紙の本
賛成できかねる。
2007/07/10 21:53
11人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ばんろく - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校時代に全く勉強できなかった宮本君が23歳にして始めて勉強したいと思えたことを描いた体験談。それを実行して名大の理学部物理に入ったのには敬服する。しかし。
無性に勉強をしたくなったというスイッチが入った時のことについて十分に表現できていないし、周囲の人達が自分を応援してくれていることに関しては、自分がいかに回りを良い意味で巻き込める人間に変わったか (多分そういうことが起こったんだと思うのだけれど) ほとんど書けていない。唯一の描写は、土木の職場でもいじめられてついに一週間家に閉じ籠った時の回想。もしも自分が1年後に確実に死ぬとしたら自分は今何をするだろうか、 10年、30年だったら…、と言ったことを考えて真剣にノートに書き綴ったことを書いており、それがこの人の転機だったのだと僕は想像する。けれどそれが精細に描かれているわけでもないから、結局「特別な集中力が発揮されたから人生が変わった」というただの成功談にしかなっていない。
宮本さん個人は純粋に、自分もこんなだったけれど成功することも必ずできるんだという励ましを与えたい気持があったのではないのか。確かに実際教師として生徒と接する環境にあるなら、自分に起こった体験を必要な相手に必要なだけ伝えることができるだろう。それだけでもたぶんものすごく難しいとは思うけれど、少なくとも一対一で向き合うという責任を持てる。しかしこれをマスメディアにのせることは、全く別のことだ。これは絶対に励ましにならない。なぜなら会ったことのない世の中に自分よりすごい人の像を感じることは簡単にできるし、むしろそれに圧迫されて苦しむ人が多いのだから。宮本さんに会ったことのない人にとって、この本はその像を一つ増やす手伝いしかしないと思う。
著者を責めているのではなく、むしろこういう本が世に出ることを止めなかった編集者がおかしいと思う。自分が這い上がった経験を生かして他の人を救いたいという気持は多くの人に起こるものだと思う。それは悪いことではないが、難しいはずだ。編集者というのはプロなのだから、技術がない人に対して「あなたの言いたいこと、やりたいことは分かるが、このままの形ではこれを他人として読む人には伝わりませんよ。」と言うことこそが仕事なのではないか。それで出版を諦めるのではなく、そこを良くして行く作業が編集だと思う。
編集者の立場として美談として売りに出そうという魂胆だったなら、賛成は出来ないが理解はできる。しかしもし、編集者も純粋な目を輝かせてこの本を出版したというなら、むしろその方が怖い。
紙の本
人生において、勉強ってどういう位置づけのものなのか?
2006/11/18 20:53
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
標題どうり、中学の通信簿 オール1の人が、23歳から一念発起して国立大合格、そして生徒の気持ちと共感できる高校教師になった実話です。
彼の話を読んで一番に感じるのは、勉強とは、詰め込まれてやるものではなく、自分が知りたいから貪欲に調べて吸収して行くという姿が最も自然なものであるという当たり前の事。
有名学校の肩書きを得る為に受験勉強する、必修として上から詰め込まれる、どちらも日本の教育産業と教育政策の現在の姿ですが、これらは本人の意思や興味からかけ離れたニセモノであることに、皆 気づいているはずです。
この作者のような実例を知ると、まだ 日本にもこの様な姿勢で勉強に取り組んでいる人がいるという事にホッとします。
そして、本当に勉強したい人にとって、この国は決して学びやすいしくみになっていない事がよく分かります。
奨学金の制度がもっと沢山あったら。各種の年齢制限が撤廃されたら。等何歳でも、どういう経済状況の人でも、勉強したい人が、本気で勉強できてそれを生かせて行けるしくみが日本では必要です。
この著者の様な人にこそ教育制度改革の計画策定に加わってもらい、抽象的な理念の議論ではなく、実効のある変革を考えて進めてくれればと思います。
投稿元:
レビューを見る
通知表オール1、いじめられっ子。そんな過去を持つ著者は、今や高校で数学を教える先生!
かつてのドン底の生活からここまで這い上がってきたという先生は、何を経験し、何を生徒に語るのでしょう。教育者を志す人は一度目を通してみるといいかも。
投稿元:
レビューを見る
「諦めないで頑張れば、結果が出る」ということがわかった気がします。勉強はやる気と「勉強する意味」さえわかれば意外とおもしろいんですね・・・
投稿元:
レビューを見る
なんといっても読みやすい!!彼の直感がよく分かります☆
本も良いですが、本人もすごく面倒見の良いお方です!!
投稿元:
レビューを見る
とにかく人生波乱万丈な著者。中学卒業時点で成績は2が二つあるだけであとはオール1だったという、はたから見ればいかにも「落ちこぼれ」だった著者。が、そこから一変。23の時にアインシュタインの相対性理論を簡単に説明したビデオを見ることによって知的興奮を覚え、定時制高校に入学、その後名古屋大学に現役合格し、現在は教員をしている。この本では彼が努力し、成功を収めるにいたるまでのプロセスが書かれている。「人間やればできる」なんていう理想論がただの理想論ではなくリアルなものとして見えてくる。また、彼の努力する過程における周囲の人間の心強い支えも印象的。人同士の繋がりの大切さも見えます。「どうせ自分なんて」と思っている人、見たら世界が変わると思います。
投稿元:
レビューを見る
大平光代の『だからあなたも生きぬいて』を思わせます。中学1年の通知表がオール1、夢も希望もなかった少年が23歳のときに、アインシュタインの相対性理論に引かれて小3のドリルから勉強を始め、名古屋大学、教師へとなるサクセスストーリーです。実話。
投稿元:
レビューを見る
話題になっているのを何かで知り、読んでみた本。ジーンときました。必死さが自分には足りないなぁと反省してみたり。
投稿元:
レビューを見る
読んでから大分時間が経ってからレビューを書いているので良くないが、温かい気持ちになれる本です。
著者の方はすごく人間的に強いと思い増した。
とても良い教師なのが良く分かります。
因みに、本の中にはとても優しい彼女さん(現奥様)や会社社長、先生が出てきます。
荒んだ現代社会にもやはり優しい人はいるのだなぁ、と安心させてくれました。
投稿元:
レビューを見る
新聞にも大きく取り上げられた、オール1から名大を経て数学の先生になられた人の作品です。どちらが先に出た本かは知りませんが、『未来のきみが待つ場所へ』と内容的に重複していますが、こちらは勉強に主眼がやや置かれています。
投稿元:
レビューを見る
教職で課せられた読書感想文を書くために図書館に行ったら目に留まって、衝動的に借りたんだけど、借りて良かったと心底思う。この人みたいにものっすごい努力する人は結構いると思うけど、自分は?と言えば比べるのも失礼に感じるほど遠い・・・。最近だらけてるなあって自覚ある人は読めばモチベ上げられると思う。そうでない人も作者の不遇?と「真摯な努力」に感動できるかと。
実用書とエッセイのどっちにジャンル分けしようか迷ったけど、最後にちょろっと勉強法もあるし実用書としてわけました。08/01/20読了。
投稿元:
レビューを見る
・紆余曲折を経て36歳で初めて高校の教壇にたった著者。
どことなく自分に似てる‥
この人のオール1は不良系のオール1じゃなくて
落ちこぼれ系のオール1。
いじめられて勉強も出来なくて‥
中卒後就職した工務店でも男社会で怒声やげんこつを浴びる。
いつ怒鳴られるかびくびくしながらの仕事で胃が痛くなった。
23歳の男が小学校3年生のドリルを勉強するなんて変でしょう、
でも私は真剣でした。
・定時制から理系で、
しかも国立の名古屋大学への進学などありえない、と言う状況だった。
・私は生徒と初めて会ったときに自分の経歴を話す。
それは向こうに信頼してもらって相談されたいから。
生徒が正直に話せるような環境を創ることが教師の最初の仕事である。
↑この努力を俺はしてなかった。それに今もしてないとこがある。
・授業中何も分からなかった。
さらに授業が終わるといじめられる可能性があるのでびくびくしていた。
・17の頃、工務店で仕事中そとをみると
高校の卒業式の帰りに花を持って泣きながら帰る高校生が。
羨望を覚えた。
まさか自分が10年後それを体験するとは‥
↑これもどんな気持ちだったんだろう。何か分かる‥
後半に入ってこの人が良い人生をおくるようになったときから自分笑み溢しながら読んでた。
こう言う人弱さのある人の努力が好き。
・目標が出来たとたんにいきなり勉強が楽しくなった。
↑これも俺にとっての読書革命と同じ現象。
・心配していた24歳からの高校生活、ゴールデンウィーク頃には兄貴と呼ばれる様になり
初めて学校を楽しいと感じている自分に気づきました。
小中学校時代は何だったのでしょう。
・工務店のあとに働いた会社の人たちがすごく良い人達、素敵。
こんなに気を遣った上でしかも給料を引かなかったとか‥
そして先生たちもすごい。わざわざ補修をずっとやってくれた先生や
知り合って間もないのに頑張ってる著者をみて100万円の援助をなのりあげたりカンパを集めてくれる校長先生、
著者のために退職を伸ばしたり修学旅行のお金を工面してくれる先生‥
さらに合格後新聞社から取材を受けて“学費に”とお金を送ってくれた読者(千葉敦子さんもこんなことしてたな)。
やっぱり自分大阪には帰らない!こう言う人たちと居たいよ。
・国立大を卒業して彼氏が九九が出来なくても何だかんだ面倒をみる親が社長の彼女の存在、分かる。
笑うことなく励まして相対性理論の本を探してプレゼントしたり‥
明香や藍やさよみたい‥
・偶然アインシュタインに感銘を受けそこからスイッチが入った様に切り替わった人生、
これも自分と似てる。仕事をはじめて彼女も出来て数年前とは比べられない生活、って言うところも。
自分でも“なぜ相対性理論であんなに変わったのだろう?”とのこと。
でもこの人の努力量は本当にすごい‥
睡眠と食事と仕事以外全部勉強。それを何年も何年も続けて‥
大学時代も院時代もその努力をずっと続けてる。
でもこの人ちゃんと情報戦を戦ってる、徹底的に傾向と戦略を練ったそう。
それこそ俺や正樹さんのように。
・このひとの院での修士論文は「阻止電位型Mott散乱変極度測定装置の開発」。オール1のいじめられっこが‥
■いじけた環境で育った私は人を信頼し合うと言うことを知るまでに随分と屈折した道をたどりました。
他人に対する警戒心が強くてなかなか相手を信頼出来ず、そのくせ自分が信頼されているかどうかを見分けることに敏感でした。
投稿元:
レビューを見る
著者の宮本さんは現在,母校で「勉強の出来ない生徒の気持ちを共感できる先生」として活躍されています。
著者の血を見るような努力はさることながら,周囲の人々のサポートも素晴らしかったと思います。これも著者自身の人柄の良さと,弛まぬ努力が自然と協力者を惹きつけたのでしょう。この本を読んで一番に感じるのは、勉強とは、詰め込まれてやるものではなく,自分が学びたいから吸収して行くという姿が自然なものであるということ,そして好きなことを見つけ情熱を持ち続けること,そしてこの2つが何よりも大切だということです。
投稿元:
レビューを見る
この人は元々賢い人だと思うな
音楽やらなんやら打ち込んで、仕事もやってきて
何より、人との付き合い、まじめさってね。
そして努力をおしまない人
ここまで勉強しないとなんだね
投稿元:
レビューを見る
大学受験前に手にしていたら、もっと真剣に受験勉強に取り組めたかもしれないなぁ〜って思いました。
人生の転機は、どこで訪れるかわからないものですね。
自分の人生、悔いのないように生きるという姿勢から教えられることは沢山あります。
あきらめない心、教えてくれる先生と出会える子どもたちは幸せだなぁ〜。