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俠客の条件 吉田磯吉伝(ちくま文庫)

  • 出版社:筑摩書房
  • レーベル:ちくま文庫
  • サイズ:15cm/346p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-480-42276-5

俠客の条件 吉田磯吉伝 (ちくま文庫)

猪野 健治 (著)

  • 全体の評価 51件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:88225pt
  • 発行年月:2006.10
  • 発送可能日:購入できません
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商品説明- 「俠客の条件 吉田磯吉伝」

史上最大の親分、吉田磯吉。川筋者といわれる命知らずの船頭達のなかから身を起こし、北九州・筑豊炭鉱を基盤に勢力を広げ、国会議員の座にまで昇りつめた男。政治暴力、労働争議への介入、流血を恐れぬ子分、社会の裏側に強靱なネットワークを持つ侠客の力を必要とした日本の近代とは何だったのか?現在にも通じる政財界とやくざのコネクション、その原点へと迫る異色ノンフィクション。【「BOOK」データベースの商品解説】

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ユーザーレビュー- 「俠客の条件 吉田磯吉伝」

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/08/10 10:47

臭いものに蓋をしたがる日本だが、この階級闘争、政治裏面を抜きにして現代を語れない。

投稿者:佐々木 昇(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 政界の黒幕といわれた杉山茂丸は伊藤博文の刺客として上京したものの、いつしか長州閥に入り込んで様々な政治的問題の解決を行った。その杉山茂丸に関する資料を読んでいたとき、本書のメインテーマである吉田磯吉と幼少からの知己であることを知った。
 吉田磯吉は侠客の世界の大親分とある。しかも、いまや全国にその勢力を張り巡らしている山口組の始祖ともいうべき立場であり、民政党選出の代議士でもあったという。小泉純一郎元首相のお祖父さんは倶梨伽羅紋紋の閣僚であったが、裏世界の代表である吉田磯吉も代議士であったことに驚く。
 ここで、政界の黒幕といわれた杉山茂丸の勢力が長州閥だけではないことが分かったが、はたして吉田磯吉という人物が見えてこない。火野葦平の『花と龍』のなかにも吉田磯吉が登場するが、輪郭が鮮明ではない。

 著者は『吉田磯吉翁伝』をもとに取材をすすめ、証言者の裏付け、資料を得てこの一冊を仕上げている。が、しかし、おもしろいことに、一人の人物を追いかけながら、その実、日本という国が資本主義国家として世界に飛び出ていく際の裏面史になっている。
 また、政治史の裏側をみることになるが、現代の政治において裏世界との結びつきが枯渇しないのは国政成立のときからの伝統であることがわかる。そこには右も左も関係がない。
 世界を相手にした戦争は日本の侵略戦争といわれる。しかし、なぜ、他国を侵略するのかという原因は解明されないまま、軍事政権の支配欲だけが問題にされる。その軍事政権に至った経緯もなんとなく認識しているが、はっきりとは分かっていない。それは政治史を表からしか見ていなかったからだろう。

 日本が資本主義体制に組み込まれたとき、吉田磯吉が肉体労働者として働いた北九州には全国から多数のよそ者が流入してきている。日本の石炭の半分を産出したといわれる筑豊炭田では過酷な労働に耐えうる労働力を多数必要としたからだが、火野葦平の父玉井金五郎もその一人である。その力と力の世界には世間の法律は通用せず、義理と人情という掟だけが唯一絶対であり、それを構成するのが親分、子分の関係だった。表の世界では相手にされない人間でも、いったん、この裏の世界に取り込まれれば人間としての魂の安住の地が約束されていた。
 それらを束ねたのが吉田磯吉だが、その結束した裏社会は藩閥政治や政党政治の院外勢力として力を発揮することになる。

 本書は人物伝という形をとりながら、その実、日本人の階級闘争の歴史を語り、政治裏面史を紐解いている。このことによって明治期からの政治史における「なぜ」という疑問が解明されるヒントがいくつも隠れていたのは大きな収穫だった。

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