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紙の本
南朝全史 大覚寺統から後南朝へ (講談社選書メチエ)
著者 森 茂暁 (著)
謎多き南朝。その実像は、政治・文化的実体をともなった本格政権だった。劣勢を余儀なくされながら、吉野山中になぜ長きにわたり存続できたのか。あらゆる史料を博捜し、「もう一つの...
南朝全史 大覚寺統から後南朝へ (講談社選書メチエ)
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商品説明
謎多き南朝。その実像は、政治・文化的実体をともなった本格政権だった。劣勢を余儀なくされながら、吉野山中になぜ長きにわたり存続できたのか。あらゆる史料を博捜し、「もう一つの朝廷」200年の全過程を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
森 茂暁
- 略歴
- 〈森茂暁〉1949年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、福岡大学人文学部教授。専攻は、中世日本の政治と文化。著書に「南北朝期公武関係史の研究」「後醍醐天皇」「満済」など。
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紙の本
興味深い本。
2009/01/04 23:49
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫本に引っ越した「皇子たちの南北朝」は後醍醐天皇という良くも悪しくも巨大な「異形の王権」の存在の陰に隠れた-少なくとも戦後は-皇子方(長慶、後亀山両院と後征西将軍宮は後村上院の皇子だが)に光を当てた良書だ。宗良親王という素晴らしい歌人と出会った本でもあるし。北朝正統論の立場に立っても「新葉和歌集」と「李花集」は、「風雅和歌集」と同じぐらいに素晴らしい。戦前風にいえば「吉野朝の悲歌」だ。
この本の場合、一番興味をそそられたのは、持明院統朝廷と南朝の陰に隠れた大覚寺統皇胤方の存在だ。少なくとも恒明親王と邦良親王、康仁親王は一応、表舞台に出て来るが、後二条天皇第二皇子邦省親王や邦良親王の王子であられる邦世親王は忘れられた存在だ。著者は「新続古今和歌集」に収録された邦省親王の御歌を紹介されているが、御祖父後宇多上皇に期待をかけられたのが、邦省親王にとって人生の重荷になられたと察せられる。これは晩年の亀山院に期待された恒明親王にも言える事だ。
この本には出てこないが、観応三年に正平の一統が破綻した際に光嚴、光明、崇光の三上皇と直仁親王をはじめとする持明院統の方々を、建武三年に光嚴院と豊仁親王を逃した為に光嚴院の院宣による光明天皇践祚の再現をされない為に南朝は拉致した-何しろ後村上院は「元弘偽主の御弟」(「神皇正統記」)と、その皇子に太上天皇の尊号を宣下されたから可能性はあるわけで-が、恒明親王や後二条系の皇胤は南朝に拉致される存在でなかった事は南朝にとって脅威ではなかったのかもしれない。弥仁王(後光厳天皇)を拉致し損なったから、尊氏・義詮父子は強引に朝廷を再建出来たわけだが、もし弥仁王まで拉致されたら、大覚寺統系の王子を室町幕府は擁立したのだろうか。何しろ天皇がおられないと征夷大将軍をはじめ、文武百官や僧位をつける存在がいなくなってしまうので。