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女教皇ヨハンナ 上

  • 出版社:草思社
  • サイズ:20cm/318p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-7942-1448-0

女教皇ヨハンナ 上

ドナ・W.クロス (著), 阪田 由美子 (訳)

  • 全体の評価 55件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,99557pt
  • 発行年月:2005.10
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「女教皇ヨハンナ 上」

カトリック教会の公式記録から抹消され、伝承としてのみ語られてきた男装の女教皇。ヴァチカンが実在を否定しつづける伝説のヒロインが、いま歴史の闇から解き放たれる。歴史エンタテインメント。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「女教皇ヨハンナ 上」

ドナ・W.クロス

略歴
〈ドナ・W.クロス〉ペンシルヴァニア大学で英文学士号、UCLAの大学院で文学修士号を取得。言語に関する本や、父娘に関する本を出版。

ユーザーレビュー- 「女教皇ヨハンナ 上」

全体の評価
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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/08/22 23:39

なにより、小説としてよく出来ています。

投稿者:読み人(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

これも、話題の一冊です。(二年も前なので、でした。かな?)
9世紀ごろに、実在したとされる、女性の教皇、ヨハンナの生涯を
描いた、伝記風の小説です。

 ヨハンナは、カールの軍隊がドイツに征服軍としてやってきた後の
(そう、ヨハンナのお母さんが言っています)
キリスト教布教活動を目的とした参事官を父に、地方の土着の神を信仰する非キリスト教徒
を母とする間に生まれた、女性で
幼い頃は、ギリシヤ人の教師によって教育を受けました。
 その後、もっと高い教育を受けることを欲する、ヨハンナですが、、。

 ヨハンナの存在は、カトリック教会は、正式には認めておらず、
プロテスタントとの論争の道具に使用されてきたと言う事実もあり、
伝説上の存在だとか、、、。
 先ず、一番におどろいたのが、
9世紀と、中世欧州史のなかでもかなり古いお話しだということ。
もう一つは、女性であることも認めさせるほど実力をつけて、教皇になるのかと
思いきや、教会に接近する段階からノルマン人の襲撃の混乱で無くなった、
お兄さんの身分を借り偽って、入会することです。
 いつばれるか、判らず、正にドキドキです。
 
 読書前は、歴史的に良く調べて、きっちり出来ているけど、
あんまり面白くない小説なのかなぁなんて、思っていましたが、

全然違いました。

 なによりこの本、小説として、大変よく出来ていまして、
ストーリーテリングが物凄く、
正に、ヨハンナというキャリアウーマン(ある意味、上昇思考の)
の波乱万丈の物語となっています。
当時は、高等教育機関が未発達で知識層イコール宗教機関という
時代でした。つまり学問を得るためには、教会にいくしかなかったわけです。
(世俗に教会を論破できるだけの、知的力はなく
 (あったとしても、異端として弾圧してしまいます)
 道徳、価値観、知的生産的なものすべてに置いて
 教会が、指導、コントロールしていたわけです。
 このあたりからの、脱却がルネッサンスだし、プロテスタントなのですが、
 書き出すと、長くなるのでこの辺で)
そこが、最も形式主義の保守的なところなわけで、開明的なヨハンナも
周囲とぶつかってばかりです。
 "キャリアウーマンの"って書くと誤解される方もいると
思いますが、兎に角、この本小説の"お話し力"全開の小説で全く先の展開が見えません。
でもって、リサーチに充分時間を費やしたというだけあって、
同時代の様子、その当時の教皇たちの様子なんかもばっちりリアルに描かれています。
"世界史好き"の私としては、ヨハンナの恋の相手ゲロルト(一応騎士です)を通してみた、
当時の世俗の権力の推移、ヴェルダン・メルセン条約あたりが、きっちり描かれていて
大変面白かったです。

 又、巻末の解説によるとヨハンナについては、塩野七海さんが、
書いたテキストもあるそうですね、、。
(どんなかんじなのだろう)
   
 小説としても面白い、歴史的に勉強にもなると
いった本で正に、文句なしの一冊でオススメです。

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/10/14 20:04

史実か?それともフィクションか?

投稿者:龍.(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

史実か?それともフィクションか?

歴史から抹殺された女性教皇の物語。

女性にとって中世とは何だったのだろう?たぶん、歴史上女性が最も虐げられたのが中世ヨーロッパだったのかもしれない。

そんな時代に一人の聡明で好奇心旺盛な女性が誕生した。名はヨハンナ。

上巻では、彼女の誕生から幼少時代、そして修道士になるまでの数奇な物語が描かれています。

それにしても、野蛮と知性が入り混じった時代に、人間として尊厳をもって生きていくことは大変なことだと考えされました。

しかし、そんな時代にも家族愛や夫婦愛があって、よりどころとする神の存在があったのだと実感。

読み進むにつれ、気丈に生きるヨハンナに感情移入してしまいます。

下巻を読むのが楽しみだが怖い。

http://blog.livedoor.jp/c12484000/

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/04/14 15:22

カトリック教会の世界は伏魔殿?

投稿者:ぽむ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 宗教の世界は昔も今も男尊女卑ね。
 カトリック史の暗部をとりあげる…というのは、『ダ・ヴィンチ=コード』が火をつけたこの頃のはやりなのかどうか。
 ”女性の教皇”がいたっていうことは、前に本で読んで気にはなっていた。
 だからこの本も新聞の広告で見て「おおっ」と思ったものの、手に取ったのは今。

 まだ中世になりきっていない時代。教科書なんかではカールの戴冠の後はさっくり“神聖ローマ帝国の成立”って流れだもんねぇ。
 男女問わず貧しい中から立身出世を遂げるにはやっぱり聖職者になるしかないのね。それでも女の子が学問するってこれだけ大変なことなんだ。
 ノルマン人の襲撃や皇帝と教皇の対立を織り込みながら、ストーリーはスムーズに流れていく。なにやらメロドラマ的な部分が濃すぎるような気はするけれど、当時のヨーロッパの雰囲気がわかって勉強になる。

 ああ、ゲロルトカッコよすぎ。でも最後はなんだか肩すかし。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/05/15 13:15

先へ進む人、そこにとどまる人。進んだ人が見た世界とは。

投稿者:つきこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

時は中世、科学よりも神の教えが尊ばれた時代。封建制度のもと一般庶民はもとより女性の人権は徹底的に貶められた、女性にとってはまさに暗黒の時代。
そんな時代に生を受け、ただひたすら好奇心の赴くままに学問の道を究めようとし、女性であることを偽ったまま修道院に暮らし、遂には時の最高権力者ローマ教皇に登りつめた女性がいた!…かもしれないという伝説をもとにしたのが本書、断片的に残された史実ともいえないような伝聞をもとに大胆に創作、波乱万丈な展開は文句なしの面白さです。
女として生きるか、個人の幸福を追求するか。
本書の主人公の場合は個人の幸福=聖職者としてのキャリアですが、現代なら“両方とる!”と軽く言ってしまえるような事が中世ではいかに途方もない望みだった事か。高貴な生まれでもない一介の女の子が勉強するなんて事は女にあるまじき行為とされた中世では、まずキャリアを得るまでがひと苦労。ましてやキャリアと女の幸福の両立なんてありえない!はずだったのですが、そのあり得ない事があったかもしれないと考えると俄然面白い物語になるわけです。
主人公ヨハンナを襲う理不尽さに身悶えし、そんな彼女を優しく見守る守護者の姿に安堵し、そして教会内の権力闘争に明け暮れる堕落した聖職者に憤りを覚えつつ、そんな輩を尻目にひたすら自分の職務に献身的に励むヨハンナの姿に共感し、と大河メロドラマ的要素もたっぷりと堪能。
今よりもずっとずっと不自由な時代に生きた女性が何とかして自分の思いをかなえようとあがき、もっと先へこの向こうへと自分の未来を切り開いてゆこうとする姿に胸が熱くなります。壮大な大河メロドラマではありますが、それだけに終わらない面白さなのはこのヨハンナの思いの強さに共感できるからではないでしょうか。
実在したのか否か本当のところはわからないけれど、彼女の存在に心励まされた女性は多かったのでは、という終わらせ方がまた心憎い。いつの時代にも女性だからと諦めず閉ざされたドアをほんの少しこじ開けて、次へ、その向こうへ、そうやって連綿と今の私達に続いている、そんな作者のメッセージを感じたような気がするのはうがちすぎでしょうか。
しかも面白いだけでなく、取り上げられる事の少ない中世ヨーロッパという時代の雰囲気、キリスト教の複雑怪奇さを知る上でも本書は良い参考書になっています。フランス革命を知るために“ベルばら”を読むように、中世という時代を知るために手にとって見て下さい。歴史書としてもおすすめです。

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/02/08 13:27

なかなか語り尽くせないこの凄さ。スリル・スピード・サスペンスの興奮でたどる中世暗黒史。理性が輝く女の一生。権力の中枢へと波瀾万丈の立身出世物語。そして灼熱の大ロマンス。

投稿者:よっちゃん(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

いくつもの文献を引用して歴史の裏をひもといたちょっと堅苦しいノンフィクション系フィクションかに見えたものだが、とんでもない、冒頭からのサスペンスタッチに、危機又危機の連続と冒険小説なみの興奮。読み出したら止められない、これはいわばジェットコースター型エンタテインメントのジャンルではないか。
ローマ帝国が滅亡し法と秩序が崩壊したヨーロッパ。無法と暴力が圧倒する時代。ゲルマン民族は唯一の国家・フランク王国を形成しその軍事力をもってヨーロッパ全域を手中に収める。いつの時代でもそうなのだが侵略者・征服者はただ腕力だけで権力を揮うのではない。侵略した土地土地の、勢力下においた民族の、生活基盤を強奪するばかりか、固有の習俗、掟、秩序、文化を破壊し、その社会がよって立つ精神までも破滅させ、屈辱を強いるものだ。そしてキリスト教の布教活動が侵略の尖兵となって異教徒の群れを圧殺していく。
9世紀、フランク王国の辺境、飢えと寒さで死と隣り合わせている貧しい生活環境。難産の末に誕生した女の子・ヨハンナ。
女のくせに勉強したいなんておかしいと誰もが言う。それでも学びたい。より広い世界を覗いてみたい。さまざまな考えがあり、学ぶ機会の多い、そんな世界を。ほかの娘たちはそうしたことにまるで関心がない。ミサのあいだじゅう、ひと言も理解できずに座っていることになんの疑問も抱かない。人が言ったことだけを聞いて満足し、それ以上知ろうとしない。彼女たちの夢は、よい夫、つまり優しくて暴力を振るわない男と、耕作可能な土地を手に入れること。村という安全な住みなれた世界の外へ出ようとは誰も思わない。村の娘たちにとってヨハンナが不可解であるように、ヨハンナにとっても村の娘たちは不可解だった。
さて、この女の子の高い自覚はどうだろうかと、ふと思う。現代の女性であれば誰しもが……。いやいや軽口にせよ「三高」などとあこがれる「村の娘」さんも多いでしょうねと。
しかし、ヨハンナの父は聖職ヒエラルヒーの末端にある布教活動者である。異教徒の妻を虐げ、女として生まれたヨハンナの向学心を憎しみで踏みにじる。キリスト者の女性に対する偏見は幼女の精神をいたぶり、その虐待は彼女の肉体を深く傷つける。身の毛もよだつ凄惨な場面が連続する。
無知からなる母親の盲目的愛にも決別してついにヨハンナは村を捨てる。
聖職者の「男」として生きることを決意する。路地裏の占い師が彼女の輝ける未来を予言する。そして権力の中枢、教皇の座にまで上り詰める劇的な女の一生が描かれる。
「下流社会」なんて言葉が流行ってしまうほど、それはいまでは死語になったしまった感のある「立身出世」物語でもある。立身出世物語の傑作、浅田次郎『蒼穹の昴』、優れた歴史小説のもつ重厚さに加えて一貫していた痛快感は心地よかった。ただし彼女のその動機は「野心」ではない。叡智が導く真理の探究である。一般にはこのような有徳の士はせいぜい「市井の一隅を照らす」赤ひげ先生的レベルなのだが、ヨハンナの場合それが積極的に権力とかかわるのだから、その俗っぽさの奥ははるかに深いものがあった。
「身を立て名をあげ、やよ はげめや」とあの美しい卒業式の歌はなくなっているのだろうね。若者からは何のために名をあげるの?と自嘲的質問がオチかな。自分の欲望を貫くためと答える人はいるかもしれない。だから知性と良識と美徳の勝利を信じる崇高な志への、この疑問の余地のないストレートな賛歌にはノスタルジーの同居した新鮮さを感じるのだ。
こんなめったない傑作だからもうすこし語りたいことがある。

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