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ズンデヴィト岬へ

  • 出版社:未知谷
  • サイズ:20cm/141p
  • 利用対象:小学生 中学生
  • ISBN:4-89642-116-7

ズンデヴィト岬へ

ベンノー・プルードラ (著), 森川 弘子 (訳)

  • 全体の評価 4.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,68048pt
  • 発行年月:2004.12
  • 発送可能日:7~21日

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商品説明- 「ズンデヴィト岬へ」

ティムは8歳の男の子、カモメ岬の灯台守のひとりっ子です。夏休みのある朝、ズンデヴィト岬への旅に出発しようとしたところ、忘れ物を届けにいく用事ができてしまい…。発表以来40年、ドイツで愛され続ける名作。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「ズンデヴィト岬へ」

ベンノー・プルードラ

略歴
〈プルードラ〉1925年旧東ドイツ生まれ。船員になった後、文学・歴史・美術を大学で学ぶ。旧東ドイツを代表する子どもの本の作家。作品に「白い貝のいいつたえ」など。

ユーザーレビュー- 「ズンデヴィト岬へ」

全体の評価
4.5
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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/02/02 10:12

ごく当たり前の周囲への好意と努力、そして一途な思いによってかなえられる夢

投稿者:Yumikoit(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドイツの児童向けのけっこう有名な小説らしい。
灯台守の息子。学校の友達はみな遠方の町に住み、休みには友達もなくすごす。
それが少年には寂しい。
ある日、近くにキャンプに来ていた子ども達の集まりに出会う。
彼らがどこからやってきたのか、どんな集まりなのか、それは結局よくわからない。
ただ、その日出会った。なんとなく気が合いそうだ。
彼らは、これから船に乗ってズンデヴィト岬へ行くという。
そして、少年の両親がいいと言えば少年を連れて行ってくれるという。
何日くらいの旅行になって、いつ帰ってくるのかとか、そういう具体的なことは書かれていない。恐らく夏休みのキャンプに来て、彼らには予定がある。
その予定の中で少年も一緒に来てもいいよ、と誘っているのだ。
少年は行きたい。
家に行くと両親もどうやら行かせてくれそうだ。
でも、町の知人が灯台に忘れて行ったメガネがあった。こんな時、そのメガネを届けるのはいつも少年が行っていたのだろう。
少年は、届けることを決心する。決心、なんて大げさなものではなくごく自然に。
そして行く先々で次のお届け物だったりトラブルに巻き込まれる。
心からの善意でごく自然にそれを受け入れ、人々の手助けをする。
そしてキャンプの出発に間に合わなくなった時。
少年の一途な思いと人々のごくごく自然な好意によって積み上げられて行く過程が気持ちいいな。
飼主日記-Yumikoit

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2005/02/23 14:18

誘われた旅に出るまでに、自分で「やろう」と決めたお使いを済ませて帰ってこれるのか——8歳の夏休みのまっすぐな冒険物語。ドイツのロングセラー。

投稿者:中村びわ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ケストナー、プロイスラー、ヘルトリング、ネストリンガー、エンデ。最近になって紹介の進んでいるフンケにコルドン、昨年知ったばかりのクリュス。シャミのような移民作家もいて、ドイツ語圏の児童文学ってすごいもんだなぁと思っていたら、本書も出版以来ドイツで40年の長きにわたるベストセラーだというのである。すでに邦訳も3冊出ており、うち2冊はエンデの翻訳で知られる上田真而子氏訳だというのに、地味な存在の本であったためか知らずにいた。
 その邦訳3作品のタイトルを見ても、海か船に関係したお話だということが分かる。商船学校を出て、船長になる夢をもって海の仕事をしていたということが作家の経歴にある。日本にも山下明生という、島に生まれ「海」にこだわり、その豊かさや偉大さに対する憧れを結晶させて童話を書きつづけている作家がいるが、プルードラ作品の原点も、海に対する憧れにあるようだ。

 もうひとつ、作者紹介の記述から。「作品が喚起する想像力と文章の力だけで『理想の価値』を伝えられる希有な作家」とある。理想という、自分にとって尊い目標をもつこと、こうありたい、こうあるべきだという願いをもつことは、意欲的に日々を送っていくためには欠かせない意識だ。確かにこの小さな児童文学の1冊には、それが満ち満ちている。
「成長」は長い年月をかけて達せられるものだから、数時間や1日2日のうちに目に明らかな形を示してくれるものではない。だが、成長に欠かせない「理想」への働きかけの大切さを、主人公ティム少年の夏休みの1日が教えてくれるのだ。
 
 物語はとてもストレート。燈台守一家のひとりっ子たるティムには遊び相手がいない。ある朝、浜におりていくとキャンプ中のテントがいくつか張ってあって、そこにいた子どもたちと言葉を交わす。彼らは、これからフェリーで海峡を越えてズンデヴィット岬へ向かうので、一緒に来ればいいと誘ってくれる。
 さっそく両親に相談してみると、心配しながらも許可が下りる。ところが、一家の知人が燈台に忘れ物をしたまま帰ってしまったため、それをどうするかという話が一緒に出るのだ。用事のある両親に代わって町まで届けられるのは自分だけ、知人はそれがないと仕事にさしさわりがあるということが分かっている少年は、自転車でさっと行って、キャンパーたちが出発する時間までにさっと戻ってこようと思い、出かけるのだった。

 町で彼を見かけた人たちは、声をかけてくる。お使いでやって来たということが分かると、少しだけ遠回りしてついでを頼まれてくれないかという人が現れたりする。用事がすんなり片づかない日というものはそういうもので、1つ片づけようとするたび何かハプニングがあって、なかなか終わらせることができなかったりする。
「時間がない」と、リミットを圧力に感じながら行動していく少年の落ち着かない内面にどきどきさせられるが、用事を片づけて皆にとって「よかった」と思える状態にしないことには心置きなく出かけられないという「けじめ」が健全で気持ち良い。自分が幸福で楽しくあるためには、誰かに我慢してもらったり嫌な思いをさせたのでは良くないのだという「理想の価値」が、常に彼の念頭にあるのだ。
 まっすぐなものを読むことの効用が、読後すぐに表れてくるような1冊だった。

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