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瞳子(小学館文庫)

  • 出版社:小学館
  • レーベル:小学館文庫
  • サイズ:16cm/294p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-09-191538-8

瞳子 (小学館文庫)

吉野 朔実 (著)

  • 全体の評価 41件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:59016pt
  • 発行年月:2006.4
  • 発送可能日:7~21日
  • 文庫

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収録作品一覧- 「瞳子」

瞳子 3-206
子供は泣かない 207-256
ピンホール・ケイブ 257-289

ユーザーレビュー- 「瞳子」

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/09/13 11:26

世の中への違和感を抱えて生きる

投稿者:cuba-l(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

自伝的と著者も言っているように、1980年代に学生時代を過ごした著者の回想的作品のようだ。
テーマは世の中の大勢派への違和感を持って生きること、とでもいえようか、ニートの起源でも見たような気分になった。

大学卒業後就職もせず親の家でぶらぶら過ごす主人公の瞳子は、対人接触上の障害があるわけでもなければ、実態のない自分探しにかまけているわけでもない。ただ、自分は何者かを探すというよりも、「自分が何者でないか」をよく見据えている。

’80年代という世の中がこぞってバブルへ向かおうとしているくらいの時代に、特に大きな障害もなく順調そうに大学までを過ごした人間が世の中の大勢側と同調しない行動をとるのはさぞ過ごしにくかったのではないのだろうか、とも想像する。(あくまで私の想像だが)

物語の中で、言い寄った金持ちのハンサムを受け入れられなかった瞳子は次のように友人たちに述解している。
「好きなことが一緒なことより、嫌いなことがいっしょの方が大事な気がする」

・・・今はなんでもポジティブにとらえないことは悪であるような風潮が世の中を支配していて、パートナーとの関係も明るくひたすら前向きに、ネガティブな面をともかく排除して努力して作っていくものだというある種の脅迫めいた勘違いが横行しているが、瞳子の言葉は、意図して作られた協調だけでなく、情けなさや負の面を互いにさらけ出して共有できる間を持てる関係がパートナーなのだ、ということを突いている。 
 
人間は努力して負の面・陰の面を排除して完全な人間になるわけではない。光と影、正と負との混合体であること全部を肯定することが自分として生きる唯一の道だ。

現在はいよいよもって経済的価値だけが唯一の価値基準のような有様が進展して、意識無意識のうちにも、社会的世間的価値への迎合圧力に違和感を覚える人は多いだろう。
この作品はやはりそんな違和感があったことの、’80年代における風景である。

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