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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2006.4
  • 出版社: 論創社
  • サイズ:20cm/393p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-8460-0662-X

紙の本

エヴィー (論創海外ミステリ)

著者 ヴェラ・キャスパリ (著),文月 なな (訳)

エヴィーとわたしは女同士、気ままに楽しく暮らしていた。ところがエヴィーが彼と出会ってから、わたしたちの心は次第に掻き乱されていった。そして、二人のフラットで悲劇は起きた—...

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エヴィー (論創海外ミステリ)

税込 2,750 25pt

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商品説明

エヴィーとわたしは女同士、気ままに楽しく暮らしていた。ところがエヴィーが彼と出会ってから、わたしたちの心は次第に掻き乱されていった。そして、二人のフラットで悲劇は起きた—。それでもわたしはあのころを忘れない。エヴィーとともに過ごした日々を…。ミステリの古典『ローラ殺人事件』の著者キャスパリが、揺れ動く若い女性の内面を巧みに描写し、生き生きとしたタッチで魅力溢れる人物に描いたサスペンス。著者代表作のひとつ、本邦初訳。【「BOOK」データベースの商品解説】

エヴィーとわたしは女同士、気ままに楽しく暮らしていた。ところがエヴィーが彼と出会ってから、わたしたちの心は次第に搔き乱され、そして悲劇が−。揺れ動く若い女性の内面を巧みに描写したサスペンス。本邦初訳。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

ヴェラ・キャスパリ

略歴
〈ヴェラ・キャスパリ〉1899〜1987年。アメリカ生まれ。パブリック・スクールを卒業後、速記者やコピーライター、雑誌編集者などの職業に就く。シナリオライター、ミステリ作家として活躍。

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評価内訳

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紙の本

働く女性はやっぱり悩む ローリング20’sも現代も

2008/05/31 08:50

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

広告代理店に勤務するコピーライターのルイーズ・グッドマンは幼馴染で親友のエヴィー・アシュトンとフラットを共有して住んでいた。ルイーズはエヴィーに特定の恋人がいる事を知っていたが、「恋愛は個人的な問題だと考えているから。お互いにプライバシーを侵さない(p67)」という不文律のもと、敢えて知ろうとはしなかった。ところがある夏、一人で残っていたエヴィーが何者かに撲殺される。

広告会社のコピーライターでアパート住まいの女性が殺された事件を扱った『ローラ殺人事件』の著者、ヴェラ・キャスパリが、今度は同じ設定を語り手で主人公のルイーズにシフトし、彼女と共にRolling Twentiesを謳歌した魅力的な友人エヴィーを被害者に据えた。このため、エヴィーを殺した犯人及び恋人の正体を探るサスペンスの要素はあるものの、メインとなるのはそれらの疑惑が明かされた事により揺れ動くルイーズの心情となる。

物語の舞台が設定されているのは1920年代だが、彼女が置かれている状況は、現代日本と驚く程よく似ている。「ワーキングガールという言葉の前に貧しい(poor)という形容詞を置く人はもういない」「仕事を持ち、選挙権を獲得し、男性と平等の権利を手に入れて自立した。わたしたちのライフスタイルの変容でいちばん重要なポイントは、自由に使えるお金をもつことができたこと(p30)」。だが一方で、旧弊な考え方が支配する男社会ならではの苦労もする。才能があっても、「若い女性」であるだけで、他社から不採用を宣言されたり、社内でのやっかみにも悩まされる。そんなルイーズの密かな慰めは、恋する上司とのロマンス小説的な展開を空想する事。一方で彼女の友人エヴィーは、自分の才能に執着もせず、恋愛至上主義を貫く。二人の後塵を拝するような形で登場するのが、田舎から出てきた新聞記者志望のミッジ。エヴィーの事件を契機にして成功の階段を登ってゆくミッジと、思ってもいなかった事実にうちのめされるルイーズが対照的に描かれ、自分に恋する男性をうまくあしらい、「インタビュアーになって文化人やその道の達人に取材したい」と夢を語る彼女に対して、恋愛に不器用なルイーズの個性が際立つ。「いかにも重要な手がかりと思われたものはすべてまやかし。エヴィーを取り巻いていた私達自身の罪の繁栄でしかなかった(p371)」Rolling Twentiesの終焉と共に、自らの娘時代の終焉を悟ったルイーズは、広告代理店から作家に転じたキャスパリ自身の投影だろうか。

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