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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.2
- 出版社: ハーパーコリンズ・ジャパン
- レーベル: ハーレクイン文庫
- サイズ:15cm/357p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-596-93021-7
読割 50
紙の本
セラフィーナ (ハーレクイン文庫)
家柄がよくて利口すぎず、従順でつつましやかで、口答えもせず、見目うるわしい娘。そんな娘がもしもいるなら、結婚を考えてもいい。男爵家の当主チャールズ・デイカーは、故意に、か...
セラフィーナ (ハーレクイン文庫)
セラフィーナ
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商品説明
家柄がよくて利口すぎず、従順でつつましやかで、口答えもせず、見目うるわしい娘。そんな娘がもしもいるなら、結婚を考えてもいい。男爵家の当主チャールズ・デイカーは、故意に、かないそうもない結婚の条件を出していた。ところが驚いたことに、そんな娘がいたのだ。ミス・セラフィーナ・フェヴラルなら、結婚しても自由にやれそうだという気がした。自分の目に映っているのが、偽りのセラフィーナだとも知らずに。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
咄嗟についてしまった嘘が思わぬ事態に。19世紀英国が舞台のロマンス。
2006/03/06 20:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三度目の正直 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とっさについてしまった嘘が大変な事態を招いてしまったという経験のある人はどれくらいいるだろう。
「ああ〜、だから言わんこっちゃない!」と思わず嘆いてしまった本書は、ヒロインであるセラフィーナがまさにそういう事態に陥ってしまう物語である。そして、欠点が見あたらないくらいに本当に巧くて面白い。
ナポレオン戦争終結後間もない19世紀初頭の英国が舞台。
外交官のチャールズは、兄が亡くなり男爵家を継いだが結婚に乗り気ではない。はやく結婚しろと急かしてくる祖母にうんざりする彼は、仕方なく条件付きで承諾をする。利口すぎず、従順でつつましやかで、口答えもせず、外見もいい娘とだったら結婚してもいいと。もちろん、そんな娘などいるわけがないと見越した上での発言だったが、祖母が引き合わせた女性セラフィーナは淑女の鏡そのものだった。
ところがどっこい、このセラフィーナ、実は淑女なんて言葉とは無縁の性格。読書好きで学問もでき(この時代は女性が学問をすることは好ましくなかった)、木登りも得意なおてんば娘。家族の経済状況を救うために財産持ちと結婚しなければならなくなり、折しも男爵が結婚相手を探しているということを聞いたのだ。
けれど、男爵が望む相手は自分とはかけはなれたタイプ。でもどうにか結婚にこぎつけたい彼女は従順な娘を演じることにする。
そのことだけでも、後で大変なことになることは目に見えているのに、もう一つ咄嗟についてしまった嘘から事態はとんでもなく複雑なことになってしまうのである。
セラフィーナの嘘がいつチャールズにバレるかと始終ハラハラさせられ通しだった。でも後で嘘がバレてチャールズは怒っても、どうせすぐにゆるしちゃってめでたくハッピーエンドなんでしょ?などと軽くみていたら、見事にやられてしまった。バレてからの展開の持っていき方が巧いのなんの。そうなっちゃいますか!?というくらいにびっくりさせられた。
嘘をついていることに耐え切れず、本当のことを言いたいけど言い出せなくなってしまったセラフィーナの胃がキリキリしてきそうな心情や、結果として自分で自分の首をしめてしまった彼女の惨めさが痛いほど伝わってきて、自業自得だと分かっていても読んでいるこっちまでも泣きそうになった。
もし自分が悪気のない嘘をつかれたとしたらゆるせるだろうかと何度も自問してみたが、やっぱりゆるせる自信がない。一度壊れた関係を修復できるなんて絶対にありえないという考えの自分は、本書で、仲直りする勇気、相手の罪をゆるす勇気について教えられた気がする。
そして、恋なんていう非論理的な感情での結婚なんてごめんだわと、感情よりも理性での結婚を望んでいたセラフィーナの心の変化も見逃せない。もちろんチャールズの方も。
実はこの作品は日本では過去に2度も刊行されている。1997年に初めて発売され、2003年に復刊、そして2006年に本書である文庫版が発売。他にコミックス化もしており、その人気の高さが伺えるし、実際に読んでみて納得の秀作だ。
ちなみに著者は英国の有名カレッジで長く副校長を務めていた女性だけあって、博識さが本書の中でも遺憾なく発揮されている。まだ著作数は少なくて残念だけど、叶うならセラフィーナの兄弟たちを主人公にしたスピンオフ作品を望みたい。