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容疑者Xの献身
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.3 980件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2005.8
  • 出版社: 文藝春秋
  • サイズ:20cm/352p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-16-323860-9
  • 国内送料無料

紙の本

容疑者Xの献身 (ガリレオ)

著者 東野 圭吾 (著)

【直木賞(134(2005下半期))】【本格ミステリ大賞(第6回)】天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけ...

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容疑者Xの献身 (ガリレオ)

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商品説明

【直木賞(134(2005下半期))】【本格ミステリ大賞(第6回)】天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。『オール讀物』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

東野 圭吾

略歴
〈東野圭吾〉1958年大阪生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業。「放課後」で江戸川乱歩賞、「秘密」で日本推理作家協会賞を受賞。著書に「幻夜」「さまよう刃」など。

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みんなのレビュー980件

みんなの評価4.3

評価内訳

ほぼ絶対に袖触れ合う可能性も無い其処の貴方へ

2008/01/16 16:43

11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まりんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る

貴方がこの書評に目を通してくれたのは,単なる偶然であることに間違いはないだろう。その偶然に感謝する。
万が一にも私がこれまでゆっくりと書き溜めてきた過去の書評に目を通し,私という人間に興味を持って頂いた上でこの文章を読んでおられるのであれば,更なる感謝と共に,騙された気分になってもらってでも構わないから,是非この本を手にとって欲しい。
 
この本は私がこれまで紹介した数々の本の中で最も「相手の趣味趣向を考えずに万人に紹介できる本」である,と私は思っている。だからこそ,私はこの本に関する文章を書きたくなったのだ。
 
どんなジャンルを書かせても上手い東野圭吾の理系推理小説系作品・湯川学シリーズの3作目である。月9「ガリレオ」の原作シリーズの最新作であると述べたほうが分かりやすいかもしれない。近々映画化するという話も聞いた。
「理系出身である自分の知識を駆使した作品を書きたかった」と著者が述べているとおり,如何にして感情を挟まず理屈でトリックを解決するか,という作品で,光の屈折だとか,電流がどうとか,そんなこといわれてもオイラ数学嫌いだからわかんねえよ,と言いたくなる単語が小説の中でいくつも使われているのに,このシリーズはそれを目にするのが全く苦にならない。逆に,こんなに面白い小説があるのかと感動を覚えたので,「探偵ガリレオ」「予知夢」そして「容疑者Xの献身」という発表された順番で読んできた。
 
結果,その順番で読んで正解だったと思っている。
前の2作品についてはどちらを先に読んでも構わないが,私としては絶対に湯川先生シリーズを読む3冊目にはこの作品が来るように計算して読んでいただきたい,と思う。その理由は,前2作は短編集であり,1つの物語の内容が所謂連続ドラマの1話分に相当する。「容疑者Xの献身」はその連続ドラマの映画化に相当する内容,とでも考えて欲しい。
 
前2作には殆ど犯人や探偵・助手役の心理的葛藤が描かれることはなかった。「何か犯人にとって都合の悪いことがおきた」→「よって被害者を殺した」→「探偵役が科学によって解決した」→「犯人ガッカリ」という流れでストーリーが進む。いやしかしそれはそれで日本が誇る何でも上手に書ける作家・東野圭吾,やはり読ませてくれるのである。寧ろ,本著を読むまでは湯川先生シリーズのこのシンプルな展開がとても気に入っていたため,「濃厚な心理描写!」「泣いた!!」とあちこちで聞く評判の前に,私は足踏みをしてしまっていた。
 
いよいよ「予知夢」を読み終わり,「容疑者Xの献身」に手を伸ばさなければならなくなった。この時点で私はあまり期待していなかった。「泣ける!」と紹介されて読んだ本の中に,私を泣かせたのは1割にも満たなかったという過去の経験から,その部分については期待していなかった。また,ベストセラーが必ずしも面白いわけではない,ということも知っている。
そして私は3時間少々で読了した。
ストーリーについて詳細に語りたいが,そうすると止まらないので,敢えてやめておく。ラスト30分間は泣けて泣けて涙が止まらなくて,始まりも偶然なら終わりも偶然という必然性に咽が震えて更に泣いた。「容疑者Xの献身」の前に泣いた本は同じく東野圭吾の「手紙」だったが(私は東野圭吾に泣かされてばかりいる),「手紙」が自身を重ねて号泣するのと違い,登場人物たちを想って泣いた。
 
まさにラストまでのテンションは圧巻だった。それこそ映画を観ているようだった。
大多数の推理小説がそうであるように,犯人は追い詰められ,探偵役によって事件の真相が80パーセント暴かれる。不遇な人生を歩んできた数学の天才である犯人は,犯した過ちによって身柄を確保されようとも,思考の中で自分は自由であるから決して不幸せではないと自分に言い聞かせる。自己に対する身柄の不自由さなんて,守るべき者たちが幸せになるのであれば何ら問題ではない―――――
 
それが「愛」であるのなら,他の登場人物の「愛」はどのように表現され,物語が終わるのか? ここまで読んで下さった貴方なら,きっと気になって仕方ないのではないだろうか。安心してこの本を手に取って欲しい。前述したように,この本は私が責任を持って貴方に薦めることができる,数少ない本である。そして貴方自身でこの物語の結末を確かめて欲しい。
何度も言うが,このシリーズはどれも面白い。保証する。しかし,前2作を読んでから,この本を読んでいただきたい。その方がこの本の素晴らしさを何倍も味わうことができる,と,私は声を大にして言いたい。

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2005年ナンバー1ミステリーは、ミステリー史に燦然と輝く名作であった。

2005/12/15 23:58

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:諏訪旭 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 毎年「このミステリーがすごい!」の年間ランキングを楽しみにしている。そして栄えある1位受賞作を年の瀬に読むのが習慣である。今年は本作「容疑者Xの献身」がぶっちぎりの1位であった。さらに本作は今や日本を代表するミステリー作家である東野圭吾の作品であり、当然読まないわけにはいかなった。
 ミステリーの醍醐味の一つは当然そのトリックであるだろう。はるか昔から星の数ほどのトリックが考案され披露されてきた。いまさら新しいトリックなどあるのか? 単純な推理小説が衰退していった原因の一つがトリックのねた切れにあったように思う。本作はもちろん単純な推理小説ではない。深く人間の心理を描いたヒューマンミステリーである。しかし、そこで使われたトリックは、およそすべての読者の度肝を抜くだろう。クライマックスで明らかにされた最大のトリック。そのすべてを知った瞬間、今までに感じたことのない衝撃を受けた。最後の瞬間に向かって巧みに読者を惹きつけて行くストーリーの巧妙さ。ページをめくる手は次々に加速し、その結末を知りたいという欲求が、睡眠という動物の本能をはるかに超越させる。長編小説でありながら、一息で読み終えてしまえるジェットコースターストーリーに魅了された。読者を裏切らない作家。東野圭吾の凄さはとても言葉で表せない。こんなトリックを思いつくとは、、「天才」という言葉しか当てはまらないのではないかと、満足感に包まれながらしばしの間我を忘れてしまった。
 事件は冒頭に起こる。起きてしまった事件を隠そうとする一人の天才数学者。事件を謎を解こうとする一人の天才物理学者。人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのとではどちらが難しいか。秀逸な心理戦の末に浮かび上がってきた一つの答え。物語全体をどんよりと暗い影が包んでいる。世相を反映するかのような先の見えない霧の中に見えた一筋の光は、まさに容疑者Xの前代未聞の”献身”であった。2005年ナンバー1ミステリーは、ミステリー史に燦然と輝く名作であった。

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不完全な数式の証明

2008/06/22 14:16

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

容疑者Xの献身 東野圭吾 文藝春秋

 第134回芥川賞受賞作です。午後1時から読み始めて、途中食事や買い物、昼寝を経ながら翌日午前3時までにいっきに読み終えました。読み始めは映画かテレビドラマの脚本のようです。ドラマ化を意識して書いてあるのかと思いました。私は、同じ作者で読んだことのある「秘密」のほうが好きです。「秘密」のラストシーンには感動しました。今回の「容疑者…」も最終的には「秘密」と同じようなラストを迎えます。ですから読んでいて、最終章が近づくと正確なトリックが予測できました。ただし、ラストにある主人公の高校数学教師の犯行前に経験した出来事が説得力をもっており、「秘密」をバージョンアップしたのが「容疑者…」なのかなあと感じています。数学を題材にした小説では「博士の愛した数式」小川洋子を読みました。こちらは完璧な数式でした。今回の「容疑者…」は不完全な数式をどう証明するかでした。

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愛のかたちは様々だけど、これがきっと究極の愛なんだろう。

2006/01/01 19:01

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みやこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

息をつく間もなく、一気に読んでしまいました。
ラストはちょっとせつない気持ちにさせられますね。
別れた夫につきまとわれ、恐怖さえ感じていた母子が、ちょっとしたもめごとをきっかけに、殺人に手を染めてしまいます。
自首しようと考える母親。
しかし、娘も殺人の手助けをしてしまっていました。
自分のことはともかく、娘は守りたい。
どうしたらいいのだろう・・・。
途方に暮れていると、隣人の高校教師がドアチャイムを鳴らします。
母親が勤めている弁当屋の常連であること以外は、隣人とはいえ、あいさつ程度の交流しかしてこなかった人物です。
彼は事情を察し、殺人の隠蔽の手助けを申し出るのでした。
「なぜ、私たちにそこまでしてくれるのだろう?」
疑問に思いながらも、娘を助けたいという気持ちも手伝って、彼女は高校教師の申し出を受け入れることにします。
一切を高校教師に任せた母子。
高校教師は、警察の捜査の手が母子にのびることも予測し、その際の対処法まで指導してくれます。
明らかに怪しいところのある母子に、警察が疑いの目を向けないわけはありません。
しかし、捜査が進むにつれて、母子のアリバイは完璧なものだということがわかってきます。
一体、高校教師はどのような手段をつかい、彼女たちを守ったのか?
そのトリックが明かされたとき、きっと誰もが衝撃を受け、そこまでして母子を守ろうとした彼の気持ちの強さに感動することだろうと思います。
母子にとって、高校教師はまたとない恩人です。
母親は、高校教師が自分に想いを寄せてくれていることも感づいています。だから、自分を助けてくれたのだろう、と。
しかし、彼は外見があまり芳しくなく、感謝の気持ちが恋に発展することはありませんでした。
気持ちにこたえられない母親は、この恩人の存在を少々鬱陶しく思い始めたりもするのです。
しかし、彼が自分のために何をしてくれたのかわかったとき、そのあまりの愛の深さに胸を打たれます。
ストーリーの鍵になっているものは、トリックだけではありません。
なぜ彼が彼女たちを守ろうとしたのか。
この、根本的なところの理由が最も重要といえるでしょう。
この小説で、新たな愛のかたちに遭遇することができました。
きっと、これが究極の愛のかたちなんだと思います。

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これを読まねば2005年のミステリは語れない。最後の一行まで読む手を休ませない吸引力のある一冊でした。

2005/11/16 09:47

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「探偵ガリレオ」シリーズですが他の作品を未読でも楽しめる一冊だったと思います。逆にそれまでの湯川のイメージとはちょっと違うような気もしますし・・・。
さて今回、読者には殺人を犯した犯人は靖子と娘の美里、それを隠蔽するために手伝ったのは隣人である石神と最初に知らされているわけですから、単なるミステリにしてしまう事はできません。
天才数学者の石神が愛する者を守るために何を行い、どこまで計算して行動しているのかがこの物語の全てなのです。
毎度思うのですが東野さんのミステリに出てくる人物は何故か見た目に合わない激しさを持っているのですよね。今回は石神もですが、今まで他の作品に出ていた湯川もこんなタイプだったかしら?と思うくらい人間味溢れていました。
私の中では少し有栖川有栖氏に出てくる火村英生と重なってしまったのですが・・・。
まずミステリの部分はおいておいたとして恐らく読んでいて感じることは靖子という女性が石神がそこまでして守るほどの人物ではないこと。そして逆に自分に好意を抱いていてくれるからといって石神ほどのことをされると女性としては鬱陶しさを感じてしまうこと。
この二点は誰もが思うことだと思います。
逆に魅力的ではない靖子を上手く描いているのが東野氏の作戦なのでしょうね。
作者の思い通り、私は工藤が現れた時点から靖子に対して「何て女だ、石神よ見切って裏切ってしまえ。」と何度思いました。
東野さんの本に登場する女性は冷徹だけども男を狂わすだけあるヒロインが多かったのに比べ、この靖子は平凡も平凡、何故に石神がそこまでする理由があるのか凄く謎でした。
この不自然な部分の謎が解けた瞬間、石神の心の奥底に読者は辿り着き切なさとやるせなさでいっぱいになってしまうのです。
そして「思い込みによる盲点」によりトリックは破られますが、今まで色々なミステリを読んでいますがこの方法は今まで読んだことがなかったです。
ありそうでなかったミステリなんですよね。
ラストの事実を知ってそれまでの会話がまるで違う面を見せてくれるのには驚きました。
やはりミステリを読む以上、驚かされることと、納得させられることが評価の基準なので両方を楽しめた「容疑者Ⅹの献身」はミステリの部分だけでも星五つなのですが、それ以上に最後の最後ので読者を惹きつけて離さない、その吸引力に本を読む面白さを満喫できた本でした。

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ミステリ小説は読書の同感覚性を持ち得るか?

2012/04/15 00:34

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る

第134回直木賞受賞作。

個人的には、ミステリで直木賞受賞はめずらしいなあ、という感想が一つ。
これって確かミステリかどうかで議論されてる作品だよなあ、という感想がもう一つ。

なんというか有名すぎて食わず嫌いしてたというのが正直なところであり、一方で、東野作品だから、面白くないことはないから、と楽しみを後に残していたことも事実。

読んでみるまで感動する話とは想像できなかった。

ガリレオこと湯川学の、事件の犯人であり旧友の石神への友情にも感動させられるが、ともかくというか、やっぱりというか、石神の靖子への稀有な清純で完璧とも言える愛情がすばらしい。

ある理由から、隣人である靖子母娘の犯罪の隠蔽を手伝うことを決めた石神は、大学時代の旧友であるガリレオ・湯川学に「天才」と言わしめたほどの頭脳を使い、論理的にその計画を遂行していく。
また、数少ない好敵手とも言える石神の犯罪に気づいた湯川は独自に推理を展開していく。

ミステリ小説の登場人物として、この石神のような人物に、私は初めて出会った。

彼の行動およびその行動原理である、靖子への愛は、彼自身の破滅を招くものであり、極端な言い方をすれば、婉曲的な自殺である。

一般的な小説の登場人物として、彼のような行動原理を持つ者は少なくはない。

だが、ミステリでは多くはないと思う。

その上、なによりこのミステリ小説に心魅かれたことは、彼の行動原理に基づいた彼の行動および犯罪に対して、読者が「すべては石神から靖子への愛情がなせる自己犠牲であり、明らかなフェイク」と「完全に」理解したうえで(虚偽の種明かしも含めて)、それでいてミステリ小説が成り立っていることである。

ミスリード無しに読者の読みをある一つの解決に(おそらく)「完全に」一致させることは、しかも論理的かつ(おそらく)感情的に誘導させることは、相当稀有なのではないだろうか。

なんというか、たぶんこの件を読んでいる人は絶対にこういう思いを抱くんだろう、こういう解に導かれるんだろう、と読んでいる当事者が感じられること。
皆が同じステージにいることをリアルタイムで感じられること。

読書の同感覚性というか、そういう感覚をミステリで描いた東野さんはすげえなあ、なんて勝手に思ってしまった。

思わず興奮しましたが、そういう文学性抜きにしても、この小説は感動できるのでおすすめ。

ラストの靖子の「申し訳ございません」にはうるっと来たなあ…。


聖者とも言うべき天才の犯罪にページを繰る手が止まりませんでした。

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完璧のアリバイの結末---東野圭吾著「容疑者Xの献身」書評

2006/03/05 22:31

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hiro-tom - この投稿者のレビュー一覧を見る

いってみれば、なんの計画もなく起こってしまった殺人に
対して、一見無関係で天才的頭脳持つ男が、「後付」で
完璧なアリバイを構築し、さらに最終的な安全弁を驚く
べき形で用意する、これに対して同じく天才的学者が
その謎解きにまきこまれ、対決することになる、
という話である。
著者のねらいの何%かは、崇高というような表現も許される
ような、前述の「安全弁」の仕掛けを、なぜ考えることが
できたのかというところにもあるかもしれないが、個人的
には、本書の魅力は、緻密なアリバイ工作と天才対天才の
謎解き対決に凝縮されていると思う。主題らしきものより、
この「完璧なアリバイ」の完成度が突出していると思う。
ようやく直木賞をとった著者であるが、私は以前から、描写され
る「緻密さ」のファンであった。本作はその中でもベストの
「緻密さ」を持つと言い切れる。
「古畑任三郎」シリーズとはまたひとつ違った味わいの完璧な
アリバイ、対決ストーリーの流れに酔ってみたい人は、
是非お読みください。
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魅力タップリでも最高傑作というのとは違う訳

2012/01/02 17:16

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 言わずと知れた東野圭吾の直木賞受賞作。しかし直木賞をとろうがとるまいが、この作家が押しも押されぬミステリー界の人気作家であることは誰もが知っている。そこで気になるのは、この作品が直木賞にふさわしいのかどうかという点だ。映画化もされたし、たしかに見事な作品ではあるにしても、必ずしもこの作家の代表作とか最高傑作と呼ぶようなものではないのではないか。
 面白さは相当なもので、あらためてこの作家の才能を感じる。頭がいい。
 気の毒な立場にある女性が犯してしまう偶発的な殺人。その女性に惚れた「天才」(石神)が彼女を守るために企てる完全犯罪。そしてその犯罪と奇しくも向き合い、対決することになったのは、かつてその「天才」を知る別の天才(湯川)だった、という設定がまず魅力的だ。
 いわゆる倒叙もので犯人ははっきりしており、石神が仕組んだ完全犯罪を湯川がどう解くか、というのが主な興味だが、その対決への興味というだけでなく、トリックの見事さが用意されていてあっと驚く。
 しかしそのトリック自体はどこかで似たようなものを知っている気もしなくはない。真に驚くべきは、トリックの内容ではなく、むしろそのトリックが人間石神をめぐる悲劇性とそのまま直結することではないかと思う。そうして人の心の問題に深く入り込めるのもこの作家の特質のひとつである。エンディングも、それを見事なドラマ性のうちに示して優れたものだ。
 というわけで見事な作品には違いないのだが、文句なしの傑作とは言い切れない思いがある。何となく全体に筆致が軽い。おそらくそれは、作者があまりにも自由にアイデアを駆使できているがゆえに、かえって扱う素材の悲劇性が薄れている、ということではないかと思う。まず天才的名探偵対その好敵手、という構図、それがまた敵であると同時に友人でもあり、そのジレンマに悩むという構図。元夫につきまとわれる女が殺人、というクリーシェ。石神の、数学は天才だが見た目はぱっとしない、他のことには興味がない、などの人物造型のステレオタイプ。その癖一目惚れでその女に人生を捧げるという飛躍。というわけで見ようによっては図式的ゲーム的な、つまるところとことんエンターテインメントなのだ。だから前に読んだ『秘密』などに比べても、石神の心の深い絶望と、それと裏腹の犠牲、という痛切な問題設定があるにも関わらず、心理の掘り下げが物足りないもどかしさがある。
 その後の作品を見ても、東野圭吾の想像力はいよいよ奔放に展開しているようにみえる。だがもしその自在な筆ゆえにリアルなものから離れてしまう恐れがあるとするなら、それは一方では人間の魂に食い込もうとするこの作家にとって、なかなか厄介な問題なのかもしれない。

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映画きっかけで、読みました。

2014/10/13 01:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:shingo - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画きっかけで、読みました。
映画を見たうえで、その小説を読むのは初でしたが、展開を知っていても読めます。ラストの衝撃はさすがで、間違いなく大作だと思いました。

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「博士の愛した数式」+「電車男」

2005/09/01 22:14

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る

アパートの隣に住むシングルマザーに惚れてしまった数学教師の石神。
彼女の犯した罪を隠蔽しようと、天才的な論理的思考を彼は駆使する。
恐ろしく冷静で頭のいい石神が作り出した筋書きを暴くのは、彼の大学時代の友人でもあり好敵手でもある、大学助教授の湯川。
この2人の頭脳合戦が本書の読みどころだが、このレベルの高さはさすが東野圭吾と唸りたくなるほど。
「思い込みによる盲点をつく」
このセリフどおりの展開を見せる本書はミステリーとして実に読ませるが、ラストの10ページ強で、ただのミステリーではないことが分かる。
このラストに東野圭吾特有のケレン味を感じる読者も多いだろうが、すんなり読んで素直にジ〜ンとする読者のほうが幸せだと思う。

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無償の愛に心打たれる

2007/10/16 00:44

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る

東野さんお得意の、哀しい愛の物語。
でもそれだけではなく、ヒューマンドラマだったりしっかりとした推理小説だったり。飽きさせません。
ガリレオシリーズは初でしたが、違和感なく読めました。なるほど湯川さんは面白い。
今回は数学者と物理学者のバトルだけど、決して専門的すぎず取っ付き易い。不思議です。
最後は泣くしかないですね…

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「天才 対 天才」の対決に挑む凡才の私

2009/05/23 11:13

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る

 当代きっての売れっ子作家の作品。中でも本書は、第6回本格ミステリ大賞/第134回直木賞/2006年度版「このミステリーがすごい!」の第1位など評判が高い

 そしてこれは、確かに面白かった。物語は、隣家で起きた殺人事件に、高校教師の石神が絡むところから始まる。彼は、天才的な数学者で、並はずれたその頭脳を使って事件の偽装を図る。そして、テレビや映画で福山雅治が演じた天才物理学者の湯川が、その事件の真相に迫る。「天才 対 天才」の対決、というわけだ。
 殺人事件の真相は最初から明らかになっているので、「犯人探し」のミステリーではない。石神が行った偽装工作という謎を湯川が解き明かしていく、「謎解き」のミステリーだ。もちろん、読者も(私も?)その謎解きに挑むことになる。

 そのために途中で、何度も何度もページを戻って読み返した。ちょっと気になる展開があると、「この話は前のあの部分と関係が...」なんて具合だったので、なかなか読み進まない。もっと純粋に物語を楽しむ読み方もあるだろうに、私は凡人の分際で天才に挑んでいたわけで、思い返せば恥ずかしい。
 こうした分をわきまえない読み方のおかげで、途中で偽装工作のあらましには考えが及んだ、と思った。しかし、その考えは的外れではないものの、著者はさらに二重三重のトリックを用意していて、結果的には私の完敗(勝手に挑んでいただけだけど)。一本負けで負けて爽快、と言う感じだった。実はこれが私の最初の東野圭吾体験だったが、それは実りあるものになった。

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「愛」が生み出し、「友情」が解き明かした完璧なトリック!

2006/06/12 20:43

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけくん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 旧友である二人の天才が、容疑側(問題を作る側:石神)/捜査側(問題を解く側:湯川)とに分かれて真っ向から勝負する、とってもスリリングな物語!
 お互いに認め合った二人がある事件をきっかけに再開を果たす。
 緻密で繊細、そして思慮深い数学者、石神。冷静・沈着、下手に出ながら実は非常に計算高い物理学者、湯川。二人の言動には、刑事の草薙ならずとも気になってしまう。「あっ!」と驚く結末には、ただひたすら著者(石神?!)の思考力に感心するばかり・・・。
 読者には犯人の情報を与えながら、如何にして結末と結び付けるか、という言わば、古畑任三郎チックな展開もとっても心地良かったです!
 とても面白く、続きが気になるストーリー展開であり、今回初めて東野圭吾さんにお目に掛かった訳ですが、その他の著書も読みたくなりました。お奨めです!!

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他人様をたぶらかすことに無上の喜びを感じるペテン師「私」はたぶらかされることにも快感を覚えるタチなものだから、小説は謎解き型のミステリーを好んで読む。なかなか快感傑作はないのだが、これは完璧であったよ

2005/11/27 23:51

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ペテン師の仲間内でよく言われる問題設定がある。詐欺の仕掛けを作りだす創造と詐欺の仕掛けを見破る分析ではどちらが簡単か。あるいはその難しさの度合いはどの程度かとされる問題なのだが、殺人事件の隠蔽工作をテーマにしたこの作品を読んでまんまと引っかかり、心底ヤラレタと思った「私」は後者の方を難しいとするのが正解であろう。実にくやしいのは読み手がかなり周到に読み込めば「なんだか変だぞ」とわかるヒントがあらかじめありながらだ、この「あらかじめありながら」によってまことの本格派といえるのだが、ついうかうかと見過ごしたことだ。被虐の楽しみは充分に味わったことになる。
さて、ミステリーは小説として楽しめばよいのだがペテン師という職業人の習性だろう、嫌なことだが一般の読者にはない読み方がある。「犯行の実行可能性」「完全犯罪の方法論」という実践のための教材として使うのだ。ところがこれだけミステリーのベストセラーが増えているにもかかわらず、実際に「私」がこれから実行しようとしている犯行の研究書として役に立つものは少ないのが実態だ。
たとえば
叙述にトリックのある作品や超能力犯行は論外だが、
横溝正史風で特定地域の因習を前提に犯罪がなりたつもの
寒村、孤島、古城などの仮想の閉鎖空間を犯罪の舞台としたもの
偶然や登場人物の直感で肝心なストーリーが変化するもの
時刻表アリバイのようにおなじみになりすぎてその手口が警察にも知られているもの
とんでもないコストがかかる道具立てを必要とするものは「私」には手がでない。
先端科学技術など「私」には利用不可能だろう。
毒薬などもよく小説では使われるが先日の静岡県でおこった16歳少女の母親毒殺未遂のように入手経路は解明されてしまうものだ。暴力団とつきあいを避けている「私」は凶器にピストルやマシンガン、爆薬などを使うことはできない。
変装とか声色、腹話術など怪人二十面相やアルセーヌ・ルパン風もだめだ。
「私」がこの作品をめったにお目にかかれない傑作だと思ったのは実はここにある。
このトリックの恐るべきところは実際に使えるからだ。
そして完全犯罪を可能にする方法だからだ。
だから「私」は興奮したのだ。
そこで「私」は細部を検証しようとはじめから丹念に読み返すことにした。
装丁帯にはこうあった。
「運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪」
「これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、この世に存在することすら知らなかった。」
「男がどこまで深く女を愛せるものか。どれほど大きな犠牲を払えるものか………。」
アレレ!!!!
これって恋愛小説なの?
そうだとしたらいかにもインチキくさい純愛物語だなぁ。
今しがたの興奮はあっという間に冷めてしまった。
ダメだ、コリャ。
結局、この組み立ては、オンナには興味を失った「私」のこれからの犯行にはまるで役に立たない仮想現実だったのだ。

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よくできたエンタメ小説

2006/04/15 17:06

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あたる - この投稿者のレビュー一覧を見る

現実には絶対にあり得ないことは、他の評者が書いたとおり。
しかし、テレビドラマでも見る感覚で読めば、それなりに楽しめるエンターテインメント小説だ。
トリックも、最後に「どき!」とするようにできているし、物語の中でくらい「至高の愛」があってもいいのではないか?
なまじ、直木賞を取ってしまったものだから、評価が辛くなるのは致し方がない。

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