- 出版社:早川書房
- サイズ:22cm/382p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-208642-4
アゴールニンズ
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(3件のユーザーレビュー)
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- 税込価格:1,995円(57pt)
- 発行年月:2005.6
- 発送可能日:購入できません
- 本
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商品説明- 「アゴールニンズ」
【世界幻想文学大賞(2004年度)】父アゴールニン啖爵の臨終の席で、まさかあんな無法な出来事が起こるなんて!? おまけに、いやらしい牧師にいい寄られ…。ヴィクトリア朝を思わせる世界を舞台に、ドラゴンたちが奏でるユーモラスな狂詩曲。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「アゴールニンズ」
ジョー・ウォルトン
- 略歴
- 〈ウォルトン〉英国ウェールズ生まれ。デビュー作「The King’s peace」で、ファン投票により新人作家を選出するジョン・W.キャンベル賞を2002年度に受賞。
ユーザーレビュー- 「アゴールニンズ」
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/07/06 09:48
恋して悩んで戦って…
投稿者:PNU(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴィクトリア朝を模した世界。ただし、出てくるのは全て竜である。
ヴィクトリア時代っぽい身分制と宗教観を持つドラゴン・ワールド
「ティアマト国」。
父の死に、うら若きドラゴンの姉妹・セレンドラとヘイナーは
それぞれ違う家に引き取られていく。
互いに苦労しつつ、相手を思いやる姉妹の運命やいかに?
ドラゴンにとことんこだわった作りで、人物紹介も
登場「竜物」紹介になっているくらい。
竜ばかりとはいえ、家族を思う気持ちや恋心は人間と変わらず
熱いのだ。ただ…ちょっぴり習慣が違うくらいで。
ヴィクトリア朝には思い入れや興味がない私だったが、
読み進めればキャラクターの魅力ですいすいと作中世界に
引きこまれていった。
物語の中心となるいきいきとしたセレンドラの魅力は
言うまでもなく、微妙に個性の異なる同腹の妹ヘイナーも良いし、
子竜たちも可愛いし、生真面目なペンや善良で苦労人のフェリン、
若々しいエイヴァンやひょうひょうとしたシャーも素敵だ。
そして忘れてはならないのが嫌われ者のフレルトやデヴラクだろう。
彼らはけして好かれないだろうが、
彼らのおかげで物語は躍動感を持ち、引き締まったと思う。
ストーリーはクラシックで典型的に思えるかもしれない。
人によっては都合良いとすら感じるだろう。シンプルでストレートな
恋愛&貴族のお家騒動ものだが、竜世界の風俗や習性
(ここら辺は紹介してしまうと興がそがれるので、
ぜひ読んで確かめてみて!!)が面白く、
味わいを深めて素敵な小説になった。
すべてのドラゴン好きに強力におすすめしたい。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/11/03 23:44
遺産相続、権力闘争、恋愛、法廷劇…色々盛り込まれ、いっぱい楽しいドラゴン「社会」の物語。
投稿者:うっちー(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラゴンが活躍する物語といっても、これはちょっと普通のファンタジーとは趣の違うお話。よくあるドラゴンものと思って読み始めると、オヤオヤ、とちょっとびっくりしてしまう。
表紙から想像すべきだった。きれいな赤いドラゴンが、腕を交差させ、窓辺によりかかるしぐさといい、何やら物思う様子といい、とても人間くさく、ただのドラゴンではないなと。
描かれるのは、ドラゴン「社会」。古き良き英国を彷彿とさせるドラゴンたちの国、ティアマト国。そこで起こる遺産相続に端を発するゴタゴタを描いた喜劇(?)なのだ。権力闘争あり、親子の確執あり、恋愛、法廷劇、身分、社会問題、セクハラ、暴力、宝物、すべてが盛り込まれ、でも、すべてうまく料理されているので、とても楽しめる。おもしろい!
男に頼るしかない、しがない女たち、という図式のドラゴン社会でありながら、その女ドラゴンたちがとてもかしこくて魅力的。男ドラゴンたちは、むこうみずだったり、暴力的だったり、小心者や軽薄者だったりして、愚かなのだが(まぁ、それもおもしろいのだけど)、女たちは、賢く、したたかで、魅力的なのだ。
アゴールニン家の当主ボン啖爵(「だんしゃく」と読ませる。)が亡くなり、その残された子どもたちが主人公なのだが、特に次女セレンドラと三女ヘイナーの恋愛には、思わず肩入れしてしまう。長男ベンの奥さんフェリンは妻の鏡!そのみごとな内助の功も見もの。
しっかりとリアルにドラゴン社会の設定ができているので、違和感なく、物語にすっと引き込まれるし、彼ら、彼女たちの「竜生(じんせい)」に共感できるのだ。
男女が関係をもつ(といっても、少し触れるだけなのだが)と、女ドラゴンの色が変わるとか、恋愛模様も愉快。どうなることかと心配させて、一気に大団円までもっていく見事な腕前!なるほど、「世界幻想文学大賞」の名に恥じない作品だ。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/09/01 20:37
このカバー画があまりに素晴らしいので、中味はどうなんだろうと結構危ぶんでいたんですが、さすが大人の文学賞を獲るだけのことはあります。大人のための竜のお話
投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ともかく素晴らしい竜の絵です。でも、版型といい、その絵の具合といい、書店に平積みされている状態といい、今大流行のお子様ゲームファンタジー・スメルぷんぷんで、危うく見過ごすところでした。ところが、ギッチョ左利き、タイトル上部にさり気無く「世界幻想文学大賞受賞」とあるではないですか。これって、いわゆる便乗本やレベルの低いお子ちゃま本には絶対に与えられることのない凄い賞なわけです。まして、出版社がアダルトな(エロいって意味ではなく、あくまで大人向けの、っていう)早川書房じゃあないですか。もう、手にするっきゃないわけで、ねえ。ちなみに原題は TOOTH AND CLAW 歯と爪、何だかビル・S・バリンジャーの袋とじミステリを連想します。
素晴らしいCover art は Tristan Elwell、装幀が岩郷重力+WONDER WORKZ。 竜の置き方が、まさに西洋名画です。中央に腕を組んだ竜を置いて、バックにアーチ型の窓、遠景に湖と山々。カバー後は、その絵の反転拡大コピーでしょうか。よーく見るとおんなじです。でも、手抜きという感じはありません。上下に英文字のタイトルと著者名が、古代布の模様のような帯の中にさり気無く配されていますが、これも決まってます。背のデザインもいい。岩郷さんの装幀も素晴らしい。
ちょっと拙いかなと思うのは、カバー折り返しに載っている登場竜物紹介。何だか、トレカみたいな気がしません?私は娘たちがついこの間まで嵌っていたポケモンを思い出してしまいました。でも、話のほうは、ああいうお手軽なお子様ものではなくて、もっと深い内容があります。
例えばカニバリズム、遺産相続、レイプ、汚職、因習、家系、訴訟。どれをとっても、マジですよね。ま、竜の世界ですし、竜肉嗜好といっても戦時中の日本陸軍の南方での生存競争とは違いますが、それでも家族の絆と種の保存いうものを考えさせるような内容ではあります。レイプといっても、ただ手が触れるというだけのものなんですが、やはり理不尽さに怒りを覚えたりします。
ということで、この竜物紹介、デザインは好きませんが、物語理解の役には立つんです。主人公、というのはアゴールニン家の面々という複数なのですが、中心は、亡くなったボン・アゴールニン啖爵の次女セレンドラと三女のヘイナーでしょう。ともかく、二竜の恋物語はわくわくします。
ついでに書いておけば、雄どもはセレンドラに恋するシャーを除けばバカばかりですね。アゴールニン啖爵の長男で教区牧師のペンもですが、次男で都市計画局の役人であるエイヴァンも、見境のない訴訟騒ぎをやらかします。それを受けてたつデヴラク子爵というのが、これまた俗物で・・・とまあ、面白いんですね。訳文も竜に(ひと)というルビをわざわざ振ったりして、工夫してますし。
先が読めない、という点でも、さすが世界幻想文学大賞受賞作ですが、その社会的な視野といい、そこにピッタリ嵌る配役といい、やはり大人の物語だという気がします。一読、どころか再読の価値あり、ですね。ファンタジーらしい終わり方をしますが、甘い感じがしないのは嫁姑問題や、共食い、宗教問題、誘拐といった大人の問題を上手く物語りに溶け込ませているからでしょう。







