読者を離さない。この漫画は、今の日常を、いつの間にか「あのヒロシマ」に絡めとる。
どちらも読んでおきたい本であり、図書館には必ず置いておきたい本だと、思った。

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紙の本

八月六日

2010/08/06 02:10

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本を閉じてため息が出てしまう。
色々なことを考えさせられてしまう。

夕凪の街」は、
広島に原爆が投下されてから十年後の物語。
「桜の国」は、またさらに時が過ぎ、
主人公の世代が変わっていく。

この本は、丁寧に日常を描写していくことで
多くのことを伝えている。
説明的なことはあまり描かれていなくて、
読む人にゆだねられている。

淡々としているけれど、
内包しているものが、あまりにも深い。
物語の登場人物も、作者も
じぶんの意見を強く主張しているわけではないのに、
すごく強く伝わってくるものがある。

特に心をとらえたのは、「桜の街」で
主人公の七波が、両親に対して思いをめぐらせるシーン。
《生まれる前 そう あの時わたしはふたりを見ていた
 そして確かにこのふたりを選んで
 生まれてこようと決めたのだ》

この本を読んで、ヒロシマのことを少し調べた。
知らなさすぎると思った。
そして、差別や偏見についても。

毎日を生きることについても。

きょう渡そうと思った花束は
きょう渡さなければ、萎れてしまう。

井上ひさし氏は
「むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、
 深いことを愉快に、まじめに書くこと」を
信条としていた、と読んだことがある。
この本は、そのすべてをクリアしているのではないだろうか。

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紙の本

映画化決定

2005/06/04 23:51

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:青木レフ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヒロシマもの。ユーモアと狂気の紙一重。諦念と強さと。弱さとの共存と。
戦後まもなくの話の激しさと最近の話のゆるやかな話の展開と。
戦争が終わった後の戦争を描いている。異常な事態に抗する生活の力を、異常さを取り込んで何でもないことに変えていく意志の力を。
戦争なんて所詮作業だ。意志を持って「戦う」のではなく、生存の為の最適判断に支配されて(流されて)、やらされている作業に過ぎない。意志を持って「戦う」のなら堕落し弛緩した戦後の毎日にある。
39頁の鍵のシーンは79頁に繋がるのか。裸足で歩くのは下駄を盗んだ事の贖罪?黒田硫黄や小田扉みたいな昭和テイストな味もある。
ところで旭が京花ってロリコンにならんのかな。(77頁は茨城弁?)
(投射by「短歌と短剣」探検譚)

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紙の本

ヒロシマから伝える/マンガで伝える

2005/06/19 21:33

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 大江健三郎が『夏の花』の作家原民喜を紹介する短文の中で、原が文体について書いたこのような文章を紹介している。(「原民喜と若い人々との橋のために」1973年)《明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体…私はこんな文体に憧れている。だが結局、文体はそれをつくりだす心の反映でしかないのだろう》原はヒロシマで原爆に被災し、その中で彼でしか描けなかった小説を書いてきた作家である。大江はこの短文で原のことを「若い読者がめぐりあうべき、現代日本文学の、もっとも美しい散文家のひとり」と書いた。その時から三十年以上経って、私たちは「若い読者がめぐりあうべき、現代日本マンガの、もっとも美しい」作品を持つことになった。
 こうの史代のこの作品は漫画である。漫画でありながら、これほどに深く強く理不尽にも原爆に被爆したヒロシマを描き、漫画だからこそ、若い人にもわかりやすく被爆した人たちとそれに続く多くの人たちの悔しさや悲しみを表現しえた。先の原民喜の文章は散文を書いた作家のものではあるが、漫画家であるこうのにとって、《文体》とはネームと呼ばれる漫画の基本形にあたるのだろう。キャラクターの設定、コマ割りの作りこみ、せりふの軽重。それら漫画を描く上の基本形が、こうのの場合、原が文体について書いた文章にそっくりそのままあてはまる。原の文章の《文体》をあえて《マンガ》と言い換えてみた。《明るく静かに澄んで懐かしいマンガ、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えているマンガ、夢のように美しいが現実のようにたしかなマンガ…》
 わずか三五頁の短編である『夕凪の街』の終わり近く、主人公皆美が「夜おそくまっくろな血を吐いた」場面から続く三頁のコマ割りとせりふはおそらくこれまで漫画が描いてきた作品の中でももっとも切なく涙をさそう数頁だろう。こうのは「あとがき」で「このオチのない物語は、三五頁で貴方の心に湧いたものによって、はじめて完結するもの」と書いているが、このマンガには完結などない。まさにここには私たち人間が決して忘れてはいけない悲しみと絶望と、いつまでもずっと伝え続けなければいけないヒロシマがある。

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