川を覆う闇 (角川ホラー文庫)
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- 税込価格:580円(16pt)
- 発行年月:2006.5
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商品説明- 「川を覆う闇」
警備会社に勤める土岐は、副都心に程近いマンションから失踪したある女性を捜すよう依頼を受けた。女性の部屋を訪れた土岐は、腐乱したゴミが堆積し、想像を絶する悪臭を放つさまに驚愕する。次第に土岐の周りに出現し始める汚穢に満ちた空間。そして中世ヨーロッパで清潔の追求を基本理念としながら、迫害によって消滅していた宗教、ドゥーゼ派の復活を目論む怪しげな組織。現代人の潔癖信仰を揺るがす、驚天動地の長編ナスティ・ホラー。【「BOOK」データベースの商品解説】
ユーザーレビュー- 「川を覆う闇」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/06/04 16:01
清濁併せ持つこの世に感謝
投稿者:カルバドス(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
公園の水道を使う時、その母親は手提げ袋から取り出したウェットティシューで蛇口やハンドルを丹念に拭いていた。しかも拭いて終わりではなく、新たなウェットティシューを取り出し、それでハンドルをくるんでからひねったのだ。更には1分以上水を流しっぱなしにし、そうしてからようやくのこと手を洗っていた。周囲では何組もの家族が遊び、つい最前にも手を洗ったり飲んだりしていた水道である。私が覚えている限り、その母親以外、そうまでして水道を使っている人間はいなかった。
幼い頃、さんざん泥んこ遊びをして、木登りをして、アメンボを捕まえようと水たまりに平気で入り込んでいたくらいだから、私には件の母親の行動が異常に思えてならない。だが、このように神経質に除菌を気にする人間は少なくないようだ。マンガ『もやしもん』でも語られているように、人間は誰もが皮膚常在菌を飼っている(?)というのに……。
本書の内容を一言で表すならば、“清潔と不潔の戦い”である。我慢の限度を超えた汚れは不潔以外の何ものでもないし、前述のようにいきすぎた潔癖症にはうんざりさせられる。幾ら以下(細菌等の存在量)をもって清潔とするのか、幾ら以上を持って不潔とするのか。感じ方は人それぞれと言われればそれまでだが、大まかな一般論を標準値とすることは可能だろう。何事も度を過ぎれば苦痛である。
この作品では清潔さよりも不潔さがクローズアップされているので、不潔さの表現描写の連続である。蛆がたかった食物を口にし、平気で糞尿を垂れ流しそれにまみれ……いや、進んでそうした行動をとろうとさえする。清潔かどうかが気になって仕方がない人にとっては、本を破り捨てたくなる内容だろう。さて、あなたはこの汚濁そのものとも言える世界を、受け入れることが出来るだろうか?
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/04/02 20:24
悪くはないんですが、完全に読む人を選ぶ作品でしょうね。ナスティーが大好きって人には大絶賛される作品ではあるのでしょうが・・・。
投稿者:どーなつ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず目につくのは装丁ではないでしょうか。画像だと表紙が潰れてちゃんと見えにくいのですが、リチャードダットという人が描いた作品です。
《装画:Richard DadThe:Fairy Feller’s Master-Storoke「フェアリー・フェラーの神技」》
というふうに、表紙折り返し部分に記載されています。ちなみに口絵写真は前田せいめい。
この表紙に魅せられ、リチャード・ダッドのことを調べましたら、なんと父親殺しの狂気の画家だったとか・・・。
この本では「フェアリー・フェラーの神技」ということですが、「お伽の樵の入神の一撃」という風にかかれているHPもありました。
とにかく、この画家の絵を表紙に飾るに相応しい、狂気と混乱に満ちた作品でした。
ナスティーホラーと称されるこの作品。ナスティーとは英語で「吐き気をもよおすほど汚らしい」とか「淫猥」「悪趣味」「下劣な」とかいった意味あいで用いられる形容詞だそうですが、まさしくそのとおり。
あとがきで東雅夫氏が書いておられますが、「あの田中啓文ですら、思わず鼻をつまんで顔色なからしめるようなナスティーホラー」なのです。
田中作品もものによっちゃ結構キツイ作品がありますが、確かにこれはそれを上回ります。
究極の浄と不浄。潔癖症の人は絶対見れない、そしてちょっと不潔かも?って自分で思ってる人がいれば、思わず本を読んだ後に、お風呂場にいって身体をゴシゴシ洗いたくなるような作品。
著者のデビュー作で第8回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した「夏の滴」はわりと私の中で評価が高かったんですが、(といっても、後半に入るとちょっと納得いかない部分もあったのですが、植物占いとかツボな世界観でした)この作品は少し微妙。
悪くはないんですが、完全に読む人を選ぶ作品でしょうね。ナスティーが大好きって人には大絶賛される作品ではあるのでしょうが・・・。







