- 出版社:早川書房
- サイズ:19cm/245p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-208766-8
嘲笑う男 (異色作家短篇集)
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- 税込価格:2,100円(60pt)
- 発行年月:2006.10
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商品説明- 「嘲笑う男」
邦訳機会に恵まれてこなかった作家ラッセルの短篇集。ゴシック怪奇小説の名作「サルドニクス」のほか「役者」「檻」など17編を収録。読んでいる間はスリリングで楽しくて、最後のオチにハッとする、娯楽的読書に最適な一冊。〔1964年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧- 「嘲笑う男」
| サルドニクス | 5-65 | |
|---|---|---|
| 役者 | 67-71 | |
| 檻 | 73-84 |
著者紹介- 「嘲笑う男」
レイ・ラッセル
- 略歴
- 〈レイ・ラッセル〉1924〜99年。シカゴ生まれ。『プレイボーイ』誌の編集者を長く務めた。50年代からは、SFやホラー色の強い短篇作品を発表。邦訳書に「インキュバス」など。
ユーザーレビュー- 「嘲笑う男」
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/03/10 23:21
異色作家唯一のC級作家
投稿者:たむ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
異色作家短篇集の作家たちの多くは、「異色」ではあっても「キワモノ」ではなかった。誰もが一流の作家たち。たとえB級と呼ばれるような作家であっても、一流のエンターテイナーであった。
ところがここに一人だけ、異色C級作家が登場する。レイ・ラッセル。これぞパルプ作家。いかに書こうなどという意識はさらさらない。ただただアイデアの向くまま書き飛ばしたかのよう。
巻頭の「サルドニクス」の舞台は十九世紀。語り手の説明に始まる冒頭から怪しげな城館の主人や因縁まで、そっくりそのまままるごと古い怪奇小説である。よく言えば現代に甦った古典怪奇小説、悪く言えば古色蒼然。しかし何はともあれこの作品は、古くさい怪奇小説が好きなら存分に楽しめることは間違いない。本書のなかでも比較的完成度の高い作品でした。
二話目以下「役者」から「防衛活動」までは、どれもオチに比重を置いた比較的みじかめの作品が多い。ところがこれが落とし話としてもぱっとしないのである。
解説者の日下氏は、あらかじめ起こるであろう批判に答えるべく「『アイデアだけ』とか『後に何も残らない』といった言葉で批判をするのは容易いが、そうした教条主義的な評者には『それのどこが悪い?』と返答したい。/読んでいる間はとにかくスリリングで楽しくて、最後のオチにハッとしてページを閉じる——。娯楽としての読書にはこれで充分である」と述べているけれど、ちょっと誉めすぎでは?と感じた。
なにせ読んでいる間もそんなに楽しめなかったのだ。
仮に「アイデアだけ」というのなら、異色作家短篇集には「アイデア作家」と揶揄(?)称賛(?)されたフレドリック・ブラウンやロバート・シェクリイがいる。ところが彼らとラッセルのあいだには決定的な違いがある。彼らの場合はまさに文字どおり「アイデアだけ」だったという事実だ。作品全体が奇想に満ちていた。小説にアイデアを貼り付けるのではなく、小説そのものが奇想・アイデアそのものだった。
一方でラッセルはというと、「オチのアイデアだけ」の作家なのだ。それも小振り。オチにするアイデアはある。だけど切れ味には乏しい。最後に落とすためには、まずは組み立てなくてはならない。なのにラッセルの作品は、あらかじめ用意されたオチに向かって猪突猛進するのみ。オチにたどりつくまでのだらだらした展開の長いこと長いこと。読み通すのがしんどかった。ジョン・コリアのような職人的な器用さもない。ロバート・ブロックのような過剰なサービス精神もない。
アイデアを書いただけでは小説にはならないこと、アイデアをいかに書くかが大事なのだということを、レイ・ラッセルは教えてくれる。
著者は『プレイボーイ』誌の創刊に参加、副編集長・編集長を務め、同誌の躍進に貢献したという。編集者としての資質と実作者としての資質を同一視はできないけれど、著者にとっては読み捨てのパルプ・ストーリーこそが理想の娯楽小説だったのかな、と思う。一冊の本にまとまったものを蔵書として読み愛でるなんてナンセンス。ホットドックのケチャップなんかをこぼして汚しながら読んで、読み終えたらゴミ箱にポイ。そんな小説を目指していたのかもしれない。








