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モオツァルト・無常という事 改版 (新潮文庫)
モオツァルト・無常という事
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収録作品一覧
モオツァルト | 7-73 | |
---|---|---|
当麻 | 74-78 | |
徒然草 | 79-82 |
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紙の本
剃刀の切れ味
2006/10/09 19:09
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小林秀雄の入門作としては最適だし 今でも僕はこの本が一番小林の作品の中では好きだ。この20年間出張や旅行によく持っていっている。
収録されている評論はいずれも概して短く そして なにより切れ味が抜群である。実際 収録している「徒然草」や「平家物語」は全編 名セリフ集のような趣を湛えており つくづく 日本語の持つ美しさ、豊かさに感心してしまうほどである。
年寄りじみたくないが (そして僕自身 まだ41歳になのだが) 今の日本人が使っている日本語の汚さは 昭和30-40年代の 公害を思わせるほどである。
これは偏見も入っているかもしれないが 汚い言葉は 使っている人をスポイルすると思っている。その意味で この小林の作品は 是非多くの人に読んでほしいと思う次第である。
紙の本
直観の力
2015/11/21 04:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌ様 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「モオツァルトの悲しみは疾走する」、美しく軽快、アルファー波が出るから気分がいい。いかれた性格だった。歴史的な資料から、あるいは側面から、あるいはその作品群の変遷から、いろんなことを言う人がいるのはただ知識の蓄えでしかなく、直接つかめた本質ではない、そう思っていたし、たいがいはそうだった。
唯一、違ったのはこの人の文章、言葉。
最初のフレーズで僕はとてつもない人がいることを思い知らされた。曲を聞くことからこのような言葉が紡ぎだされるなんて、こういう能力がある人がいるなんて。
絶対かなわない。
深い谷底に落とされたような、小林秀雄と比べているわけではないけど、ただ自分の非力をいやというほどしらされた。
爾来、小林秀雄フリークである。
信じない人は40番聞きながら読んでみてほしい。これ以外、どう表現できるんだと。
紙の本
当時のモーツァルト論は今でも通用しているんでしょうか?
2007/02/10 09:19
10人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ISH - この投稿者のレビュー一覧を見る
讃えてくれるのは嬉しいんだけど、この人が好きと言う曲一番イヤなもんばっかで複雑です。ひたすら重苦しく。
「モーツァルトただ明るく楽しいだけ何の意味もない」などとのたまう者が身近にいたので日々喧々諤々しておりました(-_-#)。それってこの人の聴き方で聴いているからでは?
例えば同じ「かなしさは疾走する」でも幻想曲ハ短調K.475とかどうでしょう。
好きな所は「素晴らしく悲しいけれど愛らしさが損なわれていない」。
「明るく親しみ易いピアノソナタ11番とそれを比較して聴いてみろ。後者は前者のそれが壊れた感。『存在すること不可能。こうあること不可能』という感でこの人の曲は明るく穏やかなほど悲しく味わい深い」と。
特に晩年の曲は優美なものほど過去の生とこれからの死の陰が色濃く響いていると言い張りますが。
紙の本
「小林秀雄がこう言っていた」
2023/05/30 06:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
音楽を聴くことに作曲家の人生を知ることは無用なのかもしれない。これを読んだからといってモーツァルトを理解できるようになるのかは疑問だ。知識だけが欲しければ、雑学を集めた本でも読めばよいのだろう。本書は「モーツァルトについて読んでいる」というより「小林秀雄を読んでいる」との印象が強い。『モオツァルト』ばかりでなく納められた多くの話題について「小林秀雄がこう言っていた」と言われそうな雰囲気が漂う。音楽について。哲学について。美について。絵について。歌について。いずれを読んでも「小林秀雄」が居て、語っている。