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商品説明
謎めいた料理店で出会う“少し変わった子”たちが、あなたを幻想的な世界へと誘う—。【「BOOK」データベースの商品解説】
失踪した後輩が通っていたのは、いっぷう変わった料理店。予約のたびに場所が変わり、毎回違う若い女性が食事に相伴してくれるという…。謎めいた料理店で出会う「少し変わった子」たちが、あなたを幻想的な世界へと誘う物語。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
少し変わった子あります | 7-38 | |
---|---|---|
もう少し変わった子あります | 39-67 | |
ほんの少し変わった子あります | 69-97 |
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紙の本
孤独の質を思う
2007/02/07 01:33
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねねここねねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
森さんの作品は大すきだ。
但しこの本に限れば、幾分に「孤独」が大衆化されて感じられた。
味の付いた素材を、そのまま出されたような感じ。
設定は好み。人物も僕は好感が持てる。
食後のコーヒーを思わせる、最終章での仕掛けがあるのも悪くない。
抽象的な誤魔化しになってしまうかもしれないが、これはおそらく好みだろう。
期待が大きすぎたから、余剰を足りなく思うだけ。
彼の作品には孤独がある。
切なさも痛みも。
冬空の、遠い星の光。
時に毒にすらなる、内側で澄み切った真摯なもの。
湖に潜む、銀の刃のように清冽な概念。
この作は、少し違うなと思った。
薄まって思える。これは繰り返すが、僕の「好み」。
真賀田四季、瀬在丸紅子の孤独は薄まっている。
文芸方面(!?というのかしら)で言うなら、
『墜ちていく僕たち』ほどの求める孤独は感じなかった。
こんなこと、どうして僕は書いているのか。
これも繰り返し。期待が大きすぎたから、こうして不足を取っているだけ。
自身客観で思うが、それは陳腐で悲しいことだ。
期待の裏返しでもあるのだろう。森さんは好みの作家である。
原色の透明感を僕は求める。
数字の中で7が、孤独足り得ているように。
紙の本
美しい仕草に惹かれる
2007/01/29 13:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:月夜の読書 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の表紙がなんだかかわいらしくて惹かれてしまった。
読んでみると不思議な雰囲気に包まれている。
無駄のない洗練され美しい仕草で食事を共にしてくれるだけの、名も知らぬ女性。
その食事の描写をよんでいるだけで、美しい洗練された食事の仕方とは、どんな仕草なのだろうと想像が膨らむ。
それにしても、謎は謎のまま終わるなんともいえない不思議な読後感!
お試しあれ!
紙の本
森らしくない話の流れが好きですね、特にラストは、感心します。ミステリではなく、オーソドックスなエンタメ、どちらかというと中間小説風?
2006/11/10 23:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんていうか、一時代前の中間小説の本、といった感じのカバーデザインです。森博嗣ファンにとっては、今までの彼の本の印象とあまりに異なるので、戸惑うかもしれませんが、森作品に初めて触れる人、特に若い人ではなくて、30代以降の世代には魅力的ではないでしょうか。そんな装画・挿画は、あずみ虫。装幀は鈴木成一デザイン室です。
初出は、「別冊文藝春秋」251〜263号に不定期連載だそうですが、いかにも「別冊文藝春秋」らしい内容です。ちょっとミステリアスな中間小説。純粋ミステリではなく、どちらかというと阿刀田高のそれに似た、いえいえ、もっと推理味を薄くして、なんていうか中年の男の若い女性に抱く淡い感情を描くというか・・・
ともかく、タイトルだけで想像すると、いかにもロリコン趣味の森らしい、若いというより幼い女の子が登場しそうですが、それは全くありません。出てくるのは大学生風の若い女性から人妻まで、年齢は20〜30代。静かな人も、ざっくばらんな女性もいます。ただし、共通点があります。食事をする姿が美しい、ということです。
じゃあ、タイトルはどういう意味なんだ、っていうことになります。長篇ではなくて連作なので、収められている話のメニューを書いておきましょう。
・少し変わった子あります
・もう少し変わった子あります
・ほんの少し変わった子あります
・また少し変わった子あります
・さらに少し変わった子あります
・ただ少し変わった子あります
・あと少し変わった子あります
・少し変わった子終りました
きっと、森のことですから、各タイトルを同じ字数にするか、左右対称になるようにしたかったとか、あるんでしょうが、面白いなって思います。特に、最後の「少し変わった子終りました」は、思わず微笑みたくなります。
主人公は大学の教官、小山です。年齢はよくわかりません。五十代ですか、という質問に「うん、ぎりぎり・・・・・・。」と答えているのですが、常識的に考えれば60間際、でも49歳という線もあるかな、そういう男性です。容姿については記述がありませんし、生活臭がないので、どことなく存在感が希薄です。
で、小山はドイツに出かけ、帰国したらしいものの連絡が取れない知人・荒木から以前紹介された店に、一人で出かけます。その店では食事をする時、相手がついてくるというメニューがあります。勿論、相手の食事代も自分が支払うことになっています。そこで彼は相手の箸の使い方、茶碗の持ち方、食事の仕草がこの上なく上品で、思わず見入ってしまうのです。
それにしても、食べる姿が美しい、ということがどれほど人の心をうつことか、私たちは忘れています。挙措動作といってもいいでしょう。凛とした、ではなく優雅であることの大切さ。それがあるから、対照的に、ざっくばらんな、気取らない食事風景の大切さもわかるというものでしょう。
こういうところに着目して、ちょっとしたメニューを考えた森のセンスにも感心しますが、ラストもいいです。そう来たか、と唸る人も多いでしょう。森の場合、作品量とそのレベルの均一さについて、毎回唸らされるのですが、この小説では今までと全く違う森ワールドに触れた思いです。
紙の本
心惹かれる仕草とは。
2006/11/01 12:46
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちい - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔から、食事時の作法が綺麗だと褒められる。
うちは貧乏だったし親もヘンテコリンだけど、食事の仕方は厳しかった。
迷い箸、探り箸などした日には、もう食べさせてもらえなかった。
自分がそう躾られてきただけに、人の作法もとても気になってしまう。
特に、口の中でクチャクチャ噛む人。これはもう駄目、ぜったい駄目。
どんなに賢くてカッコよくてスポーツ万能で歌が上手くてそれなりの地位にいたとしても、クチャクチャ噛みで全てがパーだ。
この小説には、食事シーンがたくさん出てくる。主人公の男性が、毎回違う女性と静かに食事をする様子が淡々と書かれている。
そして、どの女性も食べ方・作法がとても美しい。その姿に主人公は心惹かれて店を訪れる。
改めて、お行儀って大事なんだなあと思った。
せっかく誰かと一緒に食べるのだから、相手に不快感を持たせない食べ方をしたい。
「またあの人と食事したいな」と思わせられる。そんな女性になりたい人にオススメ。