- 出版社:汐文社
- サイズ:31cm/1冊(ページ付なし)
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-8113-7891-1
津波!!命を救った稲むらの火
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- 税込価格:1,470円(42pt)
- 発行年月:2005.4
- 発送可能日:24時間
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商品説明- 「津波!!命を救った稲むらの火」
それは、人をおどろかすような地震ではなかった。だが、海を見た五兵衛はあることを思い出し、急いで稲むらに火をつけてまわった…。紀州和歌山藩広村を舞台に、津波から村人を救った長者・浜口五兵衛の活躍を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「津波!!命を救った稲むらの火」
小泉 八雲
- 略歴
- 〈小泉八雲〉1850〜1904年。ギリシア生まれ。1880年に来日、教職につき、1896年に帰化する。
〈高村忠範〉1954年山梨県生まれ。和光大学人文学部科卒業。イラストレーター。
ユーザーレビュー- 「津波!!命を救った稲むらの火」
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/07/11 05:36
公に語り継いでいくということ
投稿者:wildflower(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を手にしたきっかけは、このたびの東日本大震災後の疵痕がまだ生々しく残っていた頃、5月の初旬のことだった。お世話になっている目上の方から紹介され、貸していただいた物語が本書である。齢80を越えるその方にとっては自明の、私自身にとっては初耳の話であった。それが本書に描かれている「稲むらの火」である。
本書は紀州和歌山藩広村(現在の和歌山県有田群広川町)に実在した長者、浜口儀兵衛をモデルに描かれた史実を濃く伝える物語である。「浜口五兵衛」はその海嘯の波の高さが最大30mを越したという安政元年の大津波(1854年12月24日の南海地震)の際、自らの稲わらを燃すことによって、ふもとの村人たちの注意を引き、高台へと避難させることで村人たちの命を救った。そしてその後私財をなげうち、大きな堤防(広村堤防)を造らせたという。
現在もなお地元の方たちに大切にされているというその堤防を巡る物語は、小泉八雲によって1897年「A Living God」という名で出版され紹介された。(「Gleanings in Buddaha-Fields 」所収)
その出版後40年、或る小学校教師の働きによって1932年から10年の間、小学校の国語の教科書に掲載された。当時の文部省(現在の文部科学省)の公募に入選したという経緯等、ここに記したことのほとんどは末尾の解説によるものである。
本書を紹介してくださった方は、まさにその10年の間のうちにこの物語を小学校で習ってこられた方であった。「修身と国語のために佳い教材を」という呼び掛けに、浜口儀兵衛と同郷の教師が応え応募したものだという。幼い子ども達への防災教育の一環として、紙芝居もつくられたこともあったという。
現在もなお復興に向けての歩みをつづけておられる東日本大震災の被災地の方々には、なんとも申し上げようもない哀悼の思いで一杯である。まもなく4カ月を迎えるが、今なお行方の分からぬ方がおられ、避難所等に生活されている方がおられる。
地震や海嘯の多い日本列島のなかでも海嘯による被害はこのたびよりも前に繰り返し起こっていたと識った。それゆえに「津波てんでんこ」ということばに象徴される言い伝えもあり、地域のなかでの防災教育はしっかりなされていた、と報道でも伝えられている。それにもかかわらず、未曾有、想定外と繰り返し語られたこの度の震災の被害の大きさにはいまだに深いショックが癒えない。
本書に関する内容が平成23年度の小学校5年国語の検定教科書(光村図書出版)に掲載されている。「百年後のふるさとを守る」と題された教材は15頁にわたり、伝記を通じて自分とのかかわりを学ぶという内容となっている。その題材として「稲むらの火」が取り上げられている。すばらしい内容であった。私には小学5年の息子がいるが、かつて国語として教わった世代があり、いま再び学びなおせる子ども達がいる一方、息子を含め一切学ばずに終わる子ども達がいる。望めば教科書は別途購入することができるし、佳い作品は世に出て誰もが求め、閲覧することができるとはいえ、広く皆が教わることがないというのは大変残念なことである。
その点も本書ならば、読み聞かせれば小学校未満の子どもたちにもよく分かるような平易な文章で、高村忠範氏の絵もある程度の距離からでも見える、くっきりとした輪郭と色彩をもって描かれている。内容もかつて偉い方がいたということだけでも十分に感動的な佳い作品だが、小学生高学年以上の読者にはこの地震と海嘯の多い国に住みつづけていくための防災教育という点でも、よいきっかけとなりうる作品である。
なお防災教育に関しては先行書評wildcatさんも言及されているが、内閣府防災担当のサイト「稲むらの火と津波対策」が詳しい。ぜひ併せてご覧いただければと思う。
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/08/14 05:57
民間伝承が伝えてくれるもの
投稿者:wildcat(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
稲むらの火は、紀州和歌山藩広村の長者であった浜口五兵衛
(作品では五兵衛だが、モデルの本名は儀兵衛、号は梧陵。)が
収穫したばかりの稲むらを焼いて、村人を
津波(安政の南海地震による津波)から救ったという実話である。
近年、津波対策のために再度注目され、紙芝居や人形劇にもなっている。
私は、仕事の関係で、この作品を知っていたのだが、
図書館で出会った本書の表紙の「原作・小泉八雲」の表示に驚かされた。
作品は知ってはいたが、今日のこの瞬間まで、
原作が小泉八雲だとは少しも知らなかったのである。
もともとこの伝承が文字となって残っていたのは、
小泉八雲が、1897年に浜口義兵衛の活躍を
「A living God(生ける神)」として
作品にして発表していたからなのである。
「生ける神」を収めた
「Gleanings in Buddha-Fields(仏の畠の落穂)」は
ボストンとロンドンで出版された。
その40年後、「生ける神」に感動した小学校教師・中井常蔵は、
当時文部省が募集していた教科書に掲載する作品として、
「生ける神」を「稲むらの火」と書き改めた原稿を送った。
「稲むらの火」は、1932年から約10年の間小学校の教科書に掲載された。
最初に書き残した人がいて、それを見つけて選んだ人がいて、
この実話は、私たちの手元まで届き、今の時代の防災に生きているのだ。
この教訓は、津波がくることがわかったら、
出来るだけ早く高いところに逃げろというシンプルなことである。
今は、津波警報が出たりするが、当時はそんなものはない。
もしも、
五兵衛が高いところから海を見ていて、その異変に気づかなければ、
それを見たときに
自分のおじいさんから子どものころに聞いた話を思い出さなければ、
とにかく村人を助けようと稲むらを犠牲にしなければ、
村は全滅していたかもしれない。
文と絵を書いた高村忠範は、
「怪談小泉八雲のこわ~い話」シリーズも出している。
色が鮮やかな存在感のあるタッチの絵である。
「稲むらの火」のサイトによると、
稲むらの火は、アジア地域の人々が津波災害から命を守れるように
日本国政府の支援によって
アジア8カ国津波防災教材として現地語に翻訳されている。
海の民と呼ばれたモーケン族は、プーケットの津波のときに
「7つの大波」という伝承による知識から、
津波が来ることを20分前に気づき、
障害者20名を含めた1,200名全員が
無事に避難したというエピソードを思い出した。
地域や先住民の民間伝承には、
生活の知恵や災害から生き延びる知恵が
たくさん埋まっているのかもしれない。
言葉として伝わったり、文字として残されたりしている、
大切なものに気づく力を持ち合わせていたいものである。








