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天使のナイフ

  • 出版社:講談社
  • サイズ:20cm/350p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-06-213055-6

天使のナイフ

薬丸 岳 (著)

  • 全体の評価 46件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,68048pt
  • 発行年月:2005.8
  • 発送可能日:7~21日

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商品説明- 「天使のナイフ」

【江戸川乱歩賞(第51回)】殺してやりたかった。でも殺したのは俺じゃない。妻を惨殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか。「裁かれなかった真実」と必死に向き合う男を描く。

著者紹介- 「天使のナイフ」

薬丸 岳

略歴
〈薬丸岳〉1969年生まれ。駒沢大学高等学校卒業。「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞受賞。

ユーザーレビュー- 「天使のナイフ」

全体の評価
4.0
評価内訳 全て(6件)
★★★★★(2件)
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9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/08/10 23:51

このミステリーはすごい

投稿者:ナカムラマサル(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公の桧山はコーヒーショップのオーナー。
娘が生まれ、幸せの絶頂にいる時に、妻が殺された。
しかも犯人は、13歳の3人の少年達。
少年法に守られている彼らの審判結果をマスコミから聞かされ、テレビカメラに向かってこう口走ってしまう。
「国家が罰を与えないなら、自分の手で犯人を殺してやりたい」と。
現行の少年法に対する著者の姿勢が終始一貫しており、読んでいて法制度への憤りと被害者家族の胸の痛みを、痛烈に感じた。
初めは、義憤を感じさせるだけの物語なのかと思っていたが、犯人の少年のうちの1人が殺されるあたりから次から次へと謎が噴き出してきて、謎解きミステリーとしても実に読ませる。
特に、桧山が自分の足を使って事件の真相に迫るところなど、松本清張の筆致を彷彿させる。
ミステリーとしてもしっかり読ませる上に、真の更生とは何かというテーマに明確な答えを提示している点が賞賛に値する。
すごい新人作家の登場だ。

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6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/09/22 20:33

さすが乱歩賞

投稿者:紫月(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

本年度の乱歩賞受賞作ということで、わくわくしながら読み始めた本書。
四年前、少年たちによって妻を殺害された主人公が、今度は加害者の少年を殺した犯人として疑いをかけられる、という出だしです。
期待していたわりには舞台設定その他がとても地味な印象で、今年はずいぶんと控えめな作品だと思ってしまいました。
少年法を扱ったミステリというのは旬の素材ではあるけれど、格別目新しいものでもないわけですし。
しかし、派手派手しい脚色やシチュエーションに頼ることなく丁寧に積み上げられていく物語は、序盤を過ぎるとどんどんと厚みを増し、広がりを見せ、細かに張り巡らされた伏線が見事に結集されていきます。
読み終えたあとには重みのある、素晴らしいミステリを読み終えた充実感が。
さすが乱歩賞、と思わず唸ってしまいました。
罪を犯した犯罪者が『少年』であると判明した瞬間、罪は罪でなくなるとされる少年法。
こうした被害者や遺族の立場を軽視した少年法に関しては、ここ何年かに渡って様々に論議されています。
そうした法に対し、著者は被害者、加害者双方の立場から、罪と贖罪についてただ機械的に論じることなく、遺族である主人公の苦悩を通して丁寧に突き詰めていきます。
後半、二転、三転する複雑な物語を通して、簡単に少年法の不備を突くのではなく、罪と贖罪、そして更生という、少年犯罪における三点の意味を問う、意欲作です。

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/09/05 18:27

少年法、更正の問題を、エンタメ小説に仕上げる

投稿者:読み人(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公の桧山は、三人の少年によって、妻を殺害された、
犯罪被害者です。
 やり場の無い悲しみと怒りを持ち
深い喪失感にとらわれながら、その後の生活を暮らしています。
 その後、少年法に守られて、殆ど刑罰に処されることのなかった、三人の加害者たちが、殺されたり、事件に巻き込まれたりしていきます。
 事件の真相をいやおうなく探ることになった、桧山ですが,,,。


 この本は新人賞の受賞作ながら、大ヒット本でして、
図書館でずーっと"貸し出し中"でした。
 どんなもんなのかな、と読んでみました。
 
 前半は、犯罪被害者の心うちを、丹念に描いてあり、
割と、暗めの展開ですが、中盤以降は、読者も驚愕する連続する事実の発覚に二転三転する展開のノン・ストップものとなっています。
  
 こういう社会問題をテーマにしたというか、中心にそえた、
エンタメ本って、テーマにエンタメの要素が勝てず説教くさくなるか、
エンタメにしては、いけないだろうと、いう著者の隠れた心内が出て、
エンタメにしては少し押さえた風合いの作品になったりするのですが、
本書は、テーマにも負けず、エンタメ要素も十二分に感じられ
 新人賞にしては、充分、完成度も高いと思います。
ヒットするの納得です。
 しかし、事実上の処女作
(実は、マンガの原作で入賞経験があり、厳密には、処女作ではない)
でこれだけ、ヒットすると
続篇が書きにくかったみたいで、二作目の上梓がちょっと遅れたような、、。
 まぁ、いいのですが。
 後半のノン・ストップ且つ怒涛の展開も、著者の持ち味だと思うので、
そういうエンタメに完全に割り振った作品も読みたいなぁと
勝手に思っている次第です。 

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1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/08/18 11:28

重いテーマとがっぷり四つ

投稿者:ががんぼ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 少年犯罪とそれを現行法では罰しないという少年法を扱った、ごくまっとうな社会派ミステリーである。この題材がまず作家の社会的な問題意識の強さを示すものだろう。
 この頃のミステリーのひとつの形として、少し前なら、もっと見るからにシリアスな形で、いわゆる純文学という衣装をまとっていろいろ問題提起したようなテーマについて、世間的にはより娯楽性の強いとされるミステリーの枠の中でそれをやっているような一派があるような気がする。もちろん前からも松本清張とかいるわけだが、その度合いが強くなってはいないだろうか。むろん同じ作家の中でも、シリアスな関心と同時に、謎解きとかトリックといった娯楽性への嗜好も共存するのかもしれない。純文学とか娯楽とか、昔ほど意識しなくなった、ということもあるだろうと思う。とにかく、いわゆるミステリーなのに、これはまたえらい重いテーマだなあ、と思わされることが少なくないのだ。
 私にとっては初めてのこの作家もそんな一人で、その芯の強さ、倫理観の強さは、たとえば真保祐一を連想させるものであり、また扱いにくい問題に真っ向から取り組む様は、久坂部羊のようでもあった。
 経歴としてはデビュー作に近いものらしいから、小説の技量としては、多少若書きとでもいうのか、もうちょっと磨いてもいいのではと思われるところがないではない。題にしても個人的にはどうなんだろうというのはある。が、プロットの組み立てなどはしっかりしたもので、緊迫感やサスペンスも十分。この年の江戸川乱歩賞をダントツで獲得したというのも頷ける。
 最後はしかし欲張りすぎなのか、伏線が多すぎというか、いろいろつながり過ぎという気もした。何重にも重ね合わされた少年犯罪のテーマがいささか辛い。だが、技術的にはともかく、それは作家の思いの強さを表すことかも知れず、となるとメリットといえるものかもしれないのだ。全体として、十分満足して楽しめる作品だったのは間違いない。

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7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2005/09/01 16:00

刑事罰の対象にならない少年たちに妻を惨殺された桧山貴志。「殺してやりたい」と思わず無念の叫びをあげる。殺人者に対する怨みを晴らすすべがない、少年法の保護主義に対するやりばのない怒りが読者の共感を誘う

投稿者:よっちゃん(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

東野圭吾『手紙』は加害者側の苦悩を通じて日本的現代版の「罪と罰」を問いつめた。この作品は類似のテーマを被害者の立場から見詰める。刑事罰を受けない彼らの「贖罪」とはなんなのだろうか。法理論からはその目的である「健全育成を期す」つまり更生の実現こそが「贖罪」にあたるものと思われる。しかし、桧山は更生したはずの少年が実は陰で舌をペロリとだし、凶悪の素質に変わりがないことを知って、法の不毛を痛感する。
著者は桧山の心情を通して少年法の保護主義を批判し、厳罰主義を主張しているのだろうか。
そうではない。
桧山はやがて罪を犯した少年たちに一生懸命になって教育を施す人々を見る。さらに法の精神が活かされ、それからの人生をけなげに生きようとしている者たちが身近にいたことを見いだすのである。そして著者は凶悪非行少年が背負うべき「贖罪」とはなにかをつきつめる。
法理論とおなじく更生の実現が「贖罪」にあたることにかわりはない。
ただし
「被害者の存在を無視して『真の更生』などありえない」
元法務教官のジャーナリスト・貫井の言葉は重い。
ラスト近く
「被害者が本当に許してくれるまで償い続けるのが本当の更生なんだ」
と加害者側弁護士を糾弾する桧山の声は悲痛だ。
被害者側と加害者側の接触を断絶し情報を閉ざす制度上の壁、少年院で欠けている贖罪教育、それをきちんと被害者側に伝えるシステムの欠落、興味本位でかきたてるマスコミの姿勢などが「贖罪」を困難にしているのだと著者は指摘している。
厳罰主義か保護主義か。少年法は学者、法曹界、政治家たちの議論が改正後のいまでも絶えないところである。ただ、大切なところは理詰めの論議ではなかなかあきらかにならないものだ。本著は真摯な社会的視点で描かれ、フィクションであるからこその迫力と情感で少年法問題の根底にある一つの核心を提示した好著だと思う。
なお言いそびれたがこの作品はミステリーである。
憎んでも憎みきれないこの少年が桧山にアリバイがない状況で殺害される。
「殺してやりたかった。でも殺したのは俺じゃない。妻を惨殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか」
二転三転のどんでん返しが効いている。これは真犯人探しの本格ミステリーでもある。謎解きとしての味付けが濃いだけ殺害された妻の個性にもう少しつっこんだ肉付けがあってもよかったと思われ、東野圭吾『秘密』と比較すると「感動作!」とまでは言えないのだが、最近は期待できなくなっていた江戸川乱歩賞にひさびさにふさわしい上等のミステリーが登場した。

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2005/08/10 21:54

少年法について考える

投稿者:菖蒲(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

今年の江戸川乱歩賞受賞作品である。
内容は、少年法を軸に展開されていく。
妻を少年によって殺害された主人公は、法律によって守られている加害者の少年達に対して酷い憎しみを抱く。
被害者に対しては何のサポートもない日本社会に対しての苛立ち、そして自身が再び事件へと巻き込まれていく。
物語の構成としては、悪くない。
しかし、本人の考えが示される場面など所々に見られる作品の粗が少々残念である。
物語の展開も、少し作者のご都合主義であることも残念な点の一つである。
しかし、社会に対しての問題定義のリアルさには目を見張った。
改正前の少年法に対しての問題点である。
少年の可塑性。
このことに大きく疑問を抱く作者の思いが強く示されている。
次回作が楽しみである。

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