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一千一秒の日々

  • 出版社:マガジンハウス
  • サイズ:20cm/219p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-8387-1592-7

一千一秒の日々

島本 理生 (著)

  • 全体の評価 54件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,36539pt
  • 発行年月:2005.6
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明- 「一千一秒の日々」

小さな明かりの灯った夜の中で、私たちは長い会話とキスを交わしながら、何度夜を明かしただろう。ふたりだけの愛おしい日々が溶けていく−。生真面目で不器用な恋人たちを清新なイメージで描いた7色の連作短篇集。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧- 「一千一秒の日々」

風光る 5-25
七月の通り雨 27-56
青い夜、緑のフェンス 57-91

著者紹介- 「一千一秒の日々」

島本 理生

略歴
〈島本理生〉1983年東京生まれ。立教大学文学部在学中。01年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作、03年「リトル・バイ・リトル」で第25回野間文芸新人賞を受賞。

ユーザーレビュー- 「一千一秒の日々」

全体の評価
5.0
評価内訳 全て(4件)
★★★★★(3件)
★★★★☆(1件)
★★★☆☆(0件)
★★☆☆☆(0件)
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6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/07/31 18:06

ガールズトーク

投稿者:maoi(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

表紙はピンクのもやにくるまれた女の子ふたりが仲良さそうに、向き合っている。
夜どおしベッドで眠りにつく前に、女の子同志で秘密の告白をしあう。そんな親密さが漂っている。
他人の事を自分のように感じる親密さは、この年頃がピークかなとも思う。もうすぐ、ここには居られなくなる。彼女達はそんな先の事も知りつつ、惜しむようにおしゃべりをしてる。
表紙事体が、丸っきり小説の内容を暗示してるみたいだ。
全ての話が、高校生から大学生くらいの子が主人公の短編集です。
二十歳前後で味わったり、見聞きするであろう、日常生活の細々が描写されており、好きな人の為に作るお弁当、やどかりの様に男の部屋を渡り歩く女子大生、なんとなく始まった同棲生活のピリオドであったり、今時のリアルな若い子達のはずなのに、みんな不器用の上に、スロースターターだ。
主人公達は多くの人達より、自分の周りにあるののを大切にしすぎるのかも知れない。
若い彼女たちは、駆引きなしのぎりぎりの気持で、日々過ごしている。相手を困らすようにしか、自分の気持を伝えられなかったり、時には刹那的にもふるまったりする。
そんな女の子達を受け止めるのは、優しくて寡黙な男の子達だ。
0・1トンの体重の針谷くんには、一紗という女の子の幼馴染みがいる。全体的に体温の低そうな、登場人物の中で一紗だけは、情熱的で思った事以上の事を口にし、いつも針谷くんを困らせる。
しょっちゅう、男と派手ないざこざをしてその都度、彼に助けてもらっている。針谷に助けてもらうのが最終目的で、適当な男と付合ってるみたいなものだ。
一紗は、針谷くんが大好きだ。いつも全身で訴えている。にもかかわらず
「僕って男なのに胸もあるんだよ、こんな奴を相手に恋だとか、好きだとか錯覚に決まっているだろう」と随分すげない。
このもどかしさ。すぐに手を出してくるような男ではなく、正しい男の子を好きになってしまった、もどかしさと常に大切にしてくれるうれしさ。
世の中、外見のいい男ばかりが、女から愛される訳ではないのに。針谷君本人は、外見にコンプレックスがあるけど、それは頼れる安心できる存在のクールな男の子だ。そんな男の子なかなか居ない。だからこそ一紗も執着するのだろう。
一紗が、彼に辿り着くには後何人の男と付合わないとダメなんだろう。
果たして、その内にでも受入れてくれるのだろうか。
一読者である私は、彼女らのその後が気になって、気になってじれったい。
作者は若くて、今時の子達の物語を淡々と描いてるけど、とても品のよい文章を書く人でもある。
その暖かい感じと冷静さの混じった、品の良さが読んでいて気分が良かった。

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/12/10 21:33

第二期島本理生の萌芽

投稿者:ナカムラマサル(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公がリレー形式で変わる連作短編集。テーマは、恋愛のうまくいかなさ。「ままならない恋に風味あり」というコピーをそのままこの本の帯に使いたいくらいだ。
 最初の2編を読む限りでは、いかにも『ナラタージュ』を書いた島本理生らしい小説だな、と思わせられる。最初の『風光る』は一つの恋の終わる場面を、次の『七月の通り雨』では究極のむくわれない恋を、それぞれ描いている。読んでいてたまらなくせつない。が、『青い夜、緑のフェンス』を読むと、これは本当に島本理生が書いた小説なのかと驚く。太った針谷という青年と、彼に恋する一紗というかわいい女の子の奇妙な関係を描いた一編なのだが、まず、島本理生が描く女の子が「ぐへへ」と笑うなんて、と仰天した。針谷が一紗を拒む理由も今までの島本作品からは考えにくいものなのだが、世間ではこういうことはよくあるだろう、と納得できるような内容。本書の短編の半分は男の子の視点で描かれており、これも新しい試み。
 「初恋からの脱皮」というテーマの集大成が前作『ナラタージュ』だとすれば、本書は第二期島本理生の始まりを感じさせてくれる。島本理生のさらなる飛躍の予感に満ちた1冊だ。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/05/21 21:57

恋愛小説でありながら単なる恋愛小説で終わらないのが島本理生の作品なのです。

投稿者:エルフ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

短編のうち1話~6話までは主人公が一人ずつ脇役とバトンタッチしていきグルリと一回りし
てまた1話目の主人公の物語へと戻っていく連作短編集と番外編(?)の7作からなる本作品。
正直1話目の「風光る」を読んだ時は「ナラタージュ」の激しさと比べてかなり小さく纏まってしまったなぁ~という印象でちょっと読むテンションが下がってしまったのだが、次の「七月の通り雨」を読んでテンションは一気に上がってしまった。
「風光る」に出ていた主人公が今度は脇役になり登場していたからだ。
これは面白い展開になっていきそうだと思っていたら予想以上の面白さ。
まず次に誰が主人公になっていくのかが楽しみなのと、脇役だったときには分からないその人の魅力が前面に押し出されていること、更に男女両方の視点から書かれているので読んでいてとてもテンポがいいのだ。
男性の前でしか見せない女性の感情や、女性から見た女性の感覚、男性から見た女性という色々な面から切り込んで書いてあるその幅の広さに著者の凄さを感じてしまいましたね。

島本理生氏の本は読んでいて背筋が伸びると言いますか、とてもキチンとしたイメージがある、そして恋愛小説なのに読んでいて恋愛をあまり感じないのも不思議だ。
個人的に恋愛小説は苦手なのに島本氏の本はついつい読んでしまうのは、彼女の作品がまず喪失から入っているからかもしれない。
また恋愛でありながら人の本質について書かれているのも読んでしまう理由である。
生きていく上での不器用さ、弱さ、生真面目さなどに惹かれ、ついつい感情移入してしまうのだ。そしてハッピーエンドではないのに何故か明るい未来がありそうな予感が満ちているラストが好きなのかもしれない。

後は昔の吉本ばななに出てきそうな素敵な男の子達が出てくるところが良い。
加納君や0.1tを超えるのに魅力を感じてしまう針谷君などいそうで現実にはいない彼らと出会えるのも彼女の作品ならではだ。

2時間程度で読了後気持ちの良い気分になりたい方にオススメ。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/06/26 15:29

『ナラタージュ』と比べるとずっとライトで楽しく読める。青春のほろずっぱさを感じたい方には最高の作品です。

投稿者:トラキチ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

『たとえ私が四十歳になっても六十歳になっても、海を見るたびに、初めて来たときに一緒だった長月君のことを思い出すんだなって。たとえ私たちがお互いを嫌いになって別れたとしても、その気持ちとは関係なく懐かしんだりできるんだね』(本文より)
本作は文芸雑誌「ウフ」に連載されてた6編と最後に「ダ・ヴィンチ」に掲載された短編1編が収録されている。
実質は連作短編集と言えそうである。
前作『ナラタージュ』で狂おしいまでの純愛を描ききった島本さんであるが、本作はライトな短編集に仕上がっている。
どちらかといえば青春小説として楽しむべき作品だと言えそうだ。
切なさと言うよりほろずっぱさを強く感じたのである。
「ウフ」に掲載された6編は大学生を中心とした男女が出てくるのであるが、全6編中3編が男性視点で描かれている。
大きく注目すべき点である。
「風光る」は女子大生である真琴が主人公。
長年付き合ってきた哲との別れの場面に遭遇。
続く「七月の通り雨」では真琴の高校時代からの友人である瑛子が主人公。
女の友情というテーマと言ってよさそうな内容である。
3編目から5編目までは男性の視点から描かれる。
今までの島本イメージとはちょっと違うが、巧く書けているのには驚いた。
「青い夜、緑のフェンス」では真琴たちのいきつけの店のバーテン鉢谷が主人公。大柄で少し引っ込み思案の彼と幼馴染の一紗との男女間の友情が描かれる。
「夏の終わる部屋」では鉢谷の友人の長月の恋愛模様が描かれる。コンパで知り合った操とのエピソードは本作の中では一番熱くさせられるシーンが待っている。
「屋根裏から海へ」では真琴のかつての恋人である加納が登場。家庭教師先での沙紀との交流を通して少しづつ変化して行き再び真琴と接近する。
6編目の「新しい旅の終わりに」は温泉旅行に出発する真琴と加納が描かれる。
最後の「夏めく日」は別物語である。
高校が舞台で、したたかな女子高生が描かれている。
遊び心満載の作品だといえそうだ。
--------------------------------------------------------------------------------
全体を流れる心地よさは島本理生特有のものであろう。
少し吉田修一の作品に通じるものがあるかな。
登場人物は総じて不器用であり、その不器用さが共感を呼ぶという点において・・・
登場人物は傷つき悩みながらも成長を遂げる。
島本作品に共通して言えることは読者にも成長や変化をもたらせてくれる点である。
たとえば既婚の読者が手に取れば、過去を懐かしんだり素直な気持ちを取り戻すことが出来る。
同年代の方が読まれたら・・・私がこの場を借りて書くまでもないであろう(笑)
島本作品には失恋の辛さを跳ね返すだけの大きな力が備わっている。
今を描ける作家として今後のさらなる成長を期待したいと思う。
2005年、ディープな『ナラタージュ』とライトな本作の上梓。
読者にとって島本さんの高き才能は大きな財産となった。
次はどんな世界に連れて行ってくれるのであろうか。
読者もひたむきな気持ちで接したいものである・・・
活字中毒日記

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