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紙の本
天使の代理人 上 (幻冬舎文庫)
著者 山田 宗樹 (著)
生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。過去、数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子はある日、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔を見た。そ...
天使の代理人 上 (幻冬舎文庫)
天使の代理人(上)
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商品説明
生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。過去、数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子はある日、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔を見た。その時から罪の償いのために半生を捧げる決意をした彼女は、声高に語られることのない“生”を守る挑戦を始める—。胎児の命、そして中絶の意味を問う衝撃作。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
胎児が「1つの命」となるのはいつ?
2010/09/25 16:40
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本来、助産師は産まれてこようとする命を迎えるお手伝いをするのが仕事。でも、現実はその命を消し去ってしまうことも多い。主人公:桐山冬子はそういった仕事にいつしか慣れてしまうが、ある日、妊娠後期での中絶手術の最中に死んでいたはずの胎児が一瞬動いたのに気づいたとき、胎児の生きる力を目の当たりにした。そして病院を退職し、これ以上人工中絶に携わることのないフリーの助産師として妊婦さんのお手伝いをすることにした。
その傍らで、自分が経験してきた人工中絶の現場を綴った本を自費出版する。
その本をきっかけに人工中絶の数を減らしたいという若い助産師たちと出逢い、「天使の代理人」という団体を作る。それは表には決して出てこない団体。なぜなら違法行為をしているから。妊婦たちの情報漏洩。中絶手術を予約したがまだ迷いのある様子の女性に会って説得するという活動を行っている。けれど中絶手術をやめるようにと強要することはしない。決めるのはあなた。そう言って去るわけだ。
お昼のドラマをきっかけに手にした本。あたりまえだけれどドラマに描かれていない部分も多い。冬子が何故「天使の代理人」という団体を作るに到ったか、それが丁寧に描かれている。
やはり女性にとって「妊娠」「中絶」というものは簡単なものではない。本書の中に登場する助教授が言うのが「胎児は女性の一部。内臓のようなもの」。胎児はいつから1つの命になるんだろうか。
受精した瞬間から? 母体から出た瞬間から?
人工中絶が必ずしも「悪」ではないと思う。例えばレイプされて妊娠した場合とか。それでも「人工中絶」という処置が更に女性の身体と心を傷つけてしまうのは事実。こういう加害者は人の命の重さがわかっていない。もっと処罰を重くすべき。そう思う。
冬子がフリーの助産師となる平成5年とその10年後の平成15年のできごとが交互に綴られていく。一人で勝手に中絶してしまった未成年の女の子。結婚して5年目でやっと授かった子供を同姓同名の他人と間違えられて中絶させられた女性。身近な男に幻滅して結婚はしたくないけれど子供は産みたいと精子バンクから精子を取り寄せる女性。年上の俳優との間に子供が出来てしまった人気絶頂のアイドル歌手。彼女たちがどのように考え、どのような決心をするのかよく見て欲しい。
しかし、「妊娠」「出産」「中絶」は女性だけの問題じゃないのに、あまり男性側の気持ちが出てこないな。あえてそうしているのだろうか。ちょこちょこ男性側の言葉が登場するけれど、それはまるで他人事のような・・・。自分の身体には変化が起きないわけだから、当たり前なのかもしれない。
下巻ではどのような展開になるのか、じっくりと読んでいきたい。