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虹をつかむ男

  • 出版社:早川書房
  • サイズ:19cm/301p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-15-208759-5

虹をつかむ男 (異色作家短篇集)

ジェイムズ・サーバー (著), 鳴海 四郎 (訳)

  • 全体の評価 4.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:2,10060pt
  • 発行年月:2006.9
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「虹をつかむ男」

ある時は歴戦の勇士、ある時は腕利きレーサー、しかしてその正体は? 夢見る中年男ウォルター・ミティを描いた表題作ほか、アメリカン・ユーモアの巨匠が独特のユーモア感覚で描く掌編25篇。〔1976年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧- 「虹をつかむ男」

虹をつかむ男 9-19
世界最大の英雄 21-32
空の歩道 33-40

著者紹介- 「虹をつかむ男」

ジェイムズ・サーバー

略歴
〈ジェイムズ・サーバー〉1894〜1961年。オハイオ州生まれ。オハイオ州立大学卒業後、国務省の暗号係などをつとめ、新聞界に転進。編集者、寄稿家として『ニューヨーカー』を中心に活躍。

ユーザーレビュー- 「虹をつかむ男」

全体の評価
4.5
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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/03/24 22:43

3mm浮遊する男

投稿者:たむ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ジェイムズ・サーバー。ユーモア作家。発想力のずれたとぼけた言動と悪意のない笑いを読んでいると、翻訳家岸本佐知子氏のエッセイを思い出した。現実世界に生きているのに空想の世界に暮らす人たち。日常のなかから騙し討ちのように妄想の拳をお見舞いされる。一見すると普通の人たちである。ところがよく見ると地上から3mmくらい浮いて歩いている。3mmずれた世界に暮らしている。

 サーバー作品の主人公たちは、決して「もし〜だったら」とか「〜かもしれない」「〜と思う」とは言わない。「〜であった」と断定する。オバケは“出た”のであり、ダムは“決壊した”のであり、ウォルター・ミティ氏はポケタ・ポケタと“実際に”潜水艦に乗り組み、マクベス殺人事件の真犯人は別にいるに“違いない”のである。

 なかには空想の世界に行ったきり戻ってこない人たちもいる。なかには空想に勇気づけられて生きる人たちもいる。何の不都合もなく堂々と暮らす人たちもいる。

 空想の世界に入るのはたいてい男たちだ。それに現実的な女がつっこみを入れる。ところが現実的も高じると「空の歩道」のようになってしまう。会話はボタンを掛け違ったまま進んでゆく。

 空想であれ現実であれ、ブラック・ユーモアなどではない正統派のユーモアが持ち味。ごろつきの英雄を闇に葬る「世界最大の英雄」や、唯我独尊ばあさんを消そうとする「ツグミの巣ごもり」など、ほかの作家が書いたら嫌な話になりかねない作品も、サーバーの手に掛かると明るく爽快な笑い話になってしまう。

 サーバーは人間というものを愛しているんだな、と思う。おバカなところも、弱いところも、他人に容赦ないところも、自分勝手なところも、愛すべきところも、すべてひっくるめて愛している。現実も逃避もまったく同じレベルで愛しているから、こんなヘンな物語ができあがるのだと思う。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2006/09/22 18:43

ポケタ・ポケタ・ポケタ。

投稿者:松井高志(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1930年代の「ニューヨーカー」誌で活躍した短編作家・エッセイストのジェームズ・サーバーは、日本での認知度は今ひとつだが、英語圏ではかなりポピュラーな作家で、よく英語の授業のテキストにも使われたりする。ただしダールでもサキでもサーバーでも、一旦授業に使われたりすると、少しも面白くなく、野暮ったくなってしまってしまうので、たとえば落語なんかを教材に利用しようなどとは間違ってもたくらんではいけないことが、洋の東西の差はあるが、これでもよく分かる。
 サーバーの鳴海四郎訳(この早川書房版、それに講談社版の「空中ブランコに乗る中年男」)を、私は高校生の頃に初めて読み、はっきりいえばかなり影響を受けた。その後、どうすればこういう風に素材を選んで、こういうテンポで哀歓を短い枚数で巧みに実現できるかの、20代を通じてのお手本であった。内気で不器用な、テクノロジーに支配された社会にうまくとけ込めない人(たとえアメリカ人であろうとそうでなかろうと)への共感を、笑える短編という形で提示したものである、といえる。
 実はこの早川版「虹をつかむ男」(こういうタイトルの映画の原作だからこう名づけられているが、もう映画自体がかなり古くなったので、本のタイトルを変えてもよかった)に収められていない作品の方に、傑作があったりするが、それは冬樹社から出ていた「ジェームズ・サーバー傑作選」(2巻・鈴木武樹訳)で読める。都会の孤独を描く「晩は七時」「ひとりはさすらいびと」、ガルボとドナルド・ダックのどっちが偉大かという論争が元で別れる夫婦の話「ウィンシップ夫妻の別居」、ドライブ中の夫婦に吹くすきま風を描く「ハンバーガーを2つ3つ」、自称天才作家の乱行を描いて笑わせる「なにか言いたいこと」が優れる。これらを含む短編集をぜひ出版してもらいたい。
 「虹をつかむ男」は、英題が「宮中ブランコに乗る中年男」になっているが、これは必ずしも正確ではない。この本は「サーバー・カーニバル」というベスト版の抄訳であるからだ。「空中ブランコ」の訳出であるならば、前記「晩は七時」「ひとりはさすらいびと」「なにか言いたいこと」を外しているのは問題である。

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