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商品説明
【産経児童出版文化賞フジテレビ賞(第53回)】アフリカの西部に位置するシエラレオネ。ダイヤモンドの産地として知られるが、その利益は戦争の費用となり、武器にかえられ、そして、その銃を、子どもも握ったのだ…。「やぶの殺し屋」と呼ばれていた元・子ども兵士を取材。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
後藤 健二
- 略歴
- 〈後藤健二〉1967年宮城県生まれ。ジャーナリスト。インデペンデント・プレス設立。子どもたちにカメラを向け、NHK「ETV特集」等で伝えている。著書に「ようこそボクらの学校へ」がある。
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書店員レビュー
戦争の本当の姿を考える
ジュンク堂書店那覇店さん
アフリカのシエラレオネでの内戦で、親を殺されて子ども兵として戦闘や残虐行為をさせられた少年たちのお話です。
殺し殺される不安から解放され、一生懸命に学び、生き直す彼らですが、失われた命は戻っては来ないし、戦争が残した心身の傷も癒えることはありません。
人が人でなくなってしまう戦争の本当の姿を考える、夏休みの平和学習などに必読の書です。
社会科学書担当 成田すず
紙の本
あえて問いたいのです。「この本を読んでどう感じましたか」と。
2008/11/21 16:49
24人中、24人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは児童書だが、大人にこそ読んで欲しい。
シエラレオネ共和国。
世界で一番寿命が短い国と話題になった事もあるが、覚えておられるだろうか。
平均寿命は男性約32.4歳。女性約35.7歳
(本書より。なおこのデータは2002年の物)。
日本の平均寿命の半分以下。
この平均寿命の短さは、「内戦」という「人災」が原因だ。
この国の不幸は、世界でも屈指の優良なダイヤモンドの産地だった事。
それが10年を超える内戦という悲劇を引き起こしたのだ。
ダイヤモンドの産地は反政府ゲリラに襲撃され、その支配下に置かれた。ダイヤモンドの売買による外貨が、その活動資金となった。
反政府ゲリラは罪もない人々の身体を傷つけていく。ある者は両腕を切られ、ある者は耳をそがれ、ある者は足を切断され。彼らは幼い子供にすら容赦せず、その腕を切り落とした。
こう書けば、いかに反政府ゲリラが非道かと思えるだろう。
でも。
この反政府ゲリラの兵士の殆どが、10歳から16歳の子どもだったとしたら……。
10代を通り過ぎた人ならば、自分が10代だった頃を思い出してほしい。
10代の人ならば、今の自分が、と想像してみてほしい。
自分が武器を手にさせられ、己の手を人の血で汚すよう命じられ、さらに逆らえば殺されると判っていたら。
……自分は、どうするだろうかと。
そう、その子ども達もまた被害者だった。
ある者は目の前で両親を虐殺され、ある者は誘拐され、ゲリラに組み込まれた。
「子どもは油断をさそえる」……それが理由で、大人が彼らを「殺人マシーン」とした。厳しい訓練をし、戦いの前には子どもの身体に麻薬を埋め込んで。
麻薬の影響で興奮状態になった子ども達は、人を傷つけるのも殺すのも平気になったという。
著者は、元反政府ゲリラの少年兵だったムリアと向き合い、その心の内も聞いている。
彼はゲリラを脱走し保護された過去をもつ。
ムリアの言葉の一つ一つが、彼の心に負った傷の大きさを感じさせる。
やっと戦いから解放された筈なのに。今度は心の傷と闘いながら、それでも前向きに生きようとする姿には胸を打たれた。その瞳は本来の年齢よりずっと大人びてみえ、だからこそ何か物悲しかった。
シエラレオネの内戦が終わったのが2002年。
元少年兵だった子どもたちは、内戦が終わった後、居場所がない事も多いという。家族にすら受け入れられない事もあると。少年兵は間違いなく被害者。
だが。
……加害者でもある、決して消えない事実。
少年兵に傷つけられた、ある被害者の言葉を引用したい。
「…(略)彼らはまだ幼い子どもだし、何も知らずに兵士として使われたんだろう。自分はその子たちを責めはしない。…(中略)おれたちはこの国に平和が欲しいんだ。何よりも平和なんだ」
そして。
「彼らを許さなきゃいけない。けれど絶対に忘れることもできない」
自分は普段、他人に本を薦めても、感想は尋ねないようしている。
本の好みは千差万別あって当然だし、ある一冊に対する感じ方や考え方は、人間の性格と同じで十人十色でいいとも思う。どれほど好みが似ていても、読者のおかれた立場や環境、さらには育った過程によっても、感じ方や受け取り方は違ってくるだろう、と。
だが。この本に関しては、敢えて違う態度をとりたい。
一人の大人として。……何より一人の人間として。
「この本を読んで何を感じましたか。あなたはどう思いましたか」
最後に。
自分はこの本を読んだ後、ずっとシエラレオネに目を向けてきた。
2007年、前大統領の任期満了に伴い、始めて民主的に政権が交代した。平均寿命も僅かだが伸びている。
復興への道を歩きだした彼の国が、これから先、厳しい風が吹き荒れるだろう時代の中、ムリアたちの願う平和な国になることを願ってやまない。
同時に思う。少年兵の問題は、ここだけのものではない。今この時も、戦いの中、武器を手にしている子ども達がいる。
自分は決してそれを忘れたくない、と。
紙の本
ただ、平和がほしい
2015/08/16 18:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yasushige - この投稿者のレビュー一覧を見る
後藤健二さんがジャーナリストとして伝えたかったことはなにか。
この本を読んで感じたことは、いかなる戦争も結局は悲惨な結果をもたらすということ。
今の日本は戦争を経験したことがない人が大半を占めており、”戦争”と聞いてもイメージが湧かないと思うが、この本を読めば戦争が何を生み出すかがわかる。
憎しみ、悲しみ、喪失感、何もいいことはない。
この感情が新たな戦争に導く悪循環に陥ることもある。
後藤健二さんは最後に語っています。
”たとえ、建物や街の風景はもとに戻っても、人の心に刻まれた憎しみや悲しみは消えません。”
戦争とは何かを考えさせる一冊です。
子ども向けの本ですが、大人も必読の内容だと思います。