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商品説明
科学者として生き残るには何が必要か? 日本のアカデミアに足りないものは何か? 真の競争的科学研究費とは何か? これからを解き明かす「切磋琢磨本」など。【「TRC MARC」の商品解説】
現在日本にはNIHなどの米国機関を解説した著書や米国の研究室を紹介する著書は多くあるようだが、残念ながら大学システムを含めた米国アカデミア全体を解説した著書はきわめて少ないように見受けられる。そういった意味で、本書では筆者の経験を基に、米国の大学システムがいかに科学研究費の申請・審査のシステムと絡み合うことで機能し、また、科学研究費のピアーレビューの批評と結果が米国の研究者の切磋琢磨する土壌を作り上げているかを解説したいと思っている。
本書は、決して日本のシステムを批判することを目的にしているものではない。米国のシステムを表面的に導入することがいかに危険かということを、米国のアカデミックシステムの根本を理解することで読者に理解していただきたい。今必要なことは、米国のシステムの良い部分を理解し、またその中で日本に適応できない部分もしっかり認識した上で、日本の土壌にあったシステムを作り上げることが大切である。さらに、それが日本のアカデミックシステムの中で、効率良く機能することが重要である。そこには、当然米国とは違う、「独自性・独創性」が要求される。すなわち、前述の各大学の教育の独自性に加え、日本のアカデミックシステム全体の独自性が重要になってくるであろう。したがって、本書を大学教育にかかわる1人でも多くの方、それは現場の大学教員・研究者に限らず、政府・官僚側からその変革に携わる人たち、さらには将来携わる可能性のある大学生の方にも読んでいただくことを希望している。本書の読者が、日本の土壌において効率良く機能するシステムについて議論し、優れたアイディアが生まれれば、この本を執筆した目標は達成される。そのようなシステムを作ることこそが、日本の大学教育の質を向上させ、基礎研究の活性化を促すことになり、その活性化が企業へとつながり、さらに日本が技術大国として末永く世界に貢献できる国となることができるのではないだろうか。
本書は、米国の大学システムを教育面と研究面に分け解説したのち、科学研究費システムを解説する。これらの章には、それぞれトピックスとしての見出しをつけている。全体を通して読むことをお勧めするが、興味ある項目から読み始めるのも悪くはないであろう。ただし、各章の項目はお互いに密接に関連しているため、アメリカのアカデミックシステムを正しく理解するためにも、最終的には全項目を読むことをお勧めする。【商品解説】
目次
- モティベーション
- 1章 米国の大学教育システム
- 学部教育
- 1. 大学入試と大学の選択
- 2. MajorとMinor
- 3. 授業カリキュラム
- 4. 進学を目的とした専攻
- 大学院教育
著者紹介
菅 裕明
- 略歴
- 〈菅裕明〉マサチューセッツ工科大学化学科Ph.D.取得。現在、東京大学先端科学技術研究センター助教授。
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著者コメント
2004/10/31 03:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:菅裕明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「切磋琢磨するアメリカの科学者たち」と題した。 筆者の意図する「切磋琢磨」とは、 「仲間同士がライバル意識を持ちながら互いを磨くこと」である。本書の題名にある「切磋琢磨する」を科学的な言葉に言い換えれば、「ライバル意識を持った仲間同士が建設的にしかも厳正に評価し合うことで学問を向上する」ことである。いわゆるピアーレビュー(Peer-review)による学問の向上である。
米国の科学者たちは、まさにこの「切磋琢磨」で科学の質のボトムアップを図っている。 日本の基礎科学と科学技術のボトムアップの必要性が唱えられている中、米国のシステムを模倣したシステムが日本のアカデミアにも導入されつつある。しかし、米国の「切磋琢磨」するシステムを手本にするためには、それを十分理解することが必要だ。表面だけを模倣してしまえば、この最も重要な「切磋琢磨」の部分が欠落してしまう虞がある。それを避けるためには、米国のシステムの全てを理解した上でそれを消化し、日本のアカデミアに適した「切磋琢磨」型システムを立ち上げなければならない。さらに,それが日本のアカデミックシステムの中で,効率良く機能することが重要である.そこには,当然米国とは違う,「独自性・独創性」が要求される.すなわち,前述の各大学の教育の独自性に加え,日本のアカデミックシステム全体の独自性が重要になってくるであろう.したがって,この本を大学教育に関わるひとりでも多くの方,それは現場の大学教員・研究者に限らず,政府・官僚側からその変革に携わる人達,さらには将来携わる可能性のある大学生の方にも読んでいただくことを筆者は希望している.この本の読者が,日本の土壌で効率良く機能するシステムについて議論し,優れたアイディアが生まれれば,この本を執筆した目的は達成される.そのようなシステムを作ることこそが,日本の大学教育の質を向上させ,基礎研究の活性化を促すことになり,その活性化が企業へとつながり,さらに技術大国として末永く世界に貢献できる国となることができるのではないだろうか.