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商品説明
非主流派閥の「変人」政治家が、なぜ「戦後最強の宰相」となり得たのか? 小泉政治に至る政策決定変容のドラマを克明に描き、改革路線の実相と行方を探る渾身のノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
清水 真人
- 略歴
- 〈清水真人〉1964年京都府生まれ。東京大学法学部卒業。日本経済新聞社に入社。政治部、経済部、ジュネーブ支局長を経て、2004年9月より経済解説部編集委員。
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紙の本
政治主導、実質的成果こそが問題
2009/09/18 11:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
民主党による新政権が発足した。「政権交代」による新政策が次々に打ち出されているが、大きな柱が「官僚主導」から「政治主導」への転換ということで、それを実施する骨格的組織が「国家戦略局」とされる。
自民党政権下において「政治主導」というか「官邸主導」を推進する組織としては「経済財政諮問会議」があったが、「国家戦略局」はこれに替わるものと考えてよいだろう。その意味で、経済財政諮問会議が果たした実績をたどる意義は大きいだろう。本書は、いわゆる郵政選挙と呼ばれた4年前の総選挙により自民党が圧倒的多数を得た直後である2005年12月の刊で、日本経済新聞社の経済解説部編集委員である著者が、2005年9月21日に成立した第3次小泉内閣に至る10年間に官邸で繰り広げられた政治史を取材、分析し、自民党政権下において、政策決定メカニズムを官僚主導から官邸主導へと転換しようとした過程を明らかにしたドキュメントである。
不良債権処理を巡ってリーダーシップを一切発揮できず、旧大蔵省に処理を丸投げした村山富市内閣(1994年6月30日―1996年1月11日)に始まり、政治主導の道へと転じるきっかけを作った橋本龍太郎内閣(1996年1月11日―1998年7月30日)、さらに小渕恵三内閣(1998年7月30日―2000年4月5日)における、政官財の人々による駆け引きを描く。 また、小泉時代への幕間と見られがちな森喜朗内閣(2000年4月5日―2001年4月26日)下で、小泉政権における官邸主導政治の象徴である「経済財政諮問会議」のお膳立てがなされていた事実を明らかにする。
その「経済財政諮問会議」も、小泉政権下ではその存在感は大きかったものの、それ以降の政権下では、徐々に形骸化していったようである。経済財政諮問会議は、2001年1月の中央省庁再編とともに設置されたもので、設置根拠は内閣府設置法18条である。「国家戦略局」がどのような設置根拠となるのかについては、現時点では確定はしていない?ように思われるが、要は、形式が問題なのではなく、それを動かす人、施策を推進し実行する力こそが重要であるということであろう。実質的成果こそが問題である。
本書は、以上のような10年間の事実経過をたどり、今後の展望を予測する材料とするためには有益であり、政権交代が実現した現在こそ、あらためて読み返す価値があると思う。ただし、まるで日本経済新聞の記事か解説のような単調な叙述であって、文量が徒に多いために、これを読みきるためには相当の根気を要する。もう少し簡明に要点を整理するべきであったのではないか。