- 出版社:角川春樹事務所
- サイズ:20cm/375p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7584-1045-3
うたう警官
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- 税込価格:1,890円(54pt)
- 発行年月:2004.12
- 発送可能日:7~21日
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商品説明- 「うたう警官」
うたう=証言する、密告する。警官殺しの容疑をかけられた刑事に射殺命令が下された。有志たちによって、彼の潔白を証明するための極秘の捜査が始まるのだが…。追うも警官、逃れるも警官。北海道警察を舞台に描く警察小説。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「うたう警官」
佐々木 譲
- 略歴
- 〈佐々木譲〉1950年北海道生まれ。著書に、「エトロフ発緊急電」(日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本推理作家協会大賞)、「武揚伝」(新田次郎賞)、「ユニット」など。
ユーザーレビュー- 「うたう警官」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/05/29 14:56
佐々木譲の警察ものとは驚きだったがどうしてどうして、あの名作をものした著者の完全復活でした。
投稿者:よっちゃん(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
2004年3月5日の北海道新聞より、道議会総務委員会で4日開かれた元道警釧路方面本部長に対する参考人質疑の一部である。
「私が裏金づくりに直接タッチしたのは、一九六四年四月に配置された当時の北見方面本部刑事課が最初。階級は巡査部長だった。初めて領収書や関係書類を、命じられるままに偽造した。その後、退職した九五年まで十七カ所の所属(部署)を転勤したが、何らかの形で裏金づくりに関与し、一部を受け取り、その存在を知っていた。」
この報道の示している状況を「うたう警官」と呼ぶらしい。「うたう」は内部の不祥事を「証言する、密告する」の意で自己防衛本能が際立つ警察組織にしてみれば「うたう警官」は裏切り者であり以後、つまはじきにされ警察官としての生命は断たれることになるようだ。
装丁帯には「北海道警察を舞台に描く、警察小説の金字塔!」とあるが、この事件以降もいろいろな組織的不祥事が頻発しているだけになるほどこれが警察の体質かとフィクションならではの「真実」へ切り込みはかなり鋭い。札幌市街地のディテールも加わり、その迫真性が「まさかそこまでは」から「もしかしたらこんなことまで」と増幅し、ある意味でかなりきわどい。当局からはにらまれかねない傑作の警察告発小説である。
「追うも警官、逃げるのも警官。警官殺しの容疑をかけられた刑事に射殺命令が下された。捜査を外された有志たちによって、彼の潔白を証明するために極秘の捜査が始まるのだが………。」
佐々木譲については第二次大戦を舞台にした『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』『ストックフォルムの密使』を読んでいる。これらは日本の作品では当時、珍しいジャンルの戦争冒険小説だった。読者にとっては史実の裏側にある「真実」へ好奇心をおおいにくすぐられ、また追いつ追われつのアクション・サスペンスに興奮させられた。そして人間性を抹殺する軍隊組織、国家機構にあって自己を貫徹する男たちの生き様、そこでなお人間であろうとする男たちの矜持が鮮烈であった。冒険小説であってしかも人間を描いていた。そこが戦争冒険小説として異色だった。『うたう警官』、しばらくご無沙汰していたが、これは時代、舞台こそ違えあの佐々木譲の完全復活である。
「もし正義のためには警官のひとりやふたり死んでもかまわないってのが世間の常識なら、おれはそんな世間のためには警官をやっている気はないね」
と正統ハードボイルドの味わいも冴えて、懐かしい。
管理社会といわれて久しいが傍目でうかがい知るところ警察組織ばかりではない、企業組織にとってもサラリーマンを締め付けるがんじがらめのルールはますます緊縛の度を加えているようだ。もちろん内部告発の制度化も進んでいる。窒息しかねないように思える。長いものには巻かれろ、逆らったらオチこぼれとつまらん時代になったもんだ。だからこそ逆に、この小説のような反骨精神、ヒューマニズム、同じ釜の飯を食ったもの同士の交誼に素直に感動できる読者層は思いのほか厚いのではないだろうか。
ただし、前掲の作品群のようなしっとりした情感はほとんどない。シリアスな警察批判だけでもない。残された時間は明朝までと、タイムリミット型のサスペンスが文字通りジェットコースターのスピードで走り出すから、ページをめくるのももどかしい。
巨大組織あげての捜査網がじりじりと彼らを追いつめる。まさに迫真の情報戦なのであるが、SFまがいの諜報網など登場せず、しかし、この情報戦にはミステリーとして読者を楽しませてくれる新機軸があって、しかもラストはクリント・イーストウッドが主演した映画『ガントレッド』を髣髴させる緊張が待ち受ける。エンタテインメントとしても完璧な仕上がりだった。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/04/22 11:16
清廉な警官が気骨有る捜査をするカタルシス…普通のことなのにね…
投稿者:A-1(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
「うたう」が「密告する」の意味だと読んだとき、80年代の中学時代に「ちくる」という言葉が流布したのを思い出した。つまり「告げ口」というか「先生に報せる」ことだ…主に「いじめ」の首謀者が戒めの言葉に使っていたような気がする。
「密告」とは悪いイメージしかないが、組織の膿は正さねば腐っていくのみだ。
改善を望む「報告」さえも「密告」だと言う者は、いったいその腐臭にどこまで耐えられるというのだろう?
しかし、隠蔽によって権威と体面を保ってきた実績がそれを許さなかったという過渡期の時代があったというのは判らなくもないし、これからも多かれ少なかれ隠し事は続くだろう…自浄が出来なくなり、誰かが耐えきれなくなるまで…。
本作品は、個人的には先に読んでしまった「警察庁から来た男」で左遷されていた津久井が、「うたう警官」として渦中の人物となるお話だ。(しかも「書き下ろし」でハード本)
近年記憶に新しい北海道警察の汚職事件以降、地元作家であるからこそ手をつけ描いてきたといわれる警察小説であるということで、気骨のある内容を期待して読み求めた。
思ったより緩そうな警察組織の描かれ方に、やはりフィクションはフィクションなのか、それとも現実はこんなものか?と思いながら、読んだが、最近読んだ日本の小説に共通して読み手にとってあまり根拠の納得の行かない信頼関係(佐伯と津久井は別として)が強固で、ドラマとしては面白いが少々食い足りない。
ただ、つまりは警察組織としての信頼からということなのか、全くといっては信頼していないらしく、人数が増えるたびにスパイ小説の色合いを増して面白くもあった。
でも、「同僚殺しの容疑。麻薬所持を疑われる。失踪中。」→「射殺命令」というのは、ドラマティックではあるが、ほんとかよ~?と少々白けた感じもあった。
謎解きの途中も、有志の秘密理な捜査の指揮を執る佐伯が、真相がもう目の前にあるのに、指摘されて説かれるまで掴み取らない様子には、「大丈夫か?」と思ってみたりする。自殺を許すのも然り。
…と思うのも、こちらが判ってしまっているから思うことなのか?
「踊る大捜査線」を作ったプロデューサーの弁に「警察は会社組織だ」という言葉があったが、会社組織にも同じような暗黙があり、この小説の骨のあるものが報われるという話には概ね共感も出来、カタルシスもあった。
ただ、女性の描き方が何作か続いて同じような感じで、あとはやはり少々プロットの練りが弱く、色々と透けて見えるのは惜しいと感じられた。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/04/18 17:58
警察官が、警察組織を使わず真犯人さがし
投稿者:読み人(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
「エトロフ発緊急電」や、「武揚伝」などで知られる、佐々木譲さんの警察小説です。
宝島社の「このミス」にランクインしていたので、読んでみました。
「うたう」とは、横山作品などで、もう皆さんご存知だと、思いますが、自白したり、しゃべると、言う意味です。
北海道警察の不祥事は、報道等で皆さんの知るところですが、
それを、正に”地”で、いく設定です。
数ある不祥事によって、自殺者や、人事の大嵐がふいたあとの、
北海道警察が舞台です。
プロットは、
札幌市内のとあるマンションで道警の婦警の死体が発見されます。
強引に、捜査の指揮権は、所轄より道警本部に引き継がれ、
交際関係から、容疑者として、同じく、道警の警察官が浮かび上がります、
薬物使用と拳銃の保持の可能性より、この警察官に対しては、
本部より、射殺命令まで、出ます。
しかも、この警察官は、翌日に、道議会で証人喚問招致を
受けている身、不審に思った、
容疑者の元同僚の佐伯は、この警察官を匿いつつ、
影の捜査本部を設置して、真犯人を追いますが、、、、、。
という、話。
読んだ感想としては、捜査物というより、
スパイ小説に近い、組織内の陰謀物って感じでした。
佐伯たちが、捜査するのですが、警官でありながら、
警察組織とは、対決関係にあるので、そこらあたりの緊張感が、
ひしひしと迫ってきます。
又、日本の警察組織が、抱える、諸々の問題もきっちり書いてあります。
しかも、これって、翌日に議会での証人喚問までの話しなので、
実は、一晩の出来事で、後から考えても、緊張感があふれる作品でした。
しかし、現実の道警の不祥事もあるので、
軽くは、楽しめませんでしたが、、、。







