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庭師ただそこにいるだけの人

  • 発行年月:2005.1
  • 出版社:飛鳥新社
  • サイズ:20cm/180p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-87031-657-9

  • 国内送料無料

庭師ただそこにいるだけの人

ジャージ・コジンスキー (著), 高橋 啓 (訳)

紙書籍

1,836 ポイント:17pt

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商品説明

大富豪に拾われ、庭師として育てられたチャンスは屋敷と庭から一歩も外に出たことがない。だが主人が死んだ為、初めて外の世界に出て…。書名「預言者」として邦訳されてから27年ぶ...続きを読む

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商品説明

大富豪に拾われ、庭師として育てられたチャンスは屋敷と庭から一歩も外に出たことがない。だが主人が死んだ為、初めて外の世界に出て…。書名「預言者」として邦訳されてから27年ぶりに新訳で復刊。映画「チャンス」の原作。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

ジャージ・コジンスキー

略歴
〈コジンスキー〉1933〜91年。ポーランド生まれ。大学で歴史学と政治学を学んだ後、ソビエトへ留学。コロンビア大学在学中に作家デビュー。著書に「異端の鳥」「異境」など。

ユーザーレビュー

全体の評価 4.2
4.2
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★★★★★(3件)
★★★★☆(3件)
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おかしなおかしな一週間。

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/12/27 22:58

評価5 投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公は、チャンスと名づけられている。
孤児だった彼は、偶然(バイ・チャンス)にも大富豪に拾われ、庭師として育て上げられた。
 彼は屋敷と庭から一歩も外に出たことがない。学校にも通ったことがなく、読み書きもできない。庭仕事以外で好きなことといえば、テレビを見ること。
 彼にとって庭は人生であり、彼の全てだった。
ある日、高齢の主人が死んでしまい、彼は生きてゆくため生まれて初めて外の世界に出ることに・・・。本書は、主人の死から始まる、チャンスの一週間を描いたものである。
 不思議な小説である。
 政治家や実業家たちの小難しい論理より、庭のことしか知らないチャンスの語る言葉が人々の心を打ち、魅了する。本書は、真理はシンプルなものだ、ということを教えてくれる。
 かといって、チャンスを単純にピュアな心の持ち主と決め付けてよいものなのか。確かに、世間と隔絶した世界で生きていたせいか、スレていない。しかし、ひたすらテレビを見ている姿は不気味だし、あまり感情の起伏がないことが、彼の存在をあやふやなものにしてしまう。解釈に苦しみ、何度も読み返した。
 思うに、チャンスは鏡なのではないか。それも、見る者の心の奥低に潜む願望を映し出す鏡。彼と接することで、大統領は自らの政策の正当性を見出し、不況にあえぐ民衆は希望を見る。愛情を求める女は欲求から解き放たれ真の喜びを見出す。鏡に感情はいらない。ただ、そこにあり、姿を映すだけだ。
 本書は、現代社会に対する風刺が込められた寓話といえる。しかし、押し付けがましさはない。ただ静かに一週間を語り、読者に思索を促す。チャンスという鏡に映し出された人々の姿はどこか滑稽で、悲しくもある。
 声を大にして訴える論調でなくとも、淡々と言葉を紡ぐことで、より読む者の心を揺さぶる作品が創り出せる、本書はそれを証明する格好の小説である。

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庭師から大統領候補へ 数奇な運命を辿る男の話

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/08/18 09:09

評価5 投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

生まれてすぐ富豪に育てられ、屋敷と庭から一歩も外に出た事がないチャンス。彼は、庭仕事をしている以外はひたすらTVを見ている。そんなある日、主人が急死し、使用人としても家人としても記録になかったチャンスは、屋敷を出なければならなくなる。チャンスが最後にたどり着いた場所とは?

シリアスでカッコいい役を演りたいのに、大当たりした『ピンク・パンサー』のクルーゾーみたいな役ばっかりタイプキャストしてくる製作サイド。そんな状況に腹を立てた俳優ピーター・セラーズが、「君達が見てるのは、君たちが見たいと思っている僕だ。それは本当の僕じゃない。」と言いたいがために、脚本を依頼して映画化。てっきりそんな経緯を思い描いていたので、原作が先にあったとは驚いた。

庭が世界の全てだったチャンスは、植物の事には詳しいが、本当の世界の事-経済理論も外交術も知らない。だから、何か聞かれても、知っている世界の範囲内でしか話せない。この時だって、そうだ。
「庭には成長にふさわしい季節があります。春と夏がありますが、秋と冬もあります。」
チャンスはあくまで庭について話しただけなのに、皆は不況にあえぐアメリカ経済界の今後の予測だと解釈する。またパーティで「我々の椅子は」云々とソ連の外交官に話すと、米国の対ソ外交政策の話と解釈される。もしチャンスが、誰の後ろ立てもなく、みすぼらしい姿で同じ事を言ったら、おそらくこうはならない。いや、そもそもインタビューされる機会なぞ、ない。仕立ての良い主人のスーツ、容姿端麗、おまけに政財界の大物夫妻が揃って彼にゾッコンという背景と外見が、チャンスを見る人々に「謎の大物」という色眼鏡をかけさせた。この話は、チャンス、周囲の人、どちらに焦点を置くかで、感じ方が異なる。チャンス以外の人にスポットを当ててみると、ちょっぴり皮肉な風刺劇だ。チャンスを崇め奉る人々は、自分が考えている事や言って欲しいと思っている事を、ありのままのチャンスの言葉に、当てはめているに過ぎない。戸籍がなく、過去が不明なのも本当の事なのに、「わざと隠した」と思い込む外国の要人達は、さしずめスパイごっこがお好きと言えようか。人間ほど、馬車馬のように、生まれてから死ぬまで、「変われ、先へ行け」と中から、外からせっつかれる生き物はない。皆何者かになりたくて、日々努力している現代において、チャンスだけは「ありのまま(=Being There)」でいる事が無条件で許されるどころか、むしろ賞賛される。社会的責任に雁字搦めになり、常に変化を求められる人々にとっては、チャンスはまさに理想形なのだ。
単純なものを、わざと複雑に考えて、人々は侃々諤々。その脇をすり抜けて、最もシンプルなチャンスが、誰一人届かぬ場所へ行く。そんな奇跡があるんだろうかと、ふと思ったが、著者の経歴を見て驚く。なるほど、事実は小説よりも奇なりだった。

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評価5 投稿元:ブクログ

2005/07/01 18:29

主人公のチャンスは孤児で、生まれてすぐに母親を亡くし、父親は分からず、偶然にも大富豪に拾われて、庭師として育て上げられた。このご主人様の屋敷と庭から一歩も外に出たことがない。学校にも通ったことがない。読み書きも出来ない。
庭仕事の他には、ただひたすらテレビを見て過ごすのだった。そんなある日、ご主人様が亡くなった。
弁護士によると、チャンスはこの世に認知されていない人間だという。社会保険もなく、給料をもらっているわけでもなく、ご主人様の会社からも認められていないらしい。いつも食事を運んでくれたメイドとその他屋敷の1人くらいがチャンスを知ってはいるが、いつからチャンスがこの屋敷にいるのか等は知らない。チャンスは、ご主人様の屋敷を出なければならなくなってしまう。生まれて初めての外の世界。何が待ち受けているのか。
 可笑しいくらいに、周りの人達がチャンスのことを勝手に誤解?していく。最後には、私がチャンスの将来を不安に思ってしまうくらい。それにしても、何も分からないにしても、チャンスのように堂々と、また、人の話に耳を傾けていけるような人間になりたいものだ。
 チャンスは、作者自身のサクセス・ストーリーと重なる部分もあるという。

評価3 投稿元:ブクログ

2005/05/16 02:22

アメリカが自由の国で、誰にでもチャンスが与えられる・・・というのは幻想だということを改めてごくあたりまえに綴った物語。

評価4 投稿元:ブクログ

2006/10/01 19:24

「主人公のチャンスは孤児である。生まれてすぐ偶然にも大富豪に拾われ、庭師として育て上げられた。屋敷と庭から一歩も外に出たことがない。学校にも通ったことがない。読み書きもできない。庭仕事をしている以外は、ひたすらテレビを見ている。ところがある冬の日、主人が死んでしまい、生まれて初めて外の世界に出ることに…。童話のような、寓話のようなおかしなおかしな一週間の物語。映画『チャンス』の原作、27年ぶりに新訳で復刊。 」
書評より

これは「無知の知」なのか、それとも大いなる皮肉なのか、この一冊だけでは判別不能。
私にはとてもハッピーエンドには読めません。

評価4 投稿元:ブクログ

2008/07/30 10:43

富豪の大きな屋敷で庭師として育てられた孤児のチャンス。

チャンスは庭、以外何も知らない。

わずかに、世界を知る術といったら、テレビ。

でもテレビが来る前はラジオだけだった。

ものごころ付いてから一歩も外に出たことがないのだ。


ある日、主人の死とともに、屋敷を追い出されるチャンス。

読み書きも出来ない、サインさえ。

知っていることといえば庭のことだけ。

でも庭の植物のことなら何でも知ってる。


そんなチャンスの一週間の不思議な物語。

・・・なんと

テ△ビには出るし、大○領と仲良くなるし、

ついに・・・。

評価4 投稿元:ブクログ

2009/08/06 16:41

-大切なことは、成長する植物のように、自分自身の時間のなかで動いているということだった-

庭って、孤独と向き合ったり、思索にふけるのにちょうどよい場所なのは、植物が考えたり夢見たりせず、ただ成長しているから、なのか・・・?映画「チャンス」の原作。孤児だった庭師が大統領候補になる1週間を描いた、大人のための寓話。ちょっと立ち止まりたいときにどうぞ。

評価0 投稿元:ブクログ

2013/03/13 21:09

それしか知らないっていうのもあるけど、自分の知っていることだけを言うってすごいよなあ。誤魔化してる気もするけど。
表紙で中身がなんとなく分かる。

評価3 投稿元:ブクログ

2012/03/13 23:28

タイトルにひかれて手に取った作品です。

主人公のチャンスはみなし児で、生まれてすぐに裕福な家に拾われ、庭師として育てられました。彼がするのは庭仕事と、テレビをみることだけ。庭から一歩も外に出たこともない、読み書きもできない彼がある日、主人が亡くなり、初めて外の世界に出ることに…。

なりゆきで時の人になってしまったチャンスは、高い社会的地位の者たちに囲まれて、大統領にも一目置かれる存在に。それでもチャンスが語るのは、愛する庭の話だけ。彼はただ静かに、そこにいるだけ…。

結末をどう読んでいいのか迷いました。ただの人として、庭のなかで穏やかな余生を送ってほしいと願うばかりです。

評価0 投稿元:ブクログ

2013/04/07 16:16

非常に面白い。
訳者後書きを見てびっくり。
かなり前に日本語訳されて出版された本だと知り、そして映画化もされていたとか(自分な無知なだけ)。
読んでいて、確かに「ソ連」、「西ドイツ」などの言葉が出てきて、不思議な感じはしていたけれど。

まったく古さを感じず。

「庭には成長にふさわしい季節があります。春と夏がありますが、秋と冬もあります。そしてまた春と夏がやってきます。枝が切り離されていないかぎり、心配はいりません。・・庭には手がかかるものです。でも自分の庭を愛すれば、そこで働き、待つことが苦にならなくなります。そして、ふさわしい季節が来れば、必ず花開くのが見られるのです」。


著者の他の作品、『異国の鳥』、『異境』も読んで見たくなった。

チョンシー・ガードナー。

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