- 出版社:新潮社
- サイズ:20cm/398p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-10-460603-0
かんじき飛脚
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- 税込価格:1,785円(51pt)
- 発行年月:2005.10
- 発送可能日:購入できません
- 本
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商品説明- 「かんじき飛脚」
「金沢から密丸を運べ」 幕府を敵に回した加賀藩を救うため、雪の山を越えて国許へ走る飛脚たち。行く手には大雪、荒れる海、刺客、そして裏切り。期限は10日−。飛脚たち、駆ける駆ける! 『週刊新潮』連載。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「かんじき飛脚」
山本 一力
- 略歴
- 〈山本一力〉1948年高知県生まれ。東京都立世田谷工業高校電子科卒業。1997年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。著書に「あかね空」(第126回直木賞)、「いっぽん桜」など。
ユーザーレビュー- 「かんじき飛脚」
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/11/12 11:04
江戸時代の時刻とカレンダー
投稿者:大東数矢(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
「寛政元年十二月一日、夜五ツ(午後八時)。」
オヤオヤ「ごろ」がついていない。おかしいではないか。わたしたちは一日を二十四時間に均等に分割しているが、江戸時代は不定時法であった。
夜明け(明け六ツ)から日暮れ(暮れ六ツ)までを六等分し昼の一刻とし、六ツ五ツ四ツ九ツ八ツ七ツと数えていく。日暮れから夜明けまでを六等分し夜の一刻とし、六ツ五ツ四ツ九ツ八ツ七ツと数えていく。夏は昼の一刻が夜の一刻よりも長く、冬はその反対である。講談社『日本語大辞典』によれば、冬至の日の夜五ツは7時19分、夏至では8時58分。一時間半の開きがある。まして冬の小説である。「午後八時」ですましていてよいのだろうか。
さらに許せないのは、大晦日の前々日を12月29日としていることだ。そうすると、この年の12月は31日まであったことになる。しかし当時の暦に31日という日付はなかった。『日本暦西暦月日対照表』(日外アソシエーツ)という便利な本をみると、寛政元年の12月は30日で終わっている。つまり寛政元年の12月29日の翌々日は寛政二年の元日なのだ。江戸ブームである。読者をみくびってはならない。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2005/12/22 19:02
なんていうか纏まりのない作品だな、って思います。山本一力にしては珍しいんじゃないでしょうか。飛脚をこういう形で扱った話って今までなかったし、面白いエピソードはあるんですが、散漫な印象ですね
投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
山本一力『かんじき飛脚』(新潮社2005)
ともかく宇野信哉の装画が素適です。ちょっと見に広重の浮世絵風ですが、線が柔らかそうで、なんと言っても色合いがいいです。ま、雪景色を描くと誰でも優しくなってしまうんでしょうが、これはいい意味でのマンネリズム。無論、現代的なイラストっぽいところもあります。装幀は御馴染み新潮社装幀室。
話は天明九年(1789)の師走です。歴史的にはこの年の1月25日に寛政へと改元されていますから、正確には寛政元年の暮れ。一体どんな時期かというと、天明七年に松平定信が老中首座について二年目、田沼意次は息子・意次を若年寄につけたことで、息子と自身の地位を失っています。
そして、定信の改革のおかげで賄賂まみれの政治は収まったものの、あまりの緊縮財政のために江戸の町は火が消えたよう。しかもこの年の九月には『棄捐令』をだしたおかげで武士の借金は消えてしまったものの金貸したちは逆に青息吐息、普請の槌音も街から無くなり、経済界は冷え切っています。
巻頭に「かんじき飛脚」略地図と、主要登場人物のリストが付いています。そこから、さらに目立つ人物を書き出すと、老中首座の松平定信、彼に従う御庭番組頭・大田典膳。定信に目をつけられているのが加賀藩主の前田治脩、その江戸詰用人が庄田要之助。
加賀藩御用の飛脚宿・浅田屋の七代目当主が伊兵衛で、浅田屋は江戸と国許の両方に常時八人の三度飛脚を抱えています。加賀藩国許と江戸本郷上屋敷との間、およそ145里を毎月三度、夏場なら五日間で走りぬくのが三度飛脚です。そのうち江戸組の8人は全員江戸者で、中で目立つのが親分格の玄蔵と健吉、俊助でしょう。加賀組8人は逆に加賀者ですが中では、最年長の弥吉と留吉、平吉といったところでしょうか。
話は、松平定信が加賀藩に意地悪をします。それを救う鍵となるのが加賀で作られる密丸という肝臓病の特効薬です。これを期限内に江戸に取り寄せる必要がある。そのために使われたのが三度飛脚で、それを阻止しようとするのが定信配下の御庭番であり、季節であるわけです。
まず、最近の山本の話、何でもかんでも金で解決する、見たいな部分はここでも健在です。ただし、浅田屋が飛脚たちの体を気遣ってのことなのでさほど嫌味ではありません。全体としては、庶民の視点に立ったところが多いでしょう。それと、話の出だしから行けば、いかにも山田風太郎の忍法帖的展開を予想させます。
ところが、これが何とも中途半端なんですね。無論、山本にはそういう活劇を書く気が無かったことは分ります。ただ、そういう戦いをかなり書き込まないととスッキリしないんですね。逆に、面白いエピソードは沢山あります。その分、話の求心力が弱くなってしまった、そんな気がします。
特に、この話の発端となった松平定信vs.前田治脩なんていう部分、ある意味、含みをもった終わり方をしてるんですが、何だか竜頭蛇尾の感が否めません。冷静に考えると幕府対加賀の代理戦争が御庭番vs.飛脚になっちゃって、じゃあ、加賀藩はどこいっちゃったの、運送屋に戦争頼んでお終いかよ、庄田、出てきて闘えよ!なんて思うんですね。泣けないし。心踊る、っていう感じはしませんでした。アイデアはいいので勿体無いですね、ホント。







