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マンスフィールド・パーク

  • 出版社:中央公論新社
  • サイズ:16cm/701p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-12-204616-5

マンスフィールド・パーク (中公文庫)

ジェイン・オースティン (著), 大島 一彦 (訳)

  • 全体の評価 42件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,50042pt
  • 発行年月:2005.11
  • 発送可能日:7~21日

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ユーザーレビュー- 「マンスフィールド・パーク」

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/10/10 08:28

幸福な結婚って?

投稿者:ジェニファー(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「エマ」「高慢と偏見」「分別と多感」を読んでしまって、他にジェイン・オースティンの本はないのかと思っていたら、まだあった! 上記の三冊ほどは有名ではないが、個人的には好きな「孤児もの」。いや、実際は孤児とは違うのだが。
 きょうだいが多すぎるという経済的な理由から、裕福な伯母の家に引き取られることになったファニー。伯母の家の娘たちと同列には扱ってもらえないものの、従兄弟の心遣いのおかげで優しい娘に育った彼女が、従姉妹たちの恋模様に巻き込まれつつ、自分の幸せを見つけるというお話。
 映画化もされた作品に比べると、確かに地味な印象はぬぐえないが、このファニーが健気で健気で…。「周囲から誤解されて孤立している少女が、たった一人自分を理解してくれている人に恋をする」というパターンがめちゃくちゃ私のツボなのだった。
 本のあらすじには「ファニーが幸せな結婚をするまで」と書かれているのだが、「幸せな結婚というのはこの場合何を意味するのか?」という疑問が読んでいる間じゅう、頭の中を駆け巡っていた。この時代のセオリーからすれば、「幸せ=裕福」なので、やっぱり収入の安定している相手とくっついてしまうのか、それともあくまで精神的な幸福を取るのか。「高慢と偏見」は、「金なんて重要じゃない!」と主張する女性が主人公だったが、今回は「やっぱ男は収入でしょ」という女性がファニーのライバルになるので、「こんな女にファニーが負けたらどうしよう…」と、見ていてやきもきさせられた。
 誰と結婚するのかは読んでみてのお楽しみだが、ジェイン・オースティンが、読者へのサービス精神旺盛なエンディングにしてくれている、とだけは書いておこう。ま、個人的にはもっともっとサービスしてくれても良かったんじゃないかという気がするが…。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/10/14 15:31

時の移り変わりと心の機微を捉えた、オースティン後期の傑作。

投稿者:求羅(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

『高慢と偏見』や『エマ』に比べると地味だが、ボリュームといい内容といい、非常に読み応えのある一冊である。ひとりの女性が幸せを掴むまでの軌跡が、およそ10年の歳月をかけて丹念に描かれていく。初期の軽妙なものより、じっくり読ませる本書の方が私は好きだ。
円熟味を増したオースティンの筆が冴えわたる、後期を代表する傑作。

オースティンは6長篇の主人公のキャラクターをすべて書き分けているが、その中で本作のファニーは(境遇も含めて)ひときわ影が薄い。内気で控えめ。エマがいたら、「私がなんとかしてあげなくっちゃあ!」と張り切って世話を焼くかもしれない。
ヒロインも地味なら、相手役エドモンドも地味。若い割に妙に分別があって、えなり君みたいだ。そんな二人の会話は、酸いも甘いも噛み分けた老夫婦の交わす「今どきの若いもんは…」的な説教くささが漂う。

例のごとく『マンスフィールド・パーク』は、場面も人物も限られた中で展開していくスケールの小さな物語である。
だが作者は、自然園の散策、舞台の稽古、舞踏会といったエピソードや、交わされる何通もの手紙を通して、登場人物一人ひとりの個性を徹底的に描き込み、浮き彫りにしていく。その細やかな描写たるや、人間性に対する深い洞察力とそれを的確に表現する文章力なくしては為し得ない。ここに、オースティンの真骨頂を見る思いである。
特にうまいなあ、と唸ったのが、メアリー・クロフォードの人物造形。
美人で機知に富んでいて聡明な彼女は、もじもじしている主人公よりよほど魅力的である。思慮深いエドマンドでさえ、夢中になるのだから。一見申し分のない女性に思えるのだが、だんだん欠点が鼻についてくる。このあたりの微妙な描写が抜群なのだ。

作中、マンスフィールド・パークの屋敷とファニーの実家との衝撃的な格差が挿まれる。「愛があればお金なんて」という甘っちょろい考えとは一線を画し、作者はどこまでも現実的だ。
が、単純に裕福イコール幸福としている訳でもない。財産があるがために慢心に陥り、堕落する人びとの姿を通し、「人間の幸不幸を決めるものは何か」「人格形成に必要なものとは何か」といった思索を読み手に促すのである。
もっとも、愚鈍にしか思えないバートラム令夫人がどうやって良識あるサー・トーマスの心を射止めたか、未だもって最大の謎だが。

難点は、生真面目な内容に合わせたのだろうか、訳文が硬くて読みづらいこと。時代遅れの言葉づかいにいちいち引っかかってしまった。
そういえば、つい最近出た『ノーサンガー・アビー』の訳者あとがきで、新訳出版についてちらっと触れていた。中野康司訳はちょっとくだけ過ぎなのが気になるものの(だから読みやすいのだけど)、そちらを楽しみに待ちたいと思う。

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