- 出版社:東京創元社
- サイズ:20cm/260p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-488-02387-8
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商品説明- 「愚行録」
ほら、人間という生き物は、こんなにも愚かで、哀しい。数多のエピソードを通して浮かび上がる、人間たちの愚行のカタログ。『慟哭』『プリズム』に続く、第三の衝撃。【「BOOK」データベースの商品解説】
一家を惨殺した「怪物」はどこに潜んでいたのか? さまざまな証言から浮かび上がる、人間たちの愚行のカタログ。人間という生き物は、こんなにも愚かで、哀しい−。痛烈にして哀切、「慟哭」「プリズム」に続く、第3の衝撃。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「愚行録」
貫井 徳郎
- 略歴
- 〈貫井徳郎〉1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年鮎川哲也賞最終候補作「慟哭」でデビュー。ほかの著書に「さよならの代わりに」「追憶のかけら」「悪党たちは千里を走る」など。
ユーザーレビュー- 「愚行録」
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/07/05 20:32
信用できない語り手
投稿者:ナカムラマサル(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭に、ネグレクト(養育の怠慢・拒否)で女児を死なせてしまった母親の事件記事が掲載されている。
てっきりネグレクトに関する話なのかと思って読み始めると、ある一家が皆殺しにされた事件の話になり、えっ?と思う。
本書は、ある有名な未解決の殺人事件をモデルにした長編小説だ。
圧倒的なリーダビリティは、本書の構造に負うところが大きい。
各章は、殺された夫妻の知人がインタビューに答える、という形式になっているが、実際に話を聴いているような気持ちにさせられるほどの臨場感に満ちている。
面白いのは、語り手によって夫妻の人物像が全く違ったものに見えてくるところだ。
さらに、この語り手たちはいわゆる“信用できない語り手”というやつで、それによってますます夫妻の人物像が掴めなくなる仕掛けになっている。
また、各章の最後に何者か分からない少女の独白が表れるのだが、これが最初のネグレクトの記事に繋がっていて、なるほど、と思わせられる。
本文を読んでいても、『愚行録』というタイトルを見ても、人間の愚かさを思い知らされる。
もちろん、自分のことも含めて。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/12/07 22:45
万死に値する愚行は本当に存在するのかを問う物語
投稿者:yukkiebeer(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
都内で幼い子供二人を含む一家4人が惨殺される。物盗りの犯行か、怨恨か。事件を追うルポライターに、友人たちが語ったこの家族の「真実」とは…。
様々な友人たちが一人称で語って聞かせる形式は、宮部みゆき「理由」、恩田陸「Q&A」「ユージニア」など話題作で幾度か目にしていますが、本書でもまだまだ有効に用いられていると感じます。
被害者たちの人生は友人たちのフィルターを通した途端に、「真実」と私たちが名づけるものからはどんどんと離れていく可能性があります。それがどれくらい離れているのかは、まさに死人に口なし。私たちが他者を「知る」というのは、実は「他者像をこしらえる」という作業と紙一重でしかない虚しさを感じます。
さらに言えば、彼らの来し方に散りばめられた愚行の数々、---ちょっとした意地悪や軽い嫉妬、利己的な恋愛感情や、苦笑するほどの執着心---そうしたものは私たちの人生にも大なり小なりこぼれ落ちているものです。誰の身にも覚えがあるそんな行為の数々は、歳月とともにやがて忘却や諦念にくるまれて記憶の引き出しにしまいこまれてしまうものでしょう。それが生きる上での大人の知恵であるともいえます。
しかしそんな行いの一つ一つが、ひとたび一家が惨殺されたことによって、この一家が万死に値するか否かを問うための材料へと、にわかに変貌を遂げてしまいます。
「あの人たちは何も悪いことをしていないのに…」。目を覆いたくなるような残虐事件の直後に、被害者を知る人たちがメディアのマイクに向かってこの言葉を口にすることがあります。この言葉に頷く私たちの心の裏には、一方で「殺されても仕方がないような行い」がこの世には確かにあるという共通認識が巣くっているのです。
そんな心を見透かすような結末に、うら寂しい思いを感じるのは私だけではないはずです。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/05/28 21:52
あの殺人事件が蘇る
投稿者:だーさん(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
かの有名な未解決な一家殺人事件がモチーフなのは言わずもがな。なるほど、こんな解釈は誰も思いつかないし、実際そうだったとしてもちっとも驚かない。でもやっぱり怖い。隣は何を知る人ぞ。







