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商品説明
不世出の天才、空海。蝦夷の血を引く佐伯氏の末裔として讃岐に生まれ、山野を駆け、丹生の子女と交わった少年時代。鄙朴の野人が長じて大唐の天台山に渡り、恵果和尚より唯授一人の伝法灌頂を受けるまでの数奇な全生涯を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
三田 誠広
- 略歴
- 〈三田誠広〉1948年大阪生まれ。早稲田大学文学部卒業。「僕って何」で芥川賞受賞。ほかの著書に「いちご同盟」「パパは塾長さん」他多数。
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紙の本
天才技術者、人心掌握の達人”空海”
2007/04/08 12:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る
さすが小説家の書かれたもの、人間・空海に真正面から立ち向かい雄壮に描かれています
人間・空海を知る事で思想書よりも深く高僧・空海の思想の成り立ちを理解出来たような気がしました
読後に得た私の“空海像”を少々。
①まつろわぬ蝦夷人の象徴アテルイとの邂逅などは勿論創作でしょうが、幼少時から山野を跋渉、厳しい山岳修行で“宇宙自然の理”を究めた空海、その桁外れな生命力を大自然と一体化せしめる鍛錬が空海思想の根底にあります
②宇宙自然の理を体得する空海は天才技術者であり、殊の外実際家でした
金属精錬、築堤土木工事等実践技術への深い造詣が語学、書道の並はずれた術と相まって、唐や日本での人脈を形作り、評価・人望を高めました
③空海は人間の心理を自在に操る天才営業マンでした
要人と会う時は準備万端整うまで動きません、相手が空海を待ち焦がれるまで動きません
そして会った時は得意の術をもって一目で相手を惹き付けます
役人に惜しげもなく砂金を贈ったりもします
空海は唐に渡り恵果阿闍梨から世界で唯一人の法灯を嗣ぐ者として認められます
恵果から得た秘伝密教と仏像・曼荼羅絵・法具の数々は時の権力者や民衆の心を鷲づかみして信仰にかき立てた最強のツールであった筈です
④私は“空海”を俗読みしすぎたかも知れません
しかし自然と人心への洞察とそれらを我がものとする術こそは現代に於いても人類最大の命題ではないでしょうか
紙の本
空海の人となりにせまる名著
2006/01/23 21:17
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
空海は歴史の教科書にも出てくる、知らぬ人のいない高僧である。すなわち、真言宗の開祖である。空海の仏教思想について書き著した本はたくさんあるが、本書はその人となりを生い立ちから語り起こし、小説の手法によって読み物に仕立ててある点で新しい。空海の名は知りながら、どのようなことをした僧であるのか知らない人には、知的好奇心を満たすよい書となるだろう。そして、空海が歴史に名をとどめるにふさわしい偉人であることも、小説中で十分に描き切れている。偉人であることを証明するのに必要な、空海の超人的な能力を無理なく描写しているのはさすがに三田誠広という芥川賞作家の本領発揮というべきである。この作家は、この本を著すのに相当な労力を費やして、空海のみならず、広く仏教思想を研究し、理解しているのが伝わってくる。生半可な気持ちで本書を書いたのではないことがすぐに分かる。逆に言えば、仏教思想にあまり興味がなく、純然たる文学として楽しもうという読者には、やや硬い書となるかも知れない。ある程度、仏教についての素養がなければ、小説中に出てくる数々の仏教の教えを消化しきれないおそれがある。その意味では、読み手を選ぶ本であるかも知れない。仏教に多少とも理解があり、これからその理解を深めたいという人には、小説の楽しみを味わいながら、同時に知識の整理にもなりうる。その観点からはおすすめできる良書である。時をおいてまた読み返してみたいと思わせる本であった。三田誠広という作家を評価しなおすによい書である言える。