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いつも旅のなか

いつも旅のなか

角田 光代 (著)

  • 全体の評価 54件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,57545pt
  • 発行年月:2005.4
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「いつも旅のなか」

とにかく旅が大好き。訪れた国は、キューバ、タイ、モロッコなど28ヶ国以上。独特のスタイルで世界各地を旅する作家が、世界各地で出会った様々な事件や人々との触れ合いを楽しく屈託なく綴ったエッセイ集。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「いつも旅のなか」

角田 光代

略歴
〈角田光代〉1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、「対岸の彼女」で直木賞を受賞。

関連キーワード- 「いつも旅のなか」

ユーザーレビュー- 「いつも旅のなか」

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/05/02 19:07

作家の素顔

投稿者:kumataro(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

いつも旅のなか 角田光代 アクセス・パブリッシング

 わたしはこの作家さんの作品は苦手です。以前「空中庭園」を読み始めましたが、30ページほどで読むことを断念したことがあります。しかし、この本は旅行記なので読んでみることにしました。
 海外旅行記です。登場する国々は、モロッコ、ロシア、ギリシャ、オーストラリア、スリランカ、ハワイ、バリ、ラオス、イタリア、マレーシア、ベトナム、モンゴル、ミャンマー、ネパール、タイ、台湾、アイルランド、中国、韓国、スペイン、キューバと多彩です。読み終えて、わたしが行きたいと感じたところはモロッコ(砂漠、峡谷)、ギリシャのカランバカ村(岩山の上に修道院が建設されている。)、ベトナム(北ベトナムの首都だったハノイ)、モンゴル(大地と大空が広がる風景)、タイ(プーケット(リゾート地))でした。
 読み始めて驚かされたことは、短文なのです。1か所の記述があっという間に終わってしまいます。また、その土地の暗い部分が記述されています。直接的な観光勧誘案内にはなっていません。読み始めは物足りない感じがしていましたが、読み進むにつれて、やはり作家さんの文章です、中身が濃厚になり力強さが湧き出してきます。
 作者は大変かわいらしい容貌なのですが、していることはおじさんです。タバコを吸い多量のアルコールをたしなみ、前へ前へとイノシシのごとく突進していきます。うまく表現できませんが、著者は幸福(しあわせ)を追求しているのではなくて、シアワセ(カタカナ表記になります)を追い求めています。
 ロシアにしてもキューバにしても社会主義の国では、人が働かないという印象をもちました。競争主義ではないので、働かなくても配分されるものがある、お金持ちから配分されることを当然のこととして受け止める、汚職が蔓延(まんえん)する、権力者が派閥や親族の利益を優先する、そんなところです。
 ギリシャの旅は楽しく読みましたが、作者はひとりぼっちでなんだかさみしい。全体をとおしてですが、やはりひとりごとのような記述が多くなり、作者の孤独が浮き彫りになってくるので、わたしは作者のような旅はしたくありません。以前読んだ同作者の作品「だれかのいとしい人」を思い出しました。
 オーストラリアの記述で登場する匿名の島は「ハミルトン島」ではないかと思うのです。わたしが訪れたとき島の北端にコアラがいる小さな動物園がありました。作者の記述に付け加えると、セキセイインコがすずめのように飛び、カンガルーが野良犬のように道端に寝そべっていました。
 77ページ、スリランカ編で登場するヒンズー教の神さまの名前「ガネーシャ」は、「夢をかなえるゾウ」水野敬也著飛鳥新社に登場する神さまの名前であることが判明しました。
 本に明記してあるわけではないのですが、この本を読んでいると、アメリカ合衆国という国は、いつの時代でも地球上のどこかの場所で戦争をしていないと気がすまない気質をもった国であると感じました。わたしはだんだんアメリカという国が嫌いになってきています。日本人であるわたしはアジアの一員でありたい。
 ミャンマーでは観光客でさえ「ス・チー」という言葉を発してはいけないようです。言論の自由は大切です。
 タイを例にして、日本人は70年代を境にして日本人の体験が変化したという作者の意見には同感です。わたしが就学時6才の頃に住んでいた熊本県の離島では、大きな穴に2枚の板を渡して大小便をしていましたし、お風呂は板を踏んで入る五右衛門風呂で、母親たちはそろって、川で洗濯をしていました。物々交換として、卵と氷を交換するとかいう習慣も残っていました。幼かったわたしは、人糞を桶に入れて天秤棒でかつぐ祖母のうしろを歩いて畑へ行き、肥(こえ)を畑に撒(ま)く祖母の姿を見ていました。
 中国上海の記述で述べられている、一度来てみて、もういい、再び来たいとは思わないという感想は、高校の修学旅行で上海に行ったことがあるうちのこどもの感想と同じで微笑みました。
 全体をとおして、毎日大量の文字を書いている作家さんの文章だと感じました。内容には意味深いものがあります。キューバ編、300ページ付近にある作者の記述「何を成していようがいまいが、日常を生きるごくありきたりのひとりである」は名言です。
 最後に、本のどこかに記述があったのですが、「人は2番目に好きな人と結婚する」について、わたしはやっぱり、世界中で1番好きだと思う人と結婚してほしいです。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/06/22 06:38

こんな旅したことない

投稿者:トパーズ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

訪れた国は26ヶ国、回数にして三十数回以上。
本人曰く人の数倍は小心者。車の免許は持ってないので、レンタカーを借りて、すいっと移動なんてなく、彼女の旅はひたすら歩く。
長距離のバスで移動、滞在した街でまた歩く歩くく。
しかも殆どが1ヶ月以上の長期滞在で、バックパックを背負った一人旅。私は、著者より幾分年齢が下なので体力が無い訳でもない。でも私はこんな旅はした事がない。私の回りの女の子達にも居ない。時代錯誤な考えだけど、男の人がする物かと思っていた。この本を読むまでは、バックパッカーは私とは大きなハサミで、断ち切られていた感じがする。
訪れるのは、モロッコ、タイ、ラオス、マレーシア、ベトナム、スリランカ、スペイン、キューバなどの何処か土臭くて、暑い国が多い。
そんな国には、人も情熱的で人なつこい人が多い様だ。
そんな国たちで、彼女はいつだって旅のオルガナイザーと呼ぶべき誰かと出会い、昔なじみの友人のように、彼女が行きたい所へ案内してくれたり、飽きるほど長い時間をいっしょに過ごしてくれるのだ。
なんて恐るべき幸運の持ち主。
御自分でも運が良いと自覚があるとのことだが、表紙になっている彼女の写真を見ると、日焼けしてはにかんだ表情は、なんだか無防備な小さな子供みたいだ。こんなに無防備な彼女を誰がほっておけるだろうか。
私が、角田さんと出会う異国の人だとしても、角田さんの邪悪の無さみたいなものに惹かれて、友人に成りたいと願う事だろう。
本書の中では、世界中でいろいろな食事もする。変わった味のスパイスなんてざらだ。すぐにお腹を壊してしまう私には、屋台で食事するなんて、憧れの極み。
そんな著者も、スペインでのオリーブオイル三昧には参ったようで、意外と万能の体ではないことに、図らずにもほっとしたりした。
本文の中に、こんな箇所がある。
「その町に流れる時間軸に、すっと入り込める時がある。どんな町でもだいたい滞在三日目か四日目で、そういうときがやってくる。そこでくりかえしおこなわれている日常が、肌で理解でき、自分がそこにくみこまれているのだと理解する瞬間。」
この一文には、そうそうと手を打ちたくなってしまう。
結局の所、この感覚を何度も味わいたくて、私達は何度でも旅行をするのだろう。
著者にも、動機があまりにも希薄なので、後回しにしてやっと訪れたフィレンツェがあったのだけど、私も似たり寄ったりの理由で、先延ばしにしている旅行先ある。
そろそろ、私もその時の熱に浮かされて旅行先を選ぶのでは無く、こんな風に自分の中だけで、ずっと気になっていた所に思いきって行く。そんな時期と年齢が来たのかも知れない。

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/04/20 22:48

抑えきれない旅心

投稿者:ナカムラマサル(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

旅好きの著者がこれまで経験した旅を振り返った旅行記。
モロッコ、ロシア、ロードス島など、色んな国に行ってるなあ、と感心してしまうが、アジアに関する章は特に文章が光っていた。
著者が一番好きな国に挙げたタイについても、できれば二度と行きたくない国に挙げた中国についても、その記述を読めばその理由もよく分かる。
たかのてるこ「ガンジス河でバタフライ」を読んだ時にも、一人旅に出たい病に襲われたものだが、本書も、読者を強烈に旅に出させたくなる本だ。
それにしてもすごい人だと思う。
韓国で旨い食べ物屋を探し当てるその直観力。
リゾート地でのんびりしておられず、さっさと荷物をまとめて山の頂上の修道院を見に行くそのフットワークの良さ。
スリランカ山中の聖地で祈っていた時に言葉にならない思いを体験したその感性。
そして何よりも著者が秀でているのは、鋭い観察眼と、それを巧みに表現できる頭脳の明晰さだ。たとえばモロッコで出会った、個人ガイドを申し出る現地の青年について、「彼をいいやつだとか悪いやつだとかを超えた、かような商売人に仕立て上げたのは、大勢の日本人旅行者なのだろう」と看破する。
その観察眼の鋭さに、全編を通じて、感心させられ通しだった。
どの国に関しても、その国の温度が伝わってくるような文章で、自分もこの目で確かめたくなる衝動に駆られた。

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4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/07/30 20:57

発表した時と、書かれている内容との間に大きな時間のずれがあります。つまり、これは回想録なんですね。ちょと熱さが、作り物めいているのが残念

投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず目に飛び込んでくるのが、カバーに出ている角田です。写真の角田は、まさに大学生といった風情で、いったいいつの写真なんだろう、と思ってしまうのですが、最近のものではあるのでしょう。内容も、そういった若さが溢れる旅のエッセイで、そうか30代でもこんなにも貧しい旅が出来るんだ、と羨ましくなってしまいます。
で、一人旅といった行動はともかく角田の頭はたしかに1967年生まれのものではあるので、その年齢なりの落ち着きもあって、安宿利用とその落差が面白いものです。なにか、女版シーナさん、とでもいうのでしょうか。ま、角田には昭和軽薄体の文章はありませんが。それにしても、随分色々なところに行っているなあ、と感心します。その場所を目次から完全引用しますと
Be Happy モロッコ、The Border ロシア、ロシアの幽霊 ロシア、非リゾート ギリシア、コノミ オーストラリア、祈り スリランカ、サイミン ハワイ、A DEADS DOG IS... パリ、旅と年齢 ラオス、ほとほといやになるけれど イタリア、過剰博物館 イタリア、かくも長き一日 マレーシア、Rさんのこと ベトナム、なんにもない モンゴル、そういえばミャンマー ミャンマー、ビバ団体旅行 ベネチア、ときに示唆する旅 ネパール、はつ恋 プーケット、明るい未来 台湾、さまよう幽霊 アイルランド、きらいきらい・・・・・・好き? 上海、熱く、辛い小旅行 韓国、アッパーとダウナーの旅 スペイン、いのちの光 キューバ、あとがき。
ということで、巻末に
掲載誌は「生本」という雑誌で、「いのちの光」のみ書き下ろし。写真/カバー、扉、「サイミン」「A DEADS DOG IS...」「いのちの光」は山口昌弘氏撮影、その他の本文写真は、すべて角田光代氏撮影です。
とあります。山口昌弘氏は、角田のあとがきによればデザイナーだそうです。でも、驚くのは、本を読みながら「上手な写真だなあ、同行したプロが撮ったのかしらん」と感心していて、それが角田自身の手になると分ったことでしょう。まさにシーナさんの写真ではないですか。
さらに言えば、山口氏が撮影した角田は、想像していた以上にチャーミングな人で、「祈り」のなかに「私はそのとき、恋人と、ある文学賞が、かなり切実にほしかった。」「私は恋人がいないと日々のあれこれにあんまりやる気がでないたちなので」「やっぱり大事なのは恋人じゃないか」とあるけれど、こんなに可愛い人なら何でステディな恋人がいないの?と思ってしまいます。
話として印象的だったのは、旅をする人が相手方の好意的な態度に思わず裏を読もうとする「Be Happy」、或は、これって20年前の記事ではと官僚臭が嫌になる「ロシアの幽霊」、ここまで日本人に惚れるかな?「コノミ」、私もイタリア人とくれば掏りと女たらしと思い込んでいるので肯ける「ほとほといやになるけれど」、思わず沈黙してしまう「Rさんのこと」でしょうか。
ただ、読んでいて気になるのが書く記事に何年何月という注記が全くないことです。雑誌連載はは2002〜2004ですが、著者写真も記事も、どこかズレています。たとえば「ときに示唆する旅 ネパール」ですが、このなかで「この旅から帰ってすぐ、私は30歳になった」とあります。角田は1967年生まれですから、この旅は1997年です。でも本に掲載されたのはその5年後。注に1997とか書いてあれば、わたしたちは違和感なくその世界というか時代を理解できるに違いありません。旅行記を、時間をずらして書く、その難しさというか、不自然がでてしまった作品でしょう。その違和感を消す為に時代を表記しなかった、でもそれが却って紀行の真実を曖昧にしてしまった、そういったところでしょうか。

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