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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.6
- 出版社: 草思社
- サイズ:20cm/381p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7942-1503-7
紙の本
女帝わが名は則天武后
時は七世紀、唐の時代。一人の少女が後宮に入った。そこは一万人の女たちが皇帝の寵を争い、陰謀と嫉妬が渦巻く世界。だが天運は彼女とともにあった。何の後盾もない平民生まれの少女...
女帝わが名は則天武后
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商品説明
時は七世紀、唐の時代。一人の少女が後宮に入った。そこは一万人の女たちが皇帝の寵を争い、陰謀と嫉妬が渦巻く世界。だが天運は彼女とともにあった。何の後盾もない平民生まれの少女は、死の淵から救い出され、権力の中枢へと導かれた。皇后に、そしてついに玉座へ上る。天は、彼女に広大な帝国の未来を委ねたのだ。絶対的な権力を持つことの、圧倒的な孤独。そのとき、彼女は何を思うのか—中国四千年の歴史上、唯一の女帝、則天武后。後代の歴史家によって冷酷無比な悪女と貶められ、皇帝であったことすら否定されてきた。その偽りの正史に挑み、転落と再生をくり返した武后の波乱の生涯を、詩情あふれる簡潔な文体で描き上げる。フランスでベストセラー、世界20カ国で翻訳された気鋭の中国人作家の最新小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
時は7世紀、唐の時代。冷酷無比と貶められてきた中国史上唯一の女帝・則天武后。身分の低い家から後宮に入った少女が、皇后の座を経て、ついには帝国に君臨するという波乱の生涯を、詩情あふれる簡潔な文体で描き上げる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
山 颯
- 略歴
- 〈山颯〉1972年北京生まれ。17歳で渡仏。画家バルテュスのもとで働き親交を結ぶ。ゴンクール賞最優秀新人賞などを受賞。邦訳書に「碁を打つ女」(高校生が選ぶゴンクール賞)がある。
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紙の本
言葉を綴るめんどり
2006/08/12 21:11
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は七世紀、唐の時代。一人の少女・武照が、一万人の女たちが皇帝の寵を争う後宮に入った。何の後盾もない平民生まれの武照は、皇后に、そしてついに帝位へと上り詰める。そこで彼女を待っていたものは?
身分を隠して中国で生きる日本人兵士と、碁が好きな中国人少女の、つかの間の出会いで芽生えた恋とも言えぬ想いを描いた『碁を打つ女』。その著者であるシャン・サが四作目のヒロインとして選んだのは、夢で直々に「真実を伝えて欲しい」と頼まれたという、中国史上最初で最後の女帝、則天武后。三年間あらゆる資料を読みあさり、満を持して発表された本書は、発売されるや十万部を越えるベストセラーとなった。
男子誕生を心待ちにしていた両親を落胆させるという、幸先の良くないスタートを切った武照は、父の死後、更に貧窮に追いやられる。男性の顔色を窺わなければ、満足に食べる事すら出来ない。女性であるが故の不自由さを骨の髄まで味わった彼女が選んだのは、外見は華やかに見えても、たった一人の男の寵を争う場に過ぎず、策謀と憎悪が常に渦巻く世界-後宮だ。渦に誘われても溺れず、「客観性」を保ち続ける武昭の心情を、著者は抒情あふれる文章で綴ってゆく。一人称で描かれる彼女は、為政者の孤独をも受け入れる強い意志を持っており、イギリスのヴァージンクイーン・エリザベス一世や、ロシアのエカテリーナ二世にも匹敵する政治家だったのではないか?とすら思えてくる。だのになぜ、中国における則天武后の評価が、決して芳しいものではないのか。
息子が帝位にある間も、実権を握り続けた。冤罪で優秀な官僚を排除した。「誣告(無実の罪を密告すること)」と「密告」を奨励した。中でも、自分の治世に国号を「唐」から「周」と変えた事は、許し難い王朝簒奪と見なされたようだ。だが一方で、縁故に拠らない人事登用や積極的な外征などで、安定した治世を築いた事は、過少評価されているどころか、殆ど取り上げられない。そのヒントは、中国の史記のこんな言葉にあるようだ。
「めんどりがときをつくるのは家が没落する前兆である。」中国は、ときをつくっためんどり=則天武后に、「残虐」「悪女」といったマイナスイメージを押しつけたのではないか、というのだ。稗史が正史に、真実が捏造に排除されてきた例は、世界各地で散見される。オリンピックも開催されようかという中国とて、例外ではないだろう。天安門事件以後、まだまだ鉄のカーテンの裏にいくつも強固な扉を閉ざしている国、中国。事件以来国を離れて活躍する中国人女性がようやく探し当てたのは、
かつて一人の女性が開けた「女性の為政者としての能力」という一つの扉に過ぎない。だが将来において、彼女が使った「言葉」という論理的な手段によって、これからいくつもの扉が開かれてゆく事を、強く信じたいと思う。
紙の本
かなり現代的な解釈の武則天像
2007/09/01 14:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説であるから細かい点や具体的なことで史実との差があっても構わないわけで、記録にない空白のところを作家の想像力と創造力でうめていく。そこに作者の解釈と思いが現れる。かなり現代的な解釈の武則天像であると思う。近代小説と云うものは、登場人物の性格描写や心理描写に力点が置かれているが、この小説においても、主人公の性格や心理が環境によってどのように変化していったかが、きめ細かく書き出されている。作者は同じ女性として、中国史上ただ一人の女帝である武則天についてこれまで描かれてきたことは、一面的すぎると思ったのではなかろうか。男性が書いたものとは違う視点や情感がうかがえる。