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水木しげる | 水木しげる 述 | 2-39 |
---|---|---|
やなせたかし | やなせたかし 述 | 40-76 |
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紙の本
現役で活躍する二人の漫画家の言葉に勇気づけられる
2006/01/27 00:30
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『読売新聞』に掲載された、漫画家水木しげる・やなせたかしの両氏へのインタビューをまとめたもの。
二人とも80歳を越えるお年だが、今もバイタリティーにあふれている。二人の話の内容を読んでいて、力みすぎないことと、なおかつ信念を持つことが、長く現役で活躍するコツなのかなあと思う。
例えば水木氏は、「ほかの人はその場の規則に従うわけだけど、私は、いろいろ問題が起きても、好きなことしかやらないという『水木さんのルール』を変えられないんです」(p.17)という。
しかし、それが徹底している。太平洋戦争中に軍隊にいた時も、「いかに死ぬかという話ばかりしていたのは日本軍くらいでしょうね。私はあくまでも生きるつもりでした。そのためにはできる限り食べて寝る。軍律どころじゃない」(p.21)ということで、ラバウルでも現地の人に同胞として扱われて食べ物をもらったりして、ちゃんと生きて帰ってきた。
そんな水木氏からのメッセージは「少年よ、がんばるなかれ」(p.35)だったり、「一人一人が幸福のためのルールを持つべきです。人間は幸せになるために生まれたんですから」(p.39)だったりする。こうした言葉、水木氏が言うと説得力があるなあ。
やなせ氏も、色々な経験をしてきていることが分かる。もともと画家を志し、旧制高校を出て企業の宣伝部に勤め始めた頃に徴兵され、戦後は雑誌の編集者、三越の宣伝部員を経て漫画家として独立するも、漫画界の状況の変化により仕事が減り、ラジオの構成作家などをすることになる。
でもその頃に、作詞を担当した「てのひらを太陽に」がヒットしたり、脚本を書いたラジオドラマ「やさしいライオン」が好評になったり、そして50歳を過ぎてから描き始めた「アンパンマン」が広く知られるようになったりする。
やなせ氏の話を聞いていると、人生あんまりあせっちゃいけないと思う。
そのやなせ氏の言葉で印象に残るのが、次のような部分。イラストレーターの仕事について「この仕事をするには、本人がいい人じゃなければだめです。天才の中には、ときとして社会に非常に害を及ぼす人もいる。(中略)でも。それは実際に出版をする上では、やっぱりあまりよくないんです」(p.69)という。「天才として後世に残るよりも、まず社会人として誰にでも好かれるほうが先だと思う」(p.69)とも。
企業で働いた経験のある人ならではの言葉だと思う。
薄いパンフレットですが、読みどころは多い本です。