GOTH 夜の章 (角川文庫)
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- 税込価格:460円(13pt)
- 発行年月:2005.6
- 発送可能日:1~3日
- 本 文庫
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商品説明- 「GOTH 夜の章」
【本格ミステリ大賞(第3回)】【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧- 「GOTH 夜の章」
| 暗黒系 | 5-47 | |
|---|---|---|
| 犬 | 49-122 | |
| 記憶 | 123-184 |
ユーザーレビュー- 「GOTH 夜の章」
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/09/24 10:38
なかなか……
投稿者:ぶにゃ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつのことだったか、珍しい名前だなと、本屋でぱらぱらと乙一の本をめくったことがある。題名はおぼえていない。その時はさほど興味を感ずることなく本を棚に戻した。数年経って、この珍しい名前を持つ作家の文庫本が本屋の棚に目立つようになり、現在若者を中心に人気のある作家だということがわかってきた。
僕はスプラッタは嫌いである。牛タンのスモークは好きだし、以前は好んでレバ刺を食べていたが、それらは決して「舌」ではなく「肝臓」でもなく、それらを調理したあくまでも「食物」なのである。映画や小説に描写されるスプラッタ場面から食物としての臓器を連想するのは難しい。
スプラッタがダメなら乙一の「GOTH」は読まないほうがイイよ、と親切にも忠告してくれたのは高二の娘である。「わたしは平気だけど……」。どうやら乙一の作品には黒いのと白いのがあり、この「GOTH」はきわめつけ黒いらしい。
では読んでみよう、と天邪鬼な僕は二分冊の文庫本を買ってきた。つまらなければやめればいい。内臓ばかり飛び散らかすものだから、干涸らびた残骸のような中身のないホラーが生まれる。そんな小説なら読む必要はないだろう。
ということで、読み始めた。やはり、のっけから、解体新書である。殺人鬼にえぐり取られた目や耳が……。しかし、なぜか、そんなに気持ち悪くない。いや、なかなか、どうして、大変ていねいに書かれた文章である。六編の連作短編集。ミステリーだと作者が断っているわりには少し偶然に頼りすぎているところもあるが、それでもなお、読む者を惹き付けて離さない何かがある。この「何か」が大事なところであって、きっと若い読者は若者なりに「何か」を感じ取っているのだろうと思う。
そういえば、夢野久作の「ドグラ・マグラ」や、中井英夫の「幻想博物館」をはじめとする一連の作品群を読み始めたのは高校時代だった。もう30年以上も昔のことであるが、現在の高校生はこういう書物を読むのだろうか。「GOTH」の世界は、かつて愛読した彼らの織りなす妖しい世界と共通するものがある。乙一のこの作品は、決して底の浅いスプラッタでもなければグロテスク小説でもない。たとえば「土」などは究極の純愛小説とも読めるではないか。
ひょっとしたらこの作家、いつしか坂口安吾の凄絶な傑作「夜長姫と耳男」に匹敵する物語を書き上げるかも知れない。
その時が来たら、また読んでみようと思う。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/06/06 01:22
性欲にも似た欲望を満たす。
投稿者:由季(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
描写が、というわけではないんだけど、題材というか雰囲気とかが全体的にグロい。
でもなんか、生唾を飲み込みながら読んじゃう感じ。
この作品を気に入るのって、人間として結構ヤバいんじゃないか…!?と思ってしまったが、なんか結構面白かった気がする♪(笑)
特に、乙一お得意の「主格虚偽」マジックにはまんまとやられました!
この作品は「僕の章」とセットなんだけど、よく出来てる。
乙一作品の中で上位にきますね。ぜひ一読あれ!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/08/08 02:25
目には目を、怪物には怪物を。
投稿者:川内イオ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と
化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、
深淵もまた等しくおまえを見返すのだ」
(フリードリッヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラは
かくかく語りき』より)
『GOTH』には、猟奇的、変質的な傷害、殺人事件が、
グロさを伴わない、雲ひとつない空のように爽やかで、且つ
脳に映像を喚起させるようなリアルな描写で描かれている。
連続殺人者の細やかな「殺害メモ」が記された手帳。
物語は、主人公「ぼく」の同級生・森野という、
「死」の匂いに鋭敏な女子高生が、地元の喫茶店で
偶然その手帳を拾うことから流れ始める。
「ぼく」は、高校の同級生や家族とも普通に会話を交わし、
何の問題もなく生活する、表面上はごく一般的な高校生。
森野は、自らクラスでの存在感を消し、他人との
交渉の一切を絶っている幽霊のような存在。
が、あるきっかけで互いが同好の士であることを知り、
森野は「ぼく」とだけコミュニケーションを持つようになる。
同好。
それは、猟奇的、変質的な事件の情報を収集する趣味。
森野は、その出自と生育環境からくるのだろう嗅覚で、
無意識のうちに、目を背けたくなるほど残酷で、
なぜか少し悲しい事件の匂いを嗅ぎ、怪物に近づいてゆく。
孤独を舐める殺人者が浴びる赤い血の飛沫。
孤高を気取る殺人者の耳に残る断末魔の声。
そして「ぼく」は、無自覚に危うい道を歩む
森野の理解者として、互いの距離を縮めてゆく…。
冒頭の、誰もが映画や小説で一度は耳にしたことが
あるであろう、使い古されたニーチェの言葉。
言うまでもないが、この一節は、正義をもって
怪物と闘う「まともな人間」への警鐘だ。
だがニーチェの生きた時代から、社会は変質した。
怪物は既に多く世に放たれ、闘う者は疲弊し衰弱した。
怪物の足跡は雑踏に埋もれ、闘う者は混乱し自失した。
今、社会を跋扈する怪物を捕らえることができるのは、
無感情に深淵をじっと覗き込む、怪物だけなのかもしれない。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/10/17 15:33
とらえどころない世界観「乙一ワールド」の哀しさ。
投稿者:惠。(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
乙一作品を読むのはこれが二作目。乙一と聞くと「エグイ」「グロい」「ホラー」というイメージがわたしの中になぜか定着していて、なかなか手が伸ばせずにいたのだ。
しかし『夏と花火と私の死体』を読んでみて、思っていたよりもグロくもなく霊的な怖さもないかもしれないと、気付いた。そして単純に乙一は巧い、とも思った。
しかし「巧い」ことと「好き」であることは必ずしもイコールではない。『夏と花火と私の死体』が醸し出す雰囲気はわたしの好みではない。でももう数冊は読んでみたい。そんな揺れる乙女心(誤植ではありません)の背中を押してくれたのは、確からぴさんのレビューだったか。
このところ世間を震撼させている連続殺人事件。犯人は殺害した女性の身体をバラバラに解体し並べると言う。その殺人犯の日記らしき手帳を拾ったと同級生の森野夜が僕に言った。その手帳には、まだ明るみになっていない第三の被害者についての記述もあった。森野と僕はその手帳を手がかりに、第三の被害者である水口ナナミの捜索に出かけることにした。
「私は、この事件のことをニュースで見るのが好きなの」
「どうして?」
「異常な事件だからよ」
森野と僕が水口ナナミの死体遺棄現場に向かったのは正義感からではない。彼らは残虐な行為をしでかした犯人に興味があるだけだ。
しかし、僕たちは手帳の持ち主が行った事件の禍々しさの虜になっていた。犯人は日常生活のある瞬間に一線を踏み越えて、人間の持つ人格や尊厳を踏みにじり、人体を破壊しつくしたのだ。
本書には僕が語り部となって語られる3つの事件が収められている。僕が殺人者になるわけでもないし、森野が殺人者になるわけでもない。彼らのスタンスは終始、上で引用した具合だ。
登場する事件は猟奇的だけれど、その描写が信じられないほどグロいというわけではない。残酷は残酷だけれど、そこを追究しているわけでもない。
ただ、哀しいな、と思った。しかし不思議なことに、どこが哀しいのか具体的に説明ができない。ただ漠然と読み終わったときに、哀しい、と思ったのだ。
ミステリのトリックとしてはやはり巧い、と思わずにいられない。短い作品の中に、意表をついた小技を効かせてくる。でもやっぱり…この哀しい雰囲気がとても苦手だ。
残酷なのに毒気が感じられない。だからこそ不気味に感じるのかもしれない。
でも「哀しい」と感じるのはどうしてだろう。作品全体から漂う雰囲気に重さを感じてしまう。そして気が滅入りさえする。
それに比べて、あとがきのなんとも軽やかなことといったら! この対比がまた著者の魅力でもあるのだろう。
それでもわたしはやっぱり、乙一のこの、捉えどころのない世界観が苦手だ、と思う。
『GOTH 夜の章』収録作品
・闇黒系
・犬
・記憶







