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ビーチコーミング学

  • 出版社:東京書籍
  • サイズ:24cm/175p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-487-80061-7

ビーチコーミング学

池田 等 (著)

  • 全体の評価 31件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,89054pt
  • 発行年月:2005.8
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明- 「ビーチコーミング学」

タカラガイ、メッセージボトル、流木、おもちゃ、陶片、ヤシの実、ビーチグラス、化石、瑪瑙、古銭、へんなもの…。今日は何が拾えました? 湘南や三浦半島をモデルに、浜辺に親しむビーチコーミングの魅力を紹介。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「ビーチコーミング学」

池田 等

略歴
〈池田等〉1951年神奈川県生まれ。現在、葉山しおさい博物館館長。研究分野は海洋生物学。共著に「浜辺のコレクション」など。

関連キーワード- 「ビーチコーミング学」

ユーザーレビュー- 「ビーチコーミング学」

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/08/09 20:05

―オロジーにしないところが良い。海岸で漂流物を見つけたら、流れ着いた経緯に思いを馳せてみようか。―

投稿者:レム(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

  海辺には、ご承知の通り実に様々なものが打ち上がる。 その種類は、貝殻や魚や海藻、時にはクジラなどの海中生物やその遺骸といったものから、いわゆる「ごみ」のようなありとあらゆる人工物まで多様であり、サイズも、目に見えるかどうかの微細なものもあれば、果ては台風で座礁したタンカーといった大型のものまである。 少し乱暴な表現だが、海岸線には人間の生活や海洋生物相、気象現象、海洋物理学(海洋力学)、果ては経済活動などがいっぺんに記述されていると言えよう。
  
  本書のタイトルには「学」という言葉があるが、重苦しい「オロジー」ではなく、砂浜に打ち上げられた漂流物に対する愛情を感じる一冊に仕上がっている。 この手の本は、あれもこれもと珍しい海岸の打ち上げ物の写真を並べて、気象条件と拾い方などを書き並べるものと予想したのだが、本書はやや趣が異なっている。 例えば、海岸で普通に目にするごく普通の打ち上げ物の写真が多数掲載されている。 それは貝殻のような自然物であったり、擦り切れた人形やガラスの破片であったりと特別のものではないのだが、これらの写真からは打ち上げ物に対する優しいまなざしを感じるのだ。 そのまなざしは、著者の「海辺で拾える貝ハンドブック」や「タカラガイブック」にもよく表れている(ちなみに、海岸に打ち上げられる漂流物についてより詳しい内容を知りたい方には、中西弘樹の「海流の贈り物」もお薦めだ)。
  何気なく掲載された写真や文章は、海のメッセージを読むことをさりげなく伝える。 そこからは不思議と押しつけがましさを与えないところも面白い。 これは、読者がこの写真を見て、波にもまれているうちに欠けた部分を心理的に補完しようとするからなのか、あるいは流れ着くまでの時間的経緯を暗黙裡に受け入れようとするからなのかはわからないが、何か心に訴えかけるものがあることは確かだ。
  
  ポーランドのSF作家、スタニスワフ・レム(Stanislaw Lem、1921-2006)は、数々のSF作品の中で人類の既成概念を遥かに超えた、いや、むしろ全く異なる概念世界を展開することにその真骨頂を発揮した。 彼の作品のひとつに、「ソラリス」という有名な小説がある。  この惑星ソラリスには海があり、驚くべきことにその海が意思を持っているという設定だ。 その海辺に、ある種類の機械部品が繰り返し一見無秩序に打ち上げられる描写があるが、実はこの海が(あるいは星が)宇宙ステーションの乗組員の潜在意識を読んで、それを実体化して打ち上げていたのだった。 ついには主人公の亡き妻まで登場する。 ソラリスは、実体化させた「物」を通して人間と一種の意思疎通を行おうとしていたのだろうか。 小説は、これを惑星の言語として分析するものの解明までにはほど遠いということが背景として描かれている。 通常の科学的思考では理論的に説明ができない様々な現象と、それに翻弄される人間たちと通して、理性とは何かが問われていた。
  
  何もソラリスと我らが地球の海の相同性を無理やり述べるつもりはない。 ただ、地球の海に意思はないとは言い切れない、などと思うのはおかしいだろうか。 海岸をよく歩く自分としては、ふと、実は人類はまだ地球の海に対する概念が追い付いていないのかもしれない、などという考えが頭をよぎることがあるのだ。  
  砂浜に打ち上げられたものを見つけたら、じっと見つめて、そこへ流れつくまでの日々に思いを馳せてみたい。

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