- 出版社:右文書院
- サイズ:19cm/199p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8421-0066-4
早稲田古本屋日録
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- 税込価格:1,575円(45pt)
- 発行年月:2006.2
- 発送可能日:7~21日
- 本
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商品説明- 「早稲田古本屋日録」
早稲田古書店街に生まれ育ち、「古書現世」跡取りの著者が、古本への愛情と、店頭や古本買い入れなどで出会った、さまざまな人々とのつき合いを、短篇小説風にユーモラスに書き綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「早稲田古本屋日録」
向井 透史
- 略歴
- 〈向井透史〉1972年早稲田生まれ。堀越学園高校卒業。古書店「古書現世」二代目。
関連キーワード- 「早稲田古本屋日録」
ユーザーレビュー- 「早稲田古本屋日録」
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/04/02 09:11
こうした書き手が早稲田の古書店街に静かに存在していることを知って嬉しい
投稿者:yukkiebeer(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は早稲田にある古書店の二代目店主。自店の古書目録に書き綴ってきたエッセイをまとめた一冊です。
時間の捻出に汲々とする最近はその機会を失ってしまいましたが、私は以前、神田や早稲田、荻窪界隈などの古書店街をぶらつくのを好んだものです。そんな私は頁を繰る直前まで本書のことを、練達の古書店経営者が綴った興味深い、そしてちょっぴり下世話な、業界裏話集かと勝手に推測していました。
しかし予想に反し、そこに綴られていたのは、店主の周りをゆったりと流れる時間をみつめた、味わい深い日常の風景でした。ですから門外漢の想像をしのぐ面白エピソード集という趣はありません。さして起伏の激しい日常が展開されるわけではなく、うずたかく積まれた、独特のにおいを放つ古書に囲まれて静かに生きる店主を、ほんのいっとき訪(おとな)う様々な客や同業者との出会いが、丹念に選び取られた言葉によって綴られているのです。
文章には人柄が現れるものですが、本書の著者の筆遣いからにおい立つそれは、大変落ち着いた、穏やかでぬくもりの感じられるものです。気ぜわしいはずの日々にありながらも、その落ち着かなさを文章に刻むことはしません。この著者が紡ぐ世界につかりながら、読み手の私の心も次第にしんなりと柔らかみを帯びていくのが感じられたのです。
奥付までたどり着いて、著者が1972年生まれとまだまだ若いことに気づいて驚かされます。そして「あとがき」によると、巻頭に掲げられた「大雪の夜」という文章は19歳のときに物したものだと知り、にわかには信じられない思いにとらわれます。その筆が見せる落ち着きと、その年齢の若さとが、私の中では到底結びつかないのです。
本書に託した当初の期待を、うれしい形で裏切られ、私は若き新しい書き手と邂逅できたという喜びに今ひたっています。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/03/16 21:35
古書を通じて垣間見る日常世界はほんのり、しんみり。
投稿者:佐々木 昇(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
早稲田古書店街の二代目店主が書いた日録であるが、著者の人柄を彷彿させる淡々とした文章に引きこまれてしまう。
よくも数々のちょっとした事件が起きるものだと感心してしまうが、またそれを細かに観察している店主にも感心する。
が、しかし、ときに本を売りにきたなじみ客が手にしたばかりの代金で店主を拉致監禁して酒を飲みに連れ出すというのは、いいなあと思ってしまう。まさに換金(監禁)商売か、と。
この本の中で好きなページは87ページの「睡魔」である。
宅買いに訪れた家で買い取りを依頼された本を前にして、あまりのカーペットの気持ちよさに著者は寝こんでしまうのである。目覚めればタオルケットが優しく掛けられていて、穴があったら入りたい気分とはこのことだろう。微笑ましくもあり、不思議な一編だった。
もともと、古書目録に添える話を書いてみたらとのアドバイスで書き始めた話だそうである。古本屋兼作家の代表である出久根達郎氏が出されている古書目録のようにしなければという常連さんの勧めで書き始めたそうであるが、喧騒の町中でこんな素敵な人間ドラマが起きているとは、嬉しく思いました。
古本屋という商売、いったい儲かるのか、趣味なのか。いずれか判読しがたい商売だが、一度はやってみたい。そう思わせる魅力の詰まった一冊でした。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/03/13 16:50
古本とは古い本ではなく、心をふるわせる本のこと
投稿者:arayotto(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
紙の魚と書いて、「しみ」と読む。英語では、シルバーフィッシュ(銀色の魚)というそうです。
さて、この「紙魚(しみ)」、いったいどんな生き物なのか、分かりますか。
ご存知でない方は、「紙魚(しみ)」という言葉から、さあ、想像の翼をどうぞ広げてみてください。
よそ見をしながらほお張ったたこ焼きのソースがジーンズに落ち、「まあ、ジーパンだから目立たないからいいや」と指でこすってできた「シミ」のこと?
若かりし頃トースト娘を目指して小麦色に焼いた肌の無理がたたり今になって現れてきた顔の「シミ」のこと?
それとも文字から素直に読み取って、「魚」の一種のこと?
私がこの「紙魚」について知ったのは、「早稲田古本屋日録」(向井透史著)というエッセイ集からでした。作者は、東京は、早稲田の、ある古本屋の二代目店主です。
このエッセイ集、なかなか味わい深く、本好き(本屋好き)にはたまらなく心に染み入ってくる文章に満ちあふれています。
店に訪れる客との触れ合い、買い取りに出かけた家庭での一時、業者が集う古本祭りでのやりとり、そして一冊一冊の「本」に込める作者の温かな思いが、一文字一文字一行一行一頁一頁の間ににじみ出ています。
さて「紙魚」ですが、その正体は、本(など)を食べる虫、だそうです。
本や繊維が好物で、体長およそ1センチ、魚のように身体をくねくね泳がせながら動くことから、「紙の魚」と名付けられたようです。
そういえば、古く黄ばんだ本をたまに開くと、中に小さな虫が潜んでいることがあります。
もしかして、あれが「紙魚」だったのでしょうか。
「早稲田古本屋日録」の中に、「紙魚」を探すお話が出てきました。
古い雑誌のなかから、キラキラと輝きながら出てきた「紙魚」
本屋にとっては、天敵でもあるはずの「本を食べる虫」が、とても愛らしく、美しく、希少な生物を発見したかのように描かれていました。
本が好き、という共通点が、作者の心を優しくさせたのでしょうか。
我が家にも、小学校時代から捨てるに捨てられない本が何冊かあります。
あの当事ワクワクドキドキした思いが裏切られるのが怖くて、ここ30年以上開いていません。
閉じこめたまま本棚の片隅にしまってあります。
もしかするとその本のなかに「紙魚」は潜んでいるのかも。
一度開いて確かめてみます。
彼(彼女)は、その本のどんな活字を食しているのか。
「夢」とか「希望」とか「前進」とか、そんな年齢を重ねることによって失われがちな活字だけが、虫食いとなって欠けていたら、ちょっぴり悲しいけど。
勇気を出して、あの頃の本を今一度開いてみます。







